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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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72/135

自軍の主将と強豪チームのメンタルの差

「皆お待たせ。さあ応援団挨拶に…、」

行こうとした時、何やらオーラを放つ人たちの集団が目に入った永田は、一瞬そこで立ち止まった。


 良く見ると、それはこの後第3試合に登場する、山形スタイリーズのメンバーだった。


「皆尚更急いで! 大御所待たせちゃ駄目―!」

 強豪チームを見るなり焦り狂ったように次の行動のテンポを上げたが、


「うわっ」

ドタ―ンッ。


急いでと指示した主将(キャプテン)が、グラウンドと3塁側ベンチの境目で足を踏み外して転倒した。


「大丈夫が?」

「…ええ」

と言って、永田が転倒した姿勢のまま徳山監督に背中越しに見せたのは予備抽選の籤が入った茶封筒。

「いや、茶封筒でねぐて、おめの足よ」

「あ…、大丈夫です」


 ゆっくりと茶封筒を持ったまま、永田は立ち上がった。


「焦んなくて良いですよ」

―ん?

 立ち上がった時、どこからか声がした。それもうちのメンバーの誰でもない、聞き慣れない声だ。

「オレらがテキパキ行動すれば良いだけですから」

 声のするほうを向くと、山形スタイリーズの選手が2人、こちらを見ていた。


「あ…、そですか…、でも後のこともあるから…」

 そう言うと永田は予備抽選の籤が入った茶封筒を速やかに自分のバッグに閉まった。


 話しかけてきたのは、話しかけた順に、平山と笹原。2人とも山形スタイリーズの主力選手である。

 N`Carsの他のメンバーは既に応援団挨拶に向かっている。永田は声を掛けてくれた2人をはじめ待たせている皆様に申し訳無さそうに帽子に手を当てて頭を下げると、駆け足で応援団挨拶に向かった。


―待たせて申し訳ないとでも言いたかったのかな…?

「どしたの?」

「ん?」

 平山が応援団挨拶に駆け足で向かう背番号9を見ていると、その後ろからまた違う人の声がした。


「あ、横」

 声の主は山形スタイリーズのエースピッチャー・横山だった。投手ながら初戦となった2回戦の蔵王キングス戦で1本塁打を放っている強打者でもある。

「いや…、前の試合で勝ったチームの主将(キャプテン)がちょっとテンパってたから…、オレらで落ち着かせてただけだよ」

「…ふーん」


「あがり過ぎやねんお前」

「最初から最後まで焦り過ぎや」

「うるせーな。良いから早く並べ」

 関川(副キャプテン)片山(エースピッチャー)のツッコミに対して素直じゃない態度を見せつつも、永田は全員に次の指示をした。


「真っ直ぐ…、良し。気を付け、礼! 応援ありがとうございました!!」

「ありがとうございました!!」

 揃って一礼。全国大会初出場という偉業を成し遂げた彼らに祝福の声や、全国大会での活躍を願っての激励の声が多数聞かれる中、


「さ、皆急いで―! 大御所待たせちゃ駄目―!」

―せやから強豪チームを大御所言うの止めえや。アイツらかて居辛くなるでホンマ。

「そうだね。オレも」

―瞬もか…。まあでも、

「後ろがどんなチームであっても待たせちゃ駄目だ。皆急ぐぞ」

―監督言いたいこと全部言うてくれはったわ。ありがとうございます。


1人行動を急ごうと凄い勢いで3塁側ベンチにダッシュする永田、それに続く萩原、徳山監督の指示で更にそれに続くN`Carsのメンバー、の順に一斉にダッシュで3塁側ベンチに戻った。

―これをサポートするのが副キャプテンのオレやねんけどな…。まずはアイツを落ち着かせな…。

 今日は朝からキャプテンの言動に悩まされ続けている関川。まずは永田をサポートしようと、途中から永田に追い付くべくダッシュのスピードを上げた。


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