イタゾー!ソコダー!
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「刺客......?」
「ええ、狙われているのです。祖国から」
ふーむ...これは込み入った事情がありそうだ。
が、女の子一人にしておくわけにもいかず、守ることにした。
「いいよ。僕なんかで良ければ」
「いいんですか!?あの、お名前は...」
カーステ王国って、さっき追い出された国だよな?なら、断るはずもない。
名前、ね。
「磊婀...ライアって呼んで欲しい」
「ライア様、ライア様...素晴らしいお名前です!」
「君の名前は?」
「私はシフォン・デ・カーステ・アスキです。気軽にシフォンと。因みに、カーステ王国の姫です」
と、互いに打ち解けたところで目をそらしていた問題に直面する。
「......ところで、さ。後ろの惨殺死体はなんなの?」
「え、それはライア様が殴る蹴る刺す斬る燃やす凍らす...あとなんでしたっけ」
殴る蹴るの派生が中々酷かった。
「それ、人間業じゃないと思うよ」
明らかに誇張が入ってる。僕の身体能力はそこまで化け物染みてないし、なにより燃やすと凍らすって何だよ。
だが、可能性としては──
「──スキルの仕業だろうなぁ」
しみじみと、今日起こった出来事を振り替える。
「もしかして...スキルって、固有スキルのことですか!?まさかまさか──A級の冒険者さんですか!?」
「え、お姫様なのに知らないの?ついさっき異世界から召喚された勇者(笑)だけど」
お姫様...もといシフォンは考え込むような動作をし、首を横に振った。
「やれやれ、国王は何を考えているのか。で、なんで祖国に追われてるの?」
「その、それは...」
すると遠くで、イタゾー!ソコダー!という声がするのが聞こえる。
「...見つかったな」
「...見つかりましたね」
暫しの無言。
「逃げるか」
「逃げましょうか」
深い、森の中に入る。
イタゾー!ソコダー!