らぶろーど
ボクの名前はユウ。18歳。
今ボクは家から歩いて10分ほどにある街路樹が立ち並ぶ道の片隅にあるベンチに座っている。
この道はボクにとってすごく大切で思い入れのある道だ。
ボクには1年前まで彼女がいた。彼女の名前はサキ。今でもサキのことを忘れられず1人でいると、ついサキの事を考えてしまう。
サキと初めて出会ったのは中学2年の冬だった。場所は街路樹が立ち並ぶあの道。
ボクはその日学校に遅刻しそうでその道を走っていた。
すると視線の先に苦しそうに座り込んでいる女の子がいた。ボクはその女の子に 『どうしたん?大丈夫か?』と聞いた。 聞くと女の子は 『大丈夫。ただたちくらみがしただけ。』そうゆうと立ち上がって歩きだした。見ると女の子が着ている制服はボクが通っている学校のすぐとなりの中学の制服だった。それが初めてサキと出会った瞬間だった。
ボクは少し心配になり『となりの学校じゃん!いっしょにいこうよ!』と誘った。するとサキは 『いいよ!遅刻モノ同士だし!』と笑いながらゆった。サキは笑顔がかわいく、肌は真っ白で背がかなりちいさかった。
すぐに仲良くなったボクらはアドレスを交換し、たわいもない話をしながら学校にいった。サキの学校の前についたら 『今日の夜メールするね〜!』と言いのこして走って行ってしまった。
その日の夜 風呂からあがるとケータイが鳴っていた。開くとサキからだった。内容は『今日はありがとね〜!今度遊ぼうよ!』とゆうものだった。サキの事を少し気に入っていたボクは『いいよ!』と送った。
それからしばらくたった日曜日。ボクはサキと遊ぶ事になった。
2人で映画を見に行った。映画を見た後は特ににする事もなくなり帰る事になった。帰り道 急にサキが『うちら付き合わん?』とゆった。ボクはビックリしたが正直うれしかった。すぐに『うん!』と返事した後サキは笑ってボクの手をにぎって『じゃ〜手つないで帰ろ!』とゆった。ボクはドキドキして死にそうだった。 ちっちゃくてかわいらしいサキの手。 サキを家まで送って手を離す時、ボクは少しさびしくなった。次の日からボクとサキはいっしょに学校に行く事になった。
毎日が楽しい。これがずっと続けばいいな。 そんな事を思っていた。そんな日が中学3年の終わりごろまで続いた。けどそんな願いは次の日から急に叶わなくなった・・・。
ボクいつものようにサキを街路樹の道のベンチで待っていた。けれどいつまでも待ってもサキが来る事はなかった。その日はしかたなく1人で学校にいった。 学校から帰ってボクはサキに電話をした。だけどつながらなかった。しょうがなくメールで『今日どうしたん?』と送った。しかしその日返事がくる事はなかった。
次の日もまた次の日もサキからの連絡はなかった。そのまま半年がすぎた。中学の近くにある高校に入学したボクは1人で学校に行っていた。サキの事はあきらめかけていた。
ある日学校から帰っているとサキが街路樹の道のベンチにすわっていた。ボクは走ってサキのもとへ行き 『サキ?なんで連絡くれんかったん?どうしたん?』とゆった。
するとサキは『ごめん…。ごめんね…。』とゆって震えて涙を流していた。よく見るとサキは前よりもやせて顔色も悪い。
ボクはサキを強く抱き締めた。しばらくそのままでいた後、少し落ち着いてきたサキにボクは『なんでも聞くから。』とゆってサキのとなりに座った。サキはゆっくりと か細い声でボクに話し始めた。
自分が白血病であること…ボクと初めて会った時からもう長くは生きられないと知っていた事…体調が悪くなり入院していてずっと学校にもいかずボクに連絡するのがこわくなっていた事…全部を聞いたボクは頭が真っ白になった・・・。 だけどすぐに我にかえって気付いた。一番辛いのはサキで怖くてしかたないのだ。ボクは『俺が支えてやるから!もう1人で辛い思いはするな!』とサキにゆった。 するとサキはまた泣きだした。ボクはサキをまた強く抱き締めた。
それからサキが泣きやんでから病院までサキを送ってボクは家に帰った。
その日の夜、ボクは泣いた。声を出して泣いた。いくら泣いても涙があふれてくる…。
なんでサキが・・・
なんでサキなんだよ・・・。ボクは生まれて初めて神様を恨んだ。
次の日からボクは毎日サキのいる病院にいった。ボクがいくたびにサキはとびきりの笑顔を見せてくれる。
ボクは病院の先生とサキの親に許しをもらって2人で散歩にいった。ボクはもう歩けなくなったサキの車イスを押した・・・。
『どこにいきたい?』とサキに聞くと 『じゃ〜いつものベンチ!』とはしゃぎながらゆった。
ベンチにつくとボクはサキを車イスから抱えてベンチに座らせた。ボクがとなりに座ろうとすると サキが『ジュース買ってきてよ〜!』とゆうのでボクはジュースを近くのコンビニまで買いにいった。コンビニから帰ってくるとサキが『ありがとっ!』とゆってボクにキスをした…。ボクらの初めてのキスだった。
しばらく話してからサキを病院まで送った。
そしてそれから2ヶ月後…いつものように病院にいくと なにやらサキの部屋があわただしい。行ってみるとサキの容体が悪化したらしい。サキの両親も『サキー!サキー!』と呼び掛けながら泣いている。ボクはもってきた花を床におとした。そのままサキに駆け寄ると呼吸器をつけて体にいろんなチューブがついているサキがいた…。ボクはサキの手をにぎって叫んだ。『サキーっっ!』何度も何度も叫んだ。するとサキが少し笑ったようにみえた。
それから1時間後…先生と話をしていたサキの両親が部屋に戻ってきた。
『今夜が峠だって…』サキの母がそうゆうとその場で泣きくずれた。ボクはサキに『うそだろ?なぁサキ。俺を置いて逝くのか?逝かないだろ?うそだってゆってくれよ!』とゆった。
すると眠っていたサキが目を開けて『…ユウ?…ごめんね。
サキもうダメみたい。
…ユウ?サキね…ユウと出会えてほんとに幸せだよ…?本当はね最初に会う前からユウの事見てたんだよ。
ずっと好きだったんだよ。
だからあの日偶然あの場所でたちくらみがして遅刻したらユウに話しかけられた時ちょっとこの病気に感謝しちゃった。…もっとユウといっぱいいっしょにいたかった…。でもそれももうできないんだね…。…さびしいよ…怖いよ…死にたくない…もっとユウと思い出つくりたいよ…。ユウ?今まで本当はありがとね…。サキはずっとユウの事大好きだよ…?ちょっと先に天国で待ってるからユウが天国にきてまた出会えたら…その時は結婚してくれる?』とゆった。ボクは『絶対結婚しような!俺もサキの事大好きだよ!先に天国いっても浮気すんなよ!』とサキにゆった。するとサキはニコっと笑ってボクの手をにぎった。
そしてー・・・
ピーーーー・・・。
心電図の音が鳴り響いた…。
サキは…天国にいってしまった…。
ボクは泣かなかった。また天国で会って結婚するとサキと約束したから…。
サキ…最期も笑ってたな…。
サキが天国に行って3日・・・ボクはあのベンチにいった。 着いてからふとベンチを見るとベンチの端になにか文字が掘ってある…ボクはその文字をみた瞬間 涙が一気にあふれだしてきた。
『ユウへ ありがとう』
とベンチに掘っていた。サキと散歩に行った時ボクにジュースを買いに行かせている間にサキが掘ったものだった。
サキと初めて出会った場所…サキから告白された場所…初めてキスをした場所…
サキとの思い出は全部この道だった…。
もうサキの小さい手をにぎる事もできない…話すことも…サキの笑顔を見る事も…
サキは逝ってしまった…。
1年後・・・
ボクは今ベンチにすわっている。もちろんサキとの思い出がつまったあのベンチに…。
『サキ?聞こえるか?浮気してないだろうな〜?俺、サキの分までいっぱい生きていろんな経験してからサキんとこにいくからな!それでサキにどんな事があったかいっぱい話してあげるよ。その時まで待っててくれよ!俺が天国にいったら、またとびっきりの笑顔見せてくれよな!』
ベンチから街路樹を見ると、空がみえないくらいに桜が咲いていた・・・。
おわり