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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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80/136

新庄ゴールデンスターズの反撃

 外野スタンドに戻った時、球場内が何やら盛り上がっていた。

「あ、お帰り」

「どったの?」

「ああ…、今4回表、1アウト1・3塁のチャンス」

「マ?」


 5点を追う攻撃。新庄ゴールデンスターズはこの試合初めて得点圏にランナーを置き、チャンスらしいチャンスを作っていた。帰りを出迎えてくれた高峰にそう教えられ、永田はグラウンドのほうを見た。


『4回の表、5対0と山形スタイリーズリードで迎えたこの回の新庄ゴールデンスターズは1アウト1・3塁とこの試合初めて得点圏にランナーを置きました。山形スタイリーズの内野は二遊間がやや深め、2塁経由でのダブルプレーを狙おうという体勢です。3回無失点の横山ですがこの試合初めてのピンチ。セットポジションから第1球を投げました』


キィン!


『三遊間、深い位置だがショート平山捕った! 反転させて2塁へフォースアウト、1塁は!?』


「セーフ!!」

『1塁セーフ!! 3塁ランナーホームイン、5対1!! ダブルプレー崩れの間に1点を返しました、新庄ゴールデンスターズ! そして尚も2アウト1塁のチャンスです!』

「深かったのに良く捕ったな」

「そこからのスローイング…、動きが俊敏で良い。そして尚且つストライク送球」

 萩原と小宮山は、一連のキープレイヤーとなった平山に注目していた。深い位置の上逆シングルで抜ける筈だった打球が捌かれ、捕った後素早く体を左方向へ反転させての2塁へのスローイング。難しい体勢からの送球なのに、これがストライク送球になるのだ。

―あれが捕られるのか…。

―味方にしたら欲しいけど敵にしたら嫌なショートだな…。さっきの鶴岡クレーンズの羽黒もそうだけど。


『ここは横山くんは切り替えて行きたいですね』

『はい。そして新庄ゴールデンスターズはどこまで得点を挙げられるか。依然2アウト1塁とチャンスが続きます』


―新庄ゴールデンスターズは前2戦がそれぞれ3対1、3対0…。2試合で平均3点しか取れてない上残塁も少ない。少ないチャンスで効率良く得点できる代わりにその得点が少ない。逆に守備は2戦ノーエラー。前の年からだったか公式戦ノーエラーの記録が続いてるらしいな…。平均3点では効率の良さはあるけど総合的な打力は一歩劣るが、守備は堅実。無駄な点をやらずに済んでいるから、少ない得点でも守り勝てる。つまり新庄ゴールデンスターズは守備のチームだ。そうなると攻撃面では少ないチャンスで続け様に繋いで点を取るしかない。況してこの回始まった時点で5点差、今も4点差だ…。


 永田と同じことを、携帯ラジオを聴いていた関川と都筑も考えていた。

―これ取れる時に取っとかんと後で苦しいで。横山から点取れるんはこの回しかない思うてた方がええ。

―これもう2、3点入ったらわかんないな…。集中的に取れば向こうも焦るぞ。


 だが、現実は横山が踏ん張った。続くバッターを中飛(センターフライ)に打ち取ってチェンジ。反撃のチャンスを最小限に抑えた山形スタイリーズのメンバーは全員駆け足で3塁側ベンチへと戻って、新庄ゴールデンスターズのメンバーは駆け足で守備に就いた。両者が駆け足で移動する中、スコアボードのBSOランプは全て消えて、4回の表のスコアボードは先程から灯っていた1の数字が、そのまま止まっていた。


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