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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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結束と気合の円陣

「ありがとうございました」

 チームの中で1人最後まで残っていた永田は、改めて球場事務所の前で挨拶をしてから、メダルが入った箱を持って羽前球場を後にした。

「あれ、それだけお前の荷物?」

 情野が荷物を持って待機していた。2人は事前に約束した通り、情野の車で帰る。永田の荷物は第3試合が終わった後に関川に預けたので、帰った時に取りに行く。そして、何度か預かっていた酒田ブルティモアズの分のメダルが入った箱は、荒瀬が待機していた本間監督に山形県代表旗を渡して、その際に荒瀬が引き取る形で返している。

 その為、永田の荷物はN`Carsの分のメダルが入った箱だけだった。

「…うん」

「身軽だな」


 駐車場に到着すると、荒瀬と平山が待機していた。

「あれ、何やってんの?」

「荒瀬が待てって…」

 2人とも、荷物は全て乗って来た車の中に閉まってあるのか、両手が手ぶらだ。情野が質問すると平山がこう返したので、つまり平山もどうして待たされているかはわからない。と、4人揃ったのを見て、荒瀬が全員を集合させた。


「今から円陣をします」

「円陣?」

「うん。これから…、ってかもう既に全国との戦いは始まっていると思って良い。その上で、今年は全都道府県4チームずつだからオレらもこうして4チーム全国大会の切符を有り難く頂いているわけだけど、どのチームも、皆山形県代表の看板を背負っているわけよ。つまりどういうことだと思う? 永田」

「えっ…、その4チームの…、どっか1つに頼っちゃ駄目とか…?」

「まあそれもある。たとえ1チームが頑張っても他のチームが頑張らなかったらそれは県のレベル向上にはならない。つまり? 平山」

「皆で束になって挑め、ってこと?」

「そういうこと。全チームが頑張り続けてこそ、県のレベルは向上する。これはその為の結束と気合を入れる為の円陣だ」


 荒瀬の説明を聞いて、これはその為の待機と円陣かと皆納得した。


「良し…、目標は何だ? 情野」

「…頂点(テッペン)

「皆そこ向かってくぞ。良いな!?」

「はい!」

「っしゃ…、皆で頂点(テッペン)取るぞ!!」

「おー!!」


 全国大会へ向けて、気持ちを結束させて気合を入れた4人。円陣が終わると、お互い頑張れよ等と檄を言い合いながら、それぞれ自分の車に乗った。


「ほれ、永田」

「ああ」

 情野が自分の車のトランクを開けて待機している。メダルの入った箱は情野の荷物の上に置かせて貰っていたので、素早くトランクに移動させた。

「そんじゃ、よろしくお願いします」

「ああ」

 情野が自分の荷物を積んだ後、トランクを閉めてから鍵を掛けて、運転席のドアを開ける。これに合わせて、永田も助手席のドアを開ける。

 他人様の車に乗せて貰うこともあってか、若干緊張気味の面持ちで永田はゆっくりと助手席に座った。

「もっと楽で良いよ」

「ああ」

 永田が助手席のドアを閉めると、情野はクラッチペダルを踏んでシフトレバーをバックギアからニュートラルに戻した後、ブレーキペダルも踏んでキーを右側に捻ってエンジンをかけた。

 その後、シートベルトのバックルが見やすい様にか、室内灯を点灯させた。

「…態々済まない」

「いや、良い」

 シートベルトをバックルに挿し込んだのを見てから、情野はカーナビの目的地のページを開いた。

「どこだっけ」

「えーと…」

 永田に教えられた目的地を慣れた手付きで入力すると、情野は室内灯を消灯させて、クラッチペダルを踏んでからシフトレバーをニュートラルから1速に入れた。

「よろしくお願いします」

「うん」

 永田のヤツ、もっと気楽にやって良いのにな…と思いつつ、情野はハンドブレーキを解除した。既に荒瀬と平山は、それぞれの帰路を走っている。


 2人を乗せてヘッドライトを点灯させた車は、半クラッチ状態でゆっくりと進んだ。その後、羽前球場の駐車場からゆっくりと一般道に進んで、帰路を走り始めた。


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