茶番
もはや何が書きたいのかわかんなくなった。
目を開く。
「......?」
僕の頭上にはコテンと首をかしげるシフォンがいた。
僕を拒絶する彼女ではなく、ついさっきまで雑談していた彼女だ。
「──いや、なんでも。それよりエルフ村長は?」
「彼女なら、そこに」
彼女が指す方向を見ると、黒煙を挙げ、焦げている姿が。
「なに、あれ」
「ライア様がなんか燃やしてました。『エルフは野菜』とか言って」
そうか。
「うなされていたようですが...」
「────大丈夫。ちょっと刺激的なユメを見ただけさ」
今はその心配が心に染みる。
ああ、癒し。
「さて、茶番はその辺で終わりにしていただこうかな。我が姫?」
濡れるような静謐を裂いて、世俗にまみれた声がした。
「───ハカ、ですか」
「いかにも、我が姫。いやなに、民草を守るために自らを売るとは。阿呆なのですか、貴方は」
なんか綺麗な人がいた。
うん、とにかく綺麗な人だ。胸の膨らみから女性ということが見てとれる。かぁいい。
激しく散る視線の火花。
「卿も、私を殺しに来たと?」
「勿論です、我が姫。側近には譲れぬモノがある。それは、使えた者の最後を看とることでこざいます」
「そんな馬鹿なことがございましょうか。側近なら、主を守るのが道理でしょう!?」
どうやら二人は主従関係にあったようだ。
今戦闘になったら厄介だな。この体ではどうにも動けそうにない。
はぁ、やれやれだ。
「──我が姫。ときに、アーサー王伝説は御存じで?」
「今、その話に関係があるのなら私は『はい』と答えるでしょう。けれど今は関係無──」
「アーサー王は最期、円卓に使えていたモードレッドによって殺されます。まぁ、共倒れですけれど」
「...知ってます」
「そして、同じ円卓であるベディヴィエールがアーサー王の頼みで聖剣を湖に返します。アーサー王は死にます」
「...えぇ」
「──では、彼を看取ったのはベディヴィアただ一人ということになります」
「卿は何が言いたいのですか」
「では、他の者は?」
「え?」
「例えばカヴェイン。彼の者はアーサー王の次くらいに地位が高く、忠誠心もあった。しかし、彼は主の最期を見届けることは出来なかった。それは、これにとってどれ程悔しかっただろうか」
「......」
「例えばアグラヴェイン。彼は悪役として書かれることが多いが、その実『堅い手のアグラヴェイン』と言われるほど立派な騎士だった。彼もまた、主の最期に出逢うことが出来なかった」
「......」
コイツら話長いな。
でもまあ一応聞いておくか。茶々入れる気分でも状態でもないし。
「私はわかる。主に従順な騎士ほど、主の果てを見届けたいということを。──我が姫、貴方にもお分かりでしょう、この思い。私が貴方に使えた四十年、その全てを今、ここに」
「......私、は」
「他の騎士どもに、有象無象の騎士どもにくれてやるには勿体無い首です。さぁ、私に体を預けてください。さすれば──まあ、痛みくらいなく逝けるでしょうよ」
「死にたく、ないよぉぉぉ...」
掠れるようなか弱い声が、響く。
嗚呼、やはりこの人は綺麗だ。
僕と同じで、狂ってる匂いがする。とびきり上等に狂っていやがる。
「そこまでだ、そこの盛ってるお嬢ちゃん」
黒焦げから声がした。
なんだ、死んでないじゃん。
「貧乳の辛さは十分すぎるくらい理解しているつもりだよ、ボクは。だからといって、その八つ当たりでお姫様に当たるのは善くない」
──何言ってんだコイツ。
ってか何、あの綺麗な人、盛ってたの?
「確かにお姫様は巨乳だ。ロリ巨乳と云うやつか。それに比べて君は貧乳だ。ああ、絶壁だ。だけど、だけれども────いいか、よく聞け」
もう一度言おう、何言ってんだコイツ。
「貧乳はな......ステータスなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」
解った、コイツ駄目だ。
最初のスカしたキャラは行方不明。馬鹿キャラに路線変更したらしい。
「な、な、な...」
ほら見ろ、お姫様が絶句してるぞ。
「──お前からコロス」
「やれるものならやってみなっ!」
阿呆みたいなバトルが始まる。
「シフォン、今のうちに逃げるぞ」
「う、うん...」
黒焦げが切り裂かれる。
「残念、それはフェイクさ!」
「──────」
そのあと、何故か森の一部にクレーターが出来たらしいけど、僕の知ったこっちゃない。
ストーリーがグチャグチャで申し訳ないです。
頭を空っぽにして読むと、いいかもしれません。