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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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帰りは別行動

 いつものように、マイクロバスが停まっている駐車場まで荷物と道具を持って全力疾走したN`Carsのメンバー。走り終えた後、トランクルームに道具を順次閉まって、閉まったメンバーから荷物を持って順にバスに乗り込む。


「お願いします」

「お願いします」

 メンバー1人1人がバスの運転手と入口の手前でそれぞれ挨拶してから、荷物を持ってバスに乗り込んで各自席に座る。一通り道具を閉まった後、バスの周りに乗せ忘れた物が無いか点検してから、トランクルームの扉を閉める。


「お願いします」

 最後の1人もバスに乗って、自分の席に荷物を置いてから、バスに乗っている人数を数え始める。


「…16、…19、全員います」

「ちょっと待って」

「ん?」

 松浪が呼び止めた。

「人数おかしくないか? 何で19人?」

「そうだよ。20人の筈だけど…、何で1人いないの?」

 松浪と戸川の立て続けの質問に、関川が答える。

「ああ、永田は閉会式あるから」

「そう。だがら永田はこのバスさ乗らねで後で1人で帰って来る」

 関川の説明に徳山監督が補足したことで、

「何だびっくりした」

「ああ、そういうことか」

2人は納得した。何なら道具の乗せ忘れチェックも、バスに乗車後の点呼も、全て関川が担っていた。




数分前




「永田」

「うん?」

「閉会式あるやんな?」

「そうだけど…、それがどうかしたの?」

「荷物預かろうか思てな…、身軽なほうがええやろ?」

「えっ」


 関川の提案に一瞬迷う永田。返事も詰まり気味だった。

「…うーん…、自分で持って帰る気でいたけど」

「帰り位身軽なほうがええて。オレらより長く荷物持ったまま球場に居って、その後閉会式やってから帰るんやろ? 長時間遠方に居ることも、荷物を持ち続けたまま移動することも、人間の疲労の元やで」

「…ああそうか」

 関川に説得されて、永田は持っていた荷物を全て降ろした後、関川に預けた。

―でもちゃんと自分で持って帰ろうとしたんはええことやで。今回は疲労考慮でそないさせて貰うけど。


 関川は2人分の荷物と道具を抱えることになったが、本人は気にしていなかった。

「永田」

「ん?」

「帰ったらオレか開次の家に荷物取りに来てや。お前ん家からハイツ、見えるやんな?」

「あ、うん」


 永田の家と、関川と片山が住むハイツはお互い見える距離にある。だからお互いこの手の会話もスムーズに成り立つ。

「ほな帰ったら」

「うん、じゃあ宜しく。あとオレから1つ」

「何や?」

「帰りのバスからのルーティン全部、お願いして良い?」

「ああ、任せとき」

 この直後、永田は1人球場に戻って、他の19人のメンバーは、一斉にダッシュでマイクロバスが停まっている駐車場へダッシュした。このやり取りが、少し前に交わされていた。




再び羽前球場 駐車場




「それで浩介荷物2人分持ってたわけか」

「そしてオレは途中で道具2人分持たされた」

「えっ!?」

 都筑が関川がどうして荷物を2人分持っていたのか謎が解けるなり、片山から衝撃の告白が。だが、

「ま、ええわ。手伝わされたムードやったけど、倍トレーニングできるからええ」

と、関川がどうやら途中で道具を片山に渡していたようだが、こちらもあまり気にしていなかった。


 バスの運転手がクラッチペダルを踏んで、シフトレバーをバックギアからニュートラルに入れ直してからエンジンを掛ける。

「全員居るんで」

「それじゃ、宜しくお願いします」

 1度別のやり取りを挟んだ後だったので関川は再び徳山監督にそういった後、徳山監督はバスの運転手に挨拶した。


「えっと、お1人様別行動、で宜しいですね?」

「はい」

「わかりました。では安全運転で参りますので宜しくお願いします」

 永田が球場のバックネット裏のアルプススタンドに着いたとほぼ同時に、N`Carsのメンバーを乗せたマイクロバスはハンドブレーキを下ろした後、クラッチペダルを踏んでシフトレバーをニュートラルから1速に入れてから、ゆっくりと半クラッチで長井へと戻って行った。


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