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君と共に歩む道 04

 

 急に触れられた箇所が熱い。しかも先に謝ってくるなんてことまで。そういうことがさらりとできちゃうキイチくんはずるい。あんなことをされたら、ドキリとしない方が難しい。まだ胸がバクバクしている。

 少しの間怒っても落ち着いたら喋ってくれたりすることなんて、出会った頃からしたら考えられない。最初の頃なんてイタズラしたら、怒鳴るし脅すし物を投げるし…。あれ、今とあまり変わってない?いや、でも確実にいっぱい変わっているのは、私が一番わかっている。もっと前は刺々しかった。



 そういえば初めてイタズラしたのも時計にだったっけ。寝ている間に家中の時計を30分進めておく、というとてもシンプルなもの。それにキイチ君は全く気付くことなく仕事に向かって行ったから、私はお世話係に報告までする大はしゃぎ。それからこれからの計画を立てるため、部屋に紙を広げて一人作戦会議。帰って来た時の悔しそうな顔も楽しみだった。だから家の扉が開いた音が聞こえた時私は笑顔で出迎えに向かったわけだけど、浮かれ気分はそこまで。


「お前、何した?」


 冷たい声と怒りに満ちた表情を見たら、そんな呑気な気でいられるはずもなくて。人間も魔王様みたいな怖い顔が出来るんだと知ったのは、あの時だ。

 遅刻させたわけじゃないけれど、いつもと違うルーティーンに色々調子を狂わされてミスが多かったようで、更にイライラが募った状態で帰宅したキイチ君。イタズラを仕掛けなければそんなこともなかったと近所迷惑も省みない怒鳴り声に、最初の時以上の暴力行為。そこに、これからのイタズラ計画表が見つかったから火に油。『帰れ』と更に過激なことをされ、その後一週間完全無視されて、反応されたと思ったら外に放りだされたり。

 だから、その頃からしたら驚くほどの対応。イタズラをしても少し怒らるだけで終わるくらいなら安いっていうもの。それでこんな気分になれるなら、程度を見極めてまたやれば、なんてことまで思ってしまう。そもそもある程度任務をこなさなければ任務失敗からの撤退命令が下されるかもしれないから、不幸にする活動はしなきゃいけないのだけれど。


 私はまだまだキイチ君の傍に居たい。だからそのためにも。


「今はごめんね」


 マズイ匂いが遠くからした。このまま居たら間違いなく遭遇してしまう。事情を説明する時間はなさそうだからと、言葉も残さず急いで移動した。

 きっとあの子が来たらキイチ君は色々酷い事言われるに違いない。それはちょっと申し訳ないけれど、これも不幸にする一環ということで、ね。



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