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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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50/137

ロースコアの予想

「確かに片山も良い投手だな。でもうちの平吹も調子が良い。今日の試合はロースコアになるだろう。1点取ってるが、次の2点目は大事だ。この2点目は確りと、皆で取りに行くぞ。良いな!?」

「はい!」

「皆でね…、追加点取るぞ!!」

「おー!!」


ドン!


「!? 何の音…!?」

「…内野でゆっくりボール回してるから、多分関川が2塁へスローイングした時の音だろうな…」

「マジで? ドンってことは結構良い球行ってんじゃん…、参ったな足技使えるかな…」

「それは打席が廻って来てから考えようか、亘くん」

「…そうだね…」

―兼人の言う通りだ。まず打ってからじゃないと足技使えない。


『1回に羽黒の初球先頭打者ホームランで1点を先制した鶴岡クレーンズ。その裏を3者三振で締めた平吹から、この回の攻撃は始まります』

『2回の表、鶴岡クレーンズの攻撃は―5番 ピッチャー 平吹。ピッチャー 平吹』

「プレイ!」


バァン!


「ストライーク!」

―うお、凄い真っ直ぐだね。こんな良い球投げてくれると楽しくなるよ。

『初球、内側のストレートから入って来ました。見送って1ストライク』


バシィ!


『ストライクツー!』

『ここも真っ直ぐを続けて空振り』

―やっぱりすぐに打つのは難しいか。144km/hだけど、それ以上の伸びがある。

『しかし平吹はバッティングも良い選手…、塁に出れば足もありますから打者としても警戒すべきバッターです』

『お互い次の1点が重要な鍵になりそうですね』

『2点以上となれば楽になるであろう鶴岡クレーンズ。逆に2点以上では苦しくなるであろうN`Cars』


ガシィ!


『当たり損ねた、打球はサードの前!』

「健!」

『サードダッシュするが…、捌き切れない、内野安打!!』

「OKラッキーラッキー!」

「こっから追加点取るよー!」

「健今のでええからな」

「これは元からしゃあないで」

―とか言っといてニコニコ顔している開次くん、こっちには内心で怒ってるのわかってるんですよ?

―でも怒っとる対象は健とちゃうやんな? 相手のガヤやんな?

『バットの先でしたが俊足を飛ばして内野安打にしました』

『サードの都筑選手もダッシュして素手で取りに行ったんですが…、これはきちんと捌けたとしても間に合いませんでしたね』

『さあノーアウトランナー1塁。俊足の平吹を1塁に置いてパワーヒッターを迎えます』

『6番 ライト 五十川。ライト 五十川』

「ホームランゾーンに投げたらアカンからな、それ以外は全力で」

「ん」

―まあ羽黒でそのゾーン放ったらなんぼ球威があってもああいう結果になるってわかったからな。

「外野―、バック!」

―取り敢えず最大限の警戒はしておく。タッパある、腕っ節ええ、こない体格のええヤツやから万が一にでもそこまで飛ぶ可能性はあるもんな。

―低め?

『ピッチャーですが足技もあるか…、しかしパワーヒッターの五十川が打席です』

『つまりはN`Carsバッテリーは両方に警戒しないといけませんね』

―でも足速い感じがせぇへんからな。低めで2つ、ゴロで取る。万一それを見越して単独スチールで来るんやったらそっからかましたる。

―浩介で…? …まあできるか、座っても強肩のお前やったらいけるか。

『内野ゲッツーシフトのN`Cars』


バシィ!


「ボール!」

『あっ!!』


バシィ!


「セーフ!!」

―あー危ね…。

『キャッチャーからの1塁牽制がありました。際どいタイミングでしたが戻っています』

『座ってスローイングしましたね? 低めの良いボールでしたよ』

『あっ、そうですね。関川は1回戦でも同じく座って1塁へ牽制する場面がありました。こちらはアウトにしています』

―なんて良い肩なんだ。ヒヤッとしたよ。

―今の戻り方…、これでわかったわ。平吹は足速い。足速いヤツは俊敏性もええからな。結論、平吹は足速い、五十川は足遅い。ゲッツー行くで。さっきボールに構えたけどこっからストライクに、3球。

―ん。

『足技を使うのであれば関川の強肩も警戒しなければなりませんが』


キィン!


『打って行って…、打球はライトへ!』

「永田!」

『深めに下がっていた外野、しかし打球に伸びは無い! 前に出る、出て…、』


タッ。


「キャーッチ!」

『危なっかしいですが掴んで1アウト。平吹はハーフウェイから1塁へ戻ります』

「ナイスキャッチ永田―!」

「1アウト1アウト―!」

『ちょっと力の無いフライでしたね…。幾らパワーヒッターと言えど、ボールの下を叩いてしまいましたから、本来持っている力が十分に伝わりませんでしたね』

『7番 サード 斎。サード 斎』

『しかし依然1アウト1塁とチャンスは続きます。7番の斎は…、打席に入る前にもうこの構え』

『さっきヒッティングで繋げなかったのでね…、ここは確実に繋げようということでしょうね』

―カムフラ…? いやでもこの構えとっとる以上は…、

―もう答え出とるやん。ストレートぶち込んで封じればええだけやんけ。

―開次のことやからそう来る思ったわ。

『しかしどうでしょう…、あくまで構えだけという可能性もあるか』


バシィ!


「ストライーク!」

『…っと、バントをやりに行って空振り』

―動いて来ぉへんな。

―バントをやりに行ったかて、走ったかてフライになったら意味無いやん。

―もっ回ストレート?

―それで行くわ。そんで走って来たら浩介頼む。走らんかったら空振りかフライ。

『2球目も同じ構えの斎』


ギィン!


「ファールボール!」

『…ただ真っ直ぐに威力がありますので…、斎と言えどもバントするのは難しいか』

『そうですね。片山投手のストレートはスピード・伸び・キレ・そして威力とどれもバランス良く且つ高レベルの素晴らしいボールですから…、この大会でも彼のストレートをバントしようにもできないバッターが結構散見されてますからね』

―あ~…、やっぱ解いたか。

―どないしても確実に行きたいんやな。転がして2アウト2塁。

―でもストレートは2球見せたからもうスピードには目ぇ慣れてるやろ。…同じコースにスライダー。

―ん。真っ直ぐのつもりで空振り誘うのか。

『さすがにバットを短く持った斎』


ドシィ!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

「ああっ」

『3球目はスライダー! 同じコースから曲げて来て空振り三振!』

『バント出来ないものならせめて進塁打を、ということだったんでしょうが…、それすらも封じられましたね』

『2アウト1塁。内野安打で出た俊足の平吹は依然1塁に釘付けのままです』

『8番 セカンド 朝日。セカンド 朝日』

―うわ、皆手こずってる…。そんなに打つのもバントも難しいのか…。

―コイツもやな。開次、インコースにズバッと。

―ん。


ドン!


「ストライーク!」

―ええ…、これを打て、と…。良く兼人と良裕打ったな…。

『初球のインコース真っ直ぐに手が出ず。しかし朝日は打席に入る時からバットを短く持っています』

『そうですねもう2アウトなので…、地味には思えますが確実に繋いで2点目を、ということでしょう』


バン!


「うわっ」

「ストライクツー!」

『これも同じコース同じ球で空振り』

『バットを短く持っていますがそれが反って手元で窮屈になっちゃってますかね…』

―でも短く持ったらその分手元よりバットのグリップが体に近うなるから打ち辛い。アウトコースはバットが届かへんから勿論インコースでもキツいで。

―でも繋げば…、オレと上肴が繋げばその兼人だ。そこで2点目を取る!!


ドシィ!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

『空振り三振! 3球続けてインコースのストレートでした!』

「うわっ」

「ああっ」

―してやられた…。短く持ってたのを逆に利用された…。

―3つ続けてキツいとこに投げるなんて…。手元窮屈だからアウトコースよりも打ちにくいよ…。

「はい、下向かない! 朝日、打てなかったら守りゃ良いの、チームが点取れなかったらオレが抑えるだけなの! ほらほら、守備行くよ!」

―良裕、お前の明るい性格と兼人の巧いプレーの数々が羨ましいのよ僕は。

―アイツはどんな時でもポジティブだなあ。気落ちしているプレーヤーに檄飛ばしてムード変えたよ。

『2回の表終了。この回先頭の平吹が内野安打で出塁しましたが後続が続かず1塁残塁、無得点です』


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