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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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呉越同車

「…はっ」

―やべー、また転寝しちゃった…。てかここどこだよ…。ヘッドライト以外は真っ暗でどこ走っているかわかんねーや…。

 道中、何度か転寝をしては起きる、を繰り返していた永田。

「大丈夫か?」

「大丈夫って…」

―アンタのほうが心配だよオレは。投手(ピッチャー)で労力使っているのにオレみたいなやつを態々送ってくれるってんだから…。

 情野に心配される永田だったが、永田もまた情野の体力面での心配をしていた。と、前走車がブレーキランプを点灯させて停まる。信号機があるわけでも無さそうなのに…、何かあったのだろうか。


 前走車に続いて、2人を乗せた車も停まった。何があったのかと情野が運転席から更に右側を覗き込むが、良くわからない。

 一方で、これは長くなると見込んだ永田は、ガラパゴス携帯電話を開いた。開く直前に、一瞬車内のデジタル時計を見る。


―随分遅くなったな…、あれ? 不在着信来てる…。

 車が停まっている間、永田は不在着信を掛けてきた主に折り返し掛け直す。ちょっとごめん、と情野に断りを入れてから携帯電話の発信ボタンを押す。


「…もしもし、夜分に失礼します、着信頂いてました。…はい、あ、ありがとうございます。…わかりました、連絡ありがとうございました。…夜分に失礼しました。おやすみなさい」


 電話を切ってガラパゴス携帯電話を折り畳むと、情野が話し掛けて来た。

「誰から?」

「監督から。明日以降の連絡だった」

 ふぅん…。情野はそれ以上は踏み込まなかった。一応今は同じ車に乗っているとは言え、元は別のチーム同士の人間である。よそ様の情報に態々踏み入れるのは失礼と判断して、敢えて身を引いた。

 徳山監督も、1人遅れて帰る主将(キャプテン)に確実に連絡できるように携帯電話に掛けたが、助手席に座っていたとはいえ車で移動中だったこともあってか、このタイミングになるまで携帯電話を開けなかった。だから他人様の、それも主将(キャプテン)がすぐ右にいるという状態の車内で電話するという光景が展開されたのである。


 前走車がブレーキランプを消灯して、ゆっくりと進む。そのまま緩やかに対向車線へ入っていたので、自分たちが走っている車線で何かあったようだ。

 前走車に続いて、2人を乗せた車もゆっくりと進む。対向車線に入る際に立っていた交通整理員にお疲れ様です、と2人が車の窓越しに会釈すると、永田はその奥で行われていたらしい現場に目を凝らす。


―…あー…、そういうことか…。


 この光景を見て、永田は納得した。謎の混雑の原因は軽乗用車が走行中に故障したらしく道路脇に停車していて、その軽乗用車をレッカー車で運ぶ為に一時的に片側の交互通行にしていたのだった。既に軽乗用車はレッカー車と繋がっている。


 あとは道路上の安全パイロンを片付けて、レッカー車で牽引するだけの状態の2台の横を通過して、前走車に続いて自分たちも緩やかに元の車線へと戻った。


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