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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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48/137

全国クラスの洗礼

「プレイ!!」

 鶴川球審のコールと同時にサイレンが鳴る。


キィ―ン!!


『初球から行った、レフトへ―、大きな当たり――っ!! レフト下がって行って…、』


トン…!


『入った―――っ!! 羽黒先頭打者ホームラ――ン!!』

「「「よっしゃ―――っ!!」」」

「ナイスバッティング兼人!!」

『左バッターが逆方向へ見事な一撃をかっ飛ばしました! 今ホームに還って…、チームキャプテンの一発で鶴岡クレーンズ先制~!!』

「さすがやったなアイツ。これで本物かどうかわかったやろ」

「全国クラス言うんやったらこんくらいやって貰わんとな。でもそうとわかりゃ、こっちかて心置きなく行けるで」

『145km/hの真っ直ぐをギリギリまで引き付けて鋭いスイングで逆方向に飛ばしました。ナイスバッティングですね』

『しかしこれだけでは終わらないのが、鶴岡クレーンズの打力、そして層の厚さです』

『2番 センター 藤島。センター 藤島』

「亘、オレと同じの狙えとは言わないけど、オレに続けよ!」

「おー」

―真っ直ぐ狙いで行く。ホームランの後だし、畳みかけたい。


パァン!


「ストライーク!」


『初球真っ直ぐから来ました。しかし藤島も初球から狙って来ました』

―あれ、真っ直ぐだったのに…?


パァン!


「ストライクツー!」

―えっ、何で打てない…? 真っ直ぐだってわかってるのに…?

―亘もあの球は打つ筈なんだが…、オレに投げたのと同じ球で同じ球威の筈なのに何で打てない? 2球空振りって…?

『2球続けて真っ直ぐを狙いましたが空振り。しかしながら初戦から相変わらず良いスイングを見せています鶴岡クレーンズの各バッター』

『そうですね。先程の羽黒選手のホームランといい、この藤島選手も空振りしても気持ちの良いスイングを見せてくれています』

『初戦の田川フィールドリバース戦では大会第1号のホームランを放っている藤島。カウントは追い込まれてノーボール2ストライク』


ドシィ!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

『空振り三振! 3球全てストレートで来ましたがバットに掠らず、三振で1アウトです』

―メンタル立ち直ったのか?

「おかしいなあ、狙ってたんだけど…」

―やっぱ狙ってたんだ。

『3番 レフト 櫛引。レフト 櫛引』

―ストレート…、だとわかっていても今の兼人と亘のように打てる人と打てない人いるのか。だったら球種全部引き出して…、打てる選択肢を増やそう。

『この櫛引までが左バッターです。しかしこの左バッター上位3人がこの大会良いように仕事が出来ています』


ドシィ!


「ストライーク!」

『まず初球ストレートは見ました。1ストライク』

―ん?

―前2人はストレートを振って、コイツは見た。誘ってるんか…? ストレートを誘う気やったら変化球。万一こっち狙いやったとしてもこのコースにコイツやったら打てへん。

―オレ…、何かしたか?


パァン!


「ストライクツー!」

『2球目はスライダー。インコースの膝元に喰い込むように大きく曲げて来ました』

『厳しいところ且つ見えにくいところなのでね、これは打ち辛いですね』

―さすが開次や。変化球でもここまで強気で行ける。

―格上やからな、打てて当然や思っとるわ。

―変化球狙いで1球種引き出せたけどそれでも打てない…。結構ヤバめなスライダーだったな。

―もしかして…、アイツを本気にさせちゃった?


バシィ!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

『空振り三振! 最後は2球続けてのスライダーでした!』

「…ヤバいことしたかもしれないな…」

「え、どゆこと?」

『4番 キャッチャー 温海。キャッチャー 温海』

「いや、実はさ、櫛引が初球見た時に、ボールを受け取った片山と目が合ったんだよ」

「そんで?」


バシィ!


「ストライーク!」

『この温海にはストレートから入って来ました』

『チームで1・2を争うパワーヒッターだそうですが物怖じしませんね』

『この温海と6番の五十川がチームでは1・2を争うパワーヒッターという選手です』


バシィ!


「ストライクツー!」

「目付きが鋭くて…、オレの打席の時より明らかに違ってたのよ。だからもしかしたら…、」

「開き直らせちゃった?」


バシィ!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

『3球全て真っ直ぐ…、あっ、片山投手今大会自己最速の146km/hが出ました!!』

「…かもしれないのよ…」

「だろうね。あのボール見たら…」

「だからオレホント亘と櫛引と温海には申し訳ないことしたな、って思ってる」

「いやいや、片山の本来のスペックと強い気持ちを引き出したってんなら、それはそれで有り難いよ。そういう相手とばかりずっとやって来てんだから」

―おっとそうだった…。何考えてんだ羽黒 兼人。亘の言う通りだぞ。そういう相手にこそ前向きにやって来たんじゃん。

『3球とも良いストレートが行きましたね』

『はい。N`Carsのエースピッチャー・片山投手の今大会自己最速の146km/hに場内の余韻が残る中、1回の表が終了、1対0。3者連続3球三振を奪って見せた片山投手ですが、しかしその前の鶴岡クレーンズの1番キャプテン・羽黒選手の今大会第10号となります初球先頭打者ホームランでまずは鶴岡クレーンズが1点を先制です』


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