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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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快腕・平吹 良裕

『1回の裏、今度は守備に就きます鶴岡クレーンズの守備陣を場内アナウンスでお伝えします』

『守ります、鶴岡クレーンズのピッチャーは平吹。キャッチャー、温海。ファースト、上肴。セカンド、朝日。サード、斎。ショート、羽黒。レフト、櫛引。センター、藤島。ライト、五十川』

『初戦から変わらない布陣です。そして今日も先発ピッチャーは右のオーバーハンド・平吹投手。これで4試合連続の登板になりますが先程試合前の渡邊さんのお話にもあった通り安定感のあるピッチングが見応えがあるということで…、字幕でもお伝えしていますように3試合20イニングで失点・自責点ともに未だ僅か1点という素晴らしい内容。2回戦・3回戦はヒットを打たれる場面こそありましたが連続完封。1回戦は6回コールドでの勝利でしたがその6イニングを完投しました。こうして見ると中々点を取るのは難しいという印象ですが』

『そうですね。如何に打撃力の良いN`Carsと言えど、点を取るのは至難の業でしょうね』


「ピッチャー…、見てみてどうだ?」

「凄いの一択ですよ」

「確かにそうだな。今まで当たって来た誰よりも凄ぇピッチャーだな。東根チェリーズの佐藤兄弟と同じく本格派だけんど、それとも段違いだ。だけんどよ、今日は全国大会の一歩手前だ。上のステージさ行って勝つには、このピッチャーを打たねばなんねぇ。全国大会はこの手のピッチャーが結構いるもんだと思って、心してかかれ。良いな!?」

「はい!」

「じゃーまず1点取られてるけど…、監督が仰ったようにどんどんかかって行こう。追い付くぞ!!」

「おー!!」


『1回の裏、N`Carsの攻撃は―1番 センター 萩原。センター 萩原』

『この好投手平吹から如何に点を取るか…、1点を追っての1回裏のN`Carsの攻撃です』

「プレイ!」


ドォン!


「ストライーク!」

『こちらも真っ直ぐから入って来ました平吹投手。空振りを奪って1ストライク』


パァン!


「ストライクツー!」

『2球続けて押して来ました。萩原も積極的に振ってますがこれも空振りで2ストライク』

『2球とも良い真っ直ぐですね』

『チームで3人いるスイッチヒッターのうちの1人、萩原。今大会はここまで11打数4安打、更に塁に出れば3盗塁と足も速い選手』


ドォン!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

『空振り三振! 最後も真っ直ぐで押して来ました!』

『スピードに加えて伸びのあるボール…、良いですね』

『3球とも140km/h台中盤の真っ直ぐでした。三振で1アウト』

「…段違いだ…。打席に立つとわかるけど、今まで見たこと無い真っ直ぐだよ」

「マジ?」

『2番 ショート 小宮山。ショート 小宮山』

「だがら言ったべ? 段違いだって」

「あのオレ、円陣から抜けてたんで…」

「あ、そっか」


ドォン!


「ストライーク!」

『これも初球から真っ直ぐで来ました。1ストライク』

―へー。瞬の言った通りだ。確かに違う。


パァン!


「ストライクツー!」

―あれぇ、でも違うとわかってても打てない…。

『ここも2つ真っ直ぐ、2つ空振りで2ストライク』

『随分押して来ますね』

『ここまで5球続けて真っ直ぐの平吹投手。しかし打席の小宮山はここまで7打数5安打と当たっている上4盗塁決めていますから決して侮れないバッター』


ドォン!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

『空振り三振! 何と6球続けて真っ直ぐで2者連続三振を奪いました!』

『しかも最後の球が146km/h…、片山投手が先程出したばかりの自己最高の球速に並びました』

『今大会打撃でも足でも活躍している1・2番を連続で空振りの3球三振に打ち取った平吹投手。2アウトです』

『3番 ライト 永田。ライト 永田』

『この大会、N`Carsのスターティングメンバーが軒並みヒットを打っている中この永田だけが…、犠打や打点はあるんですがここまで9打数ノーヒットと未だヒットがありません』


バァン!


「ストライーク!」

『が、それでも積極的に狙う姿勢は変わりません。ただ空振りで1ストライク』

「そんでええよ永田!」

「後ろにオレと浩介と和義居るから…、塁に出ることだけ考えや」

「オレと開次の順番逆だろ」

「ホームラントリオに変わりあらへん」

―その前に何としても、時間はかかってもコイツに出て貰わな困んねん。


ドォン!


「ストライクツー!」

『これも真っ直ぐで空振り。これで平吹は萩原への初球から8球連続で真っ直ぐを投げて来ました』

『ただちょっと真っ直ぐしか出せてないとなると…、打つ選択肢が狭まって来ますよ』

『今大会ノーヒットの永田ですがしかしながら意外にもここまでまだ三振を喫したことはありません』


ドォン!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

「「「おおおお」」」

「「「ええええええ」」」

『空振り三振! あっ、そして今の球が148km/hと出ました!!』

―はっや…。

『しかもインコースのかなり厳しいところですよね…、これだけ球威があって且つコントロール良くズバッと投げられると中々打ち辛いでしょうねぇ…』

「…あと6イニングであれ打たなきゃいけないの…」

「全然違うじゃん…148って…」

「皆守備行くで」

―…って、反応鈍いな皆…。1回見とる瞬や涼ですらあれやもんな…。

「今は守らな。怖じ気付いとる暇無いで。打つほうはそれからや」

「浩介の言う通りやで皆。行くで」

「…良し皆、守るか!!」

「おー!!」

『場内が今の平吹の今大会自己最速となります148km/hにどよめく中、1回の裏のN`Carsの攻撃が終わりました。鶴岡クレーンズのエース・平吹投手が全球ストレートで且つ全て空振りの3者連続3球三振で、1回の裏を無得点に抑えています』


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