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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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清掃、そして第3試合へ

 今日貸して頂いたロッカールームは比較的広いので、役割分担をすることにした。

「まず荷物と道具を廊下に出す、それからここのロッカールームの掃除を…、2つに区切ってグループを分けて行います」

「2つに分けんの?」

「いや、3つ。荷物運びと、ロッカールームの掃除2グループで、計3グループ」

 永田の指揮で、N`Carsのメンバーは3つのグループに分かれて作業を始めた。作業が始まるなり永田はロッカールームのドアを全開にする。

「え、何でそこ?」

「だって…、どうせこの後廊下とロッカールームを往復すんじゃん」

「…ああ成る程」


 ドアを全開にした後、永田はドアの近くに立って、再び指示を出した。

「まず荷物と道具は廊下に出して! 並べるのはオレやるから。で、掃除担当の2グループは、床の上の土を塵取りで集めたらそれ持って来て! 持ってくから」

「永田はどうすんの?」

荷物(こっち)終わったら掃除(そっち)やる」


 ということで、永田はまず運ばれて来た荷物や道具を並べる作業を始めた。荷物運びのグループから荷物や道具を受け取っては廊下の出来るだけ端のほうに並べる。一通り並べると、

―これ、背番号順のほうが良いか…。

と、荷物をメンバーの背番号順に並び変え始めた。荷物が崩れて他のメンバーの物と混ざらないように気を付けながら、1つずつ並べていく。

 そして道具も、メンバーがすぐに持ち易いように、且つ廊下の邪魔にならないように纏め直す。取っ手がすぐに持ち易いよう廊下側に向いた状態で全て置く。


 全て並び終えた永田は、清掃作業に入ろうと、全開にしていたドアからロッカールームに入った。そして掃除用具入れの扉を開けたが…、

「あれ?」

中にあった道具は全て出払っていた。この中には、長帚複数本と子帚複数本、そして塵取りも複数個あったのだが…、綺麗に皆、清掃作業で大活躍中だった。

「塵取りに溜まったよー」

 萩原が土が溜まった塵取りを永田に渡した。その土をグラウンドに還そうとロッカールームを出ようとした時、戸川も同じく土が溜まった塵取りを永田に渡した。双方から受け取った2個の塵取りを持って、永田は土を還しに行った。


「ああ…、これ別に良いんだけど…」

「えっ?」

 その塵取りを渡そうと、近くにいた係員に声を掛けて事情を説明すると、こう言われた。何でも、

「普通にゴミ箱に処理して貰っても良いのに…」

とのことであった。

「でも折角持って来て貰ったので、処分しときますね」

「お願いします」

 結局今回は引き受けてくださったが、永田は複雑な気持ちであった。

―何か、要らんことさせてしまったな…。


「はい」

「ん?」

 複雑な気持ちの永田の目の前に、塵取りが2個現れた。土を還した後らしく、中身が空だった。

「あ…、ありがとうございます…」

「君らベンチ拭きといい今の掃除といいかなり徹底してる様だけど…、あまり気にし過ぎないほうが良いんじゃないか?」

「いや…、他のチームに迷惑掛けたくないんで…」

「まあ…、でもその心構えはこれからも続けていって…、全国大会、頑張って来てください」

「はい、ありがとうございます」


 ちょっと複雑な面持ちではあったものの、無事に一仕事を終えた永田は、空の塵取りを2個持って戻って来た。掃除用具入れを開けると、さっきまでロッカールームの掃除で大活躍していた掃除用具たちが綺麗に整頓されていた。そこに塵取りを返して、扉を閉める。そしてその後で、既にロッカールームの出入り口の前で整列していたメンバーの列に加わった。

「気を付け、礼! ありがとうございました!!」

「ありがとうございました!!」

 いつものように、永田を先頭にN`Carsのメンバー全員が今日貸してくださったロッカールームに挨拶する。

「じゃあ道具と荷物持って…、荷物は背番号順に並び変えてあるから」

 N`Carsのメンバーは1人ずつロッカールームに脱帽の上挨拶、一礼して出た後、出た順に自分の荷物、そして道具を持って全員揃うまで待機した。

 最後に出た人がロッカールームの出入り口のドアを閉めて、監督が鍵を掛ける。鍵はこの後球場事務所に返却する。

「さあ、第3試合観るぞ」

 ロッカールームに鍵を掛けた徳山監督を先頭に、N`Carsのメンバーは全員荷物と道具を持って、第3試合の新庄ゴールデンスターズ 対 山形スタイリーズの試合を観るべく、外野スタンドへと向かった。


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