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「こんなところで負けられるかッ!!」
「ここまで来るだけの実力はあるな小僧ッ!!だがッ!!」
王城の広場ほどの大きさの場で、剣と剣がぶつかり合う緊迫した場面。
瞬き1つで優劣が決まるほどの苛烈な応酬。
一人の鎧を纏った青年と、軽装だが独特な雰囲気を纏った人物が織り成す戦いの音はどこまでも続く。
「メルッ!?まだかッ!!」
「無茶言わないでッ!!そんな余裕あるわけないでしょッ!?」
同じ場所で、同じように緊迫した場面を作り出してるのがもう一組。
「絶対に撃たせるなッ!!」
「わかっております『魔王様』」
『魔王』と呼ばれる存在と戦う青年と、『魔王』と呼び『メル』と呼ばれた少女と戦う人物は、どちらも一進一退終わりが見えない攻防を続けていた。
『終わったよ、アル?』
「ありがとう『レイ』ッ!」
「なにッ!?これはッ!?」
一進一退の剣撃を続けていた『魔王』と青年の攻防は、突如として青年優勢へと変わっていった。
青年の剣術が先程より遥かに速くなったためだ。
防戦一方となった『魔王』の剣を、一瞬にして青年の剣が弾き飛ばした。
「まさかッ!!これがッ!?」
「これが俺『達』の一撃だッ!!!!」
剣を弾き飛ばされた『魔王』は驚愕の表情を見せ、青年は『輝いた』剣を『魔王』目掛けて降り下ろす。
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『私が見えるんですか?』
「僕と『友達』になってくれる?」
『アル以外に見えないしね、私は。『憑いて』いくよ』
「『俺』はもっと強くなりたいんだ。レイ、協力してくれ」
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青年になる前の少年が、とある存在と出会ったことにより始まった
『勇者と魔王の』
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