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青い春の夢  作者: an
6/7

「次は始業式だね、並ぼうか」

「そうだな」

 廊下に並んでそのまま体育館へ。

 そんな動きを学校では何度となく行う。

 始業式のみならず、終業式、定期的に行われる朝礼、回数を数えたらキリが無い。

 一種のパターンが出来上がり、メンバーが変わろうと何の変化も無く行われる。人間の慣れって凄い。

 体育館に着き、学年ごとに座ると、時間に合わせて式が始まる。

「えぇ、皆さんは本校の生徒として―――」

 校長の話は毎回長い。

 長さ故に生徒の意識はまばらになってしまう。

 居眠りをする者、隣の人と話し出す者、多くの人は話をほとんど聞いていないだろう。

 こんな事をぼんやり考えている時点で俺の脳にもその内容は入ってこない。

 早く終わらないだろうか。

「次は、生徒会長から。花夢結心さんお願いします」

 頭の中を支配していた面倒臭さがその一言で全て払われた。

 花夢結心というと、去年の俺のクラスメイトで、生徒会役員だった。

 いつの間に生徒会長になってたんだ?

 まだ二年生に進級したばかりのはずだがなぜ生徒会長に?

 だが、そんな結心の話は、自然と集中して聞き入ってしまった。

 他の人もそうだったのだろう。まわりは整然とし、居眠りしていた生徒も聞いていた。

「ニ、三年生は進級したばかりですが気を引き締め、一年生の生活を豊かに出来るよう、それぞれが役割を理解し行動できるよう期待しています」

 少し、納得した気がする。

 結心は上手いのだ。人をまとめること、人を動かすことが。

 まとめる力は生徒会長に必要不可欠だし、動かすことだって必要だ。

 それに去年の彼女を見ていたから分かる。結心は積極性が強く言われないうちからやるべき事を判断できる。

 結心は動かすだけでなく動けるのだ。

 そんな結心に感心している内に始業式は終わった。

 元々結心の話が最後だったようだ。

 各々が教室に戻ろうと動き始めたとき、ふとステージの方を見ると生徒会が片付けをしていた。

「全部あの少人数でやってるのか」

 多分会場準備も生徒会が昨日からやってたんだろう。

 そして片付けも今できるだけやってあとは放課後にやるのだと思う。

 そう思うとやることは一つだ。

 だが俺だけではどうも人が足りない。

「なぁ遙花、ちょっと良いか?」

 だから遙花にも手伝ってもらおう。

 それでもまだ、焼け石に水かもしれないけど。

「あまり意味の無い俺の自己満足に付き合ってくれ」

 焼け石に水かもしれない。だからこれは自己満足だ。

「オッケー。やりたいことは分かった。だったらさ、もっと人を呼べば良いんじゃない?」

 そう言うと遙花は教室に戻る人だかりから女子生徒を数人連れてきた。

「これでどう?男子に比べたら力不足かもしれないけど、皆でやれば早く終わるよ!」

 なるほど、友達が多くその友達との結束が強い遙花らしい発想だ。

 次の時限まで十分の休憩を挟む。その時間内で終わらせよう。

「花夢、手伝いに来たぞ」

 各々が生徒会の手伝いを始める。

 もとより片付けをしていた生徒会メンバーは驚きながらも凄く喜んでいた。

 勿論結心も例外ではなかった。

「良いんですか?ありがとうございます!」

 そう言って何度も頭を下げてきたので少し気が引けた。


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