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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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51/135

良いプレーヤー程

―その点朝日は…、引っ込み思案と言うか抱え込みがちな性格なんだよな…。

「ボールバック! セカン行くぞ!」

「朝日…、お前だぞ」

「あっ、そっか」

―今のもオレに言われるまで反応薄かったもんな…。


「走った!」


バシィ!


「ナイボール! ほれ」

―あ、何だ、心配無いか…。

「良し守ろう! この回中軸だからな皆!」

「締まっていくぞー!!」

「おー!!」


『1対0と1点をリードする鶴岡クレーンズ。しかし1点を追うN`Carsはこの回は中軸から、しかもホームランバッターが続きます』

『2回の裏、N`Carsの攻撃は―4番 ファースト 三池。ファースト 三池』

「プレイ!」

『1・2回戦で2試合連続ホームランの三池。今大会9打数4安打、うち長打が3本と実に長打力のある選手』

―ストレート? スライダー?

―スライダー。長打力はあってもスライダーには弱い。昨日兼人とデータ取ったから確証はあるよ。

―良し、スライダーで行こう。

―ん。


バシィ!


「ストライーク!」

『空振り。しかし三池も初球から狙っていきました』

―スイング良いけどブンブン振ってるだけだな。これじゃスライダーは打てない、3つ続けるか。

―そうだね。苦手だから尚更。温海が選択肢に挙げてくれたストレートには多分強いだろうけど、つまりはそれじゃホームラン打たれる可能性もあるってことだもんね。


ドシィ!


「ストライクツー!」

『バッテリー2球続けてスライダーを投げて来ました』

『何でしょう…、どこか自信を持って思い切って投げているようにも見えます鶴岡バッテリー』


ドシィ!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

『空振り三振! これで平吹は初回から4者連続三振! 一方の三池は前の試合、3回戦の最上ノーストップズ戦から4打席連続三振』

『ちょっと当たってませんね…、何れもスライダーでやられていますね』

「もう苦手わかって投げとる感じやな」

「そらアイツら位の実力者やったらそん位容易いこっちゃろ」

「さて…漸くオレと開次の出番が来たで」

「浩介、オレらでいっちょやってまうか」

『5番 キャッチャー 関川。キャッチャー 関川』

―ええ投手なんはもうわかっとるから…、そのええ投手をどないして攻略するかやな。

N`Cars(向こう)の良い選手1人目…。もう打席に入る前からオーラ強いんですけどね。

『関川は前の試合ではバックスクリーンにホームランが1本、それを含めて今大会8打数6安打と大変当たっています』

『数字聞いただけでも凄いですね』

―良い選手はどんな球でも打ち返して来る。だったらあれこれ考えるよりいっそストレートで勝負したいんだが。

―思い切って腕振りたいわけね。

―ええ投手(ピッチャー)はどんな球種でも打者(バッター)を手玉に取る筈や。ええ球が来たら打ち返すけど、まずは球速と球筋を覚える。

『勿論バッテリーもその辺りを含めて警戒して来ると思いますが』

『幾ら良いバッテリーと言えど相手も良いバッターですからね、アウトコースで慎重に入ってくると思います』


―来た!

カキ―ン!


『ピッチャー返し、センター前―っ!!』

「やった―っ!!」

「浩介ナイスバッティング!!」

『今大会当たっている関川、チーム初ヒットとなるセンター前ヒットで1アウト1塁とチャンスを作りました!』

―多分140の中盤から後半のストレート。ボールもよう伸びてええ球やった。

『渡邊さん…、ど真ん中のストレートで来ましたよ?』

『…大胆ですね…』

「腕は振れてるから大丈夫。これ続けて」

―続けるも何も良いバッターが続くんなら温海に言われなくても続けるけど。良いバッター程腕振って投げたいもん。

『6番 ピッチャー 片山。ピッチャー 片山』

『1アウト1塁でこちらも今大会当たっているバッター・片山。今大会10打数6安打、更に前の試合ではバックスクリーンへの同点ホームランがありました』

『そうなると先程のような大胆な勝負は出来ませんね…、一発打たれて逆転という場面で一発長打を秘めるバッターを迎えていますから、ホームランボールは投げてはいけませんよ』

―ど真ん中は駄目だぞ…ホームランボールだからな。

―じゃあどうすんの? ストレートで行きたいんだけど。

―左右どちらかの低め…、身長もあるから寧ろ打ち辛いインコースか。

―わかった。

『内野、二遊間はやや深め…、ダブルプレー狙いのシフト』

『キャッチャーの温海の構えもそこですと…、チームでダブルプレーを狙おうという考えですね』


カキ―ン!


『ライトへ行った、大きな当たり――っ!!』

「行けぇっ!」

「公一!」

『ライト五十川バックする、フェンスにつく…、』


パシッ。


「キャーッチ!」

「何でやねん!」

『ここまで伸びてライトフライ、五十川掴んで2アウト。ハーフウェイの関川は1塁へ戻ります』

「何であそこまで行って届かんねん、せめてフェンス直撃やろ」

「結果にケチつけたかてしゃあないで。早よベンチ戻れや」

―この球場は両翼100m、中堅120m…。今の良裕の球は146km/hのインコース、低めのストレートだったけどそれを約100m先までダイレクトに飛ばすか…。

―すーごいね。そこまで持ってくって結構よ? 次からはもっと良い球投げて打ち取ろう。

『しかしここまで伸びました…』

『左バッターのインコース低めということでストレートとは言え難しい球ではあったんですが…、こんなに大きな当たりを打たれると思わず目を惹きますね』

『しかし結果はアウトで2アウト1塁。依然同点のランナーが1塁にいます』

『7番 セカンド 梶原。セカンド 梶原』

『今大会守備で活躍している梶原。ただ一方でバッティングのほうは犠打2つに打点2つ挙げていますが通算成績が8打数1安打と振るっていません』

『率こそ低いですがしぶとく繋がれると厄介なバッターという印象も窺えますので…、こういうバッターこそ確り封じて行きたいですね』


バシィ!


「ストライーク!」

『とは言え初球から振って来ます。空振りで1ストライク』

『ここもストレートを続けるバッテリー。力の籠った球で抑えようという意気込みですね』

―あーわかったわアイツの狙い。三塁側ブルペンのような遠いところからでもわかるわ。

―初球からバット短く握りよる…。栄次はまず後ろに繋ぐことを選んだか。


バシィ!


「ストライクツー!」

『これもストレートで空振り。追い込んで2ストライク』

―狙いは悪ないけどなー。盗塁しよかな。

―凄い真っ直ぐだな…。でも地味でも繋いでランナー1塁じゃなくて1・2塁にしたほうが心境的にも変わる。

―うーん…、止めるか。盗塁するにしてもイニングが浅過ぎる。今はもっとじっくり待たな。


ドシィ!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

『空振り三振! 最後は146km/hのストレート!』

『結局最後まで力で抑えましたね』

―こりゃ盗塁してもホームまで還って来れへんわ。点はもっと先になりそうやな…。

『3アウトチェンジ。この回は5番・関川のチーム初ヒットに6番・片山のあわやという大きなライトフライがありましたが…、ランナー1塁に残塁で無得点。鶴岡クレーンズのエース・平吹投手はこの回も2つ三振を奪って早くも5個目の三振を奪いました。1対0、鶴岡クレーンズ1点リードで2回の裏を終えています』


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