出逢い
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「やれやれ、追い出されてしまったわけだが...やれやれ、どうしようもないな」
すると、前方からヒャッハーという世紀末めいた声が。
「キャーー助けてー!」
僕は、その悲痛な叫びを聴き逃さなかった。
「やれやれ、これは僕の出番かな」
──僕は、昔から運動神経というものが皆より頭一つ抜けていた。
たぶん、筋肉の付き方が人とは違うのだろう。これは、一種の病気だ。
故に......
「何っ!?」
「お、りゃあっ!!」
一瞬で彼我の距離を詰め、そのまま素手で殴る。
...なるほど、人を殴るのは初めてだが、中々どうして爽快感があるな。殴ったのは顔、頬の辺りだが、心地がいいではないか。
『──スキル機動確認。これより、掃除を行います。モード:オート』
「──は?」
その時、僕のからだの支配権は完全に失われ、気がついたら女の子に手を差し伸べていた。
「あ、あの...ありがとうございますっ!」
「え、あ、ああ。うん、こちらこそ?」
お礼を言われた女性の顔を視て...思わず、絶句した。
「可愛い」
「え?」
おっと、つい本音が漏れた。だけれども、それほどまでに彼女は美しかった。
長く、腰まである艶やかな銀髪。小振りな鼻に、パッチリとした瞳。触れれば折れてしまいそうな...華奢な首。
今は何故か赤面しているが、その肌は白く、汚れのない純白そのものだ。
僕がまじまじと観察していたからだろうか、彼女はモジモジしながら声を出した。その仕草も、堪らなく愛らしい。
「そ、その...助けていただき、まことにありがとうございます。感謝の印といってはなんですが...こちらを」
そういい、僕に差し出したのは黄金のバッチのようなもの。
「これさえあれば、カーステ王国内なら大抵なんとかなります。──その、厚かましいようですが...」
そろそろ口を挟みたいところなのだが、タイミングがつかめず、待機中だ。
「私を、カーステ王国の刺客から守って頂けませんか?」
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