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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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オープニングトーク

『第1試合、米沢ローリングスの25年振り2回目の全国大会出場決定による余韻が残る中迎える今日大会第5日目、最終日の日程となりますこの代表決定戦の第2試合。白い雲は目立ちますがまだまだ青空が広がっており、野球をするには十分な空模様が広がっています。今日は代表決定戦4試合が全てここ、中山にあります羽前球場で行われます。その第2試合、一塁側勝てば2年連続6回目の出場、鶴岡クレーンズ、三塁側、勝てば初出場N`Cars、ともに1回戦から登場しまして3試合を勝ち上がって来たチーム同士の対戦です。現在グラウンドでは両チームのシートノックが終わって、係員によるグラウンド整備が行われています。解説は社会人野球山形興業で選手時代に2度、日本一に輝きその後監督に就任、10年間務められました渡邊さん、実況は私、佐田でこの試合の模様をお送りします。渡邊さんどうぞよろしくお願いします』


『はい、こちらこそよろしくお願いします』


『それではグラウンド整備の間、両チームの3回戦までの試合結果と今日の試合のスターティングメンバーを字幕でご紹介します。まずは先攻・一塁側の鶴岡クレーンズから』




鶴岡クレーンズ 今大会の成績


1回戦 11x-1 田川フィールドリバース(6回コールド)

2回戦  7-0 天童ファイリーズ

3回戦 寒河江フルーティーズ戦


寒河江 000 000 0 =0

鶴 岡 104 111 X =8




代表決定戦スターティングメンバー


1番ショート 羽黒 兼人(6) 右投左打

2番センター 藤島 亘(8) 左投両打

3番レフト 櫛引(7) 左投左打

4番キャッチャー 温海(2) 右投右打

5番ピッチャー 平吹 良裕(1) 右投左打

6番ライト 五十川 公一(9) 右投右打

7番サード 斎(5) 右投右打

8番セカンド 朝日(4) 右投右打

9番ファースト 上肴(3) 左投左打




『鶴岡クレーンズは初戦でここまで全体で41試合を終えた中で唯一のコールド勝ち、2回戦と3回戦は連続で完封勝ちと、スコアからもわかるように攻守とも安定した試合運びで力を存分に発揮してきました。今日も先発は背番号1のエースナンバー・平吹が行きます。続いて後攻・三塁側のN`Cars』




N`Cars 今大会の成績


1回戦  6-5 中山越ナローズ

2回戦 10x-9 東根チェリーズ

3回戦 最上ノーストップズ戦


N  C 010 121 0 =5

最上N 100 000 0 =1




代表決定戦スターティングメンバー


1番センター 萩原 瞬(8) 右投両打

2番ショート 小宮山 涼(6) 右投右打

3番ライト 永田 晋也(9) 右投左打

4番ファースト 三池 和義(3) 左投右打

5番キャッチャー 関川 浩介(2) 右投右打

6番ピッチャー 片山 開次(1) 右投両打

7番セカンド 梶原 栄次(4) 右投右打

8番レフト 桜場 俊和(7) 左投左打

9番サード 都筑 健(5) 右投左打




『今大会出場48チーム中唯一の初出場となります、N`Carsは、初戦から3試合続けて逆転勝ち。鶴岡クレーンズとは対照的に接戦且つ逆転ということでスコアから見るとタフな印象が取れる試合運びで駒を進めて来ました。3試合でチームで本塁打(ホームラン)4本を放つなど打撃力を存分に発揮している一方、同じ3試合で10失策と、所謂「打高守低」というマイナスの側面も印象として取れています。2回戦だけ背番号9のキャプテン・永田が先発完投しまして、1回戦と3回戦は背番号1のエースナンバー・片山が先発完投しました。今日もその片山が行きます。渡邊さん』


『はい』


『両チームのこれまでの試合結果と今日のスターティングメンバーを見て、どうご覧になられていますか?』


『走攻守、水準が高い鶴岡クレーンズと打撃力と粘り強さのN`Carsの勝負ですね。鶴岡クレーンズは勝てば2年連続6回目の出場ということですがそれに恥じない総合力の高さを窺えます。特に3試合合計26得点の打線、3試合20イニングで未だ1点しかとられていない今日先発の平吹投手の安定感あるピッチングは見応えがあります。シートノックでも無駄が無く安定した守備力を見せて貰いましたから、それが本番でどこまで発揮されるかですね』


『一方、N`Carsは?』


『この草野球カップ 山形県大会で唯一初出場、ということですが登録1年目で初出場というだけでも快挙なのにそこから3つ勝っちゃうんですからね…。勝てば勿論初出場ですけど決してまぐれ勝ちではないように思うんですよ。3試合合計21得点、しかも全試合先制されてからの逆転勝ちですから、打撃力は十分ある上粘り強さも本物です。何より21得点中19得点が打点な上対戦した3チームは全て無失策(ノーエラー)なんですよ。強いて言うならあとの2点のうち1点はダブルスチール、あと1点が暴投で入ったぐらいで…』


『N`Carsはここまで3試合で10失策ですが皮肉にも対戦した3チームは全てノーエラーでした。エラーしない方が負けるという…』


『ちょっと皮肉ですよね…。2試合14イニングを投げた片山投手はここまで合計6点を取られていますが全てバックのエラーが絡んでの失点ですので未だ自責点はありません。ですから彼は実質点を取られてないわけで…、安定度で言ったら今日対戦する平吹投手は勿論他の軒並み率いる強豪チームのピッチャー陣にも負けてないと思います』


『という話を頂いたところで、4氏審判がグラウンドに出て来ました。両チームの選手たちも既にベンチ前に整列しています。一塁側は先攻の鶴岡クレーンズ、三塁側は後攻のN`Carsです』


「いきましょう」


「っしゃあいくぜ!!」

「おぅ!!」


「こっちもいくぞ!!」

「おー!!」


今日の第4試合を担当する球審の号令で、両チームのキャプテンが音頭をとってお互いのナインが一斉にホームプレートの前までダッシュする。


『両チームの選手たちと4氏審判がホームプレートを囲むように各横1列に整列しました』


「これから代表決定戦の第2試合を始めます…、礼!」

「お願いします!!」


同じく球審の挨拶の号令で、両チームの選手たちがお互いに対戦相手と4氏審判に脱帽の上、挨拶する。そしてN`Carsはキャプテン・永田の音頭で、


「よし、がっちり行こうぜ!!」

「おー!!」


『まず先に守るN`Carsの守備陣を場内アナウンスでお伝えします』


『お待たせ致しました。第2試合、鶴岡クレーンズ 対 N`Carsの試合、間も無く開始でございます。まず守ります、N`Carsのピッチャーは片山。キャッチャー、関川。ファースト、三池。セカンド、梶原。サード、都筑。ショート、小宮山。レフト、桜場。センター、萩原。ライト、永田』


『1回戦、3回戦と同じ布陣です』


『審判は、球審、鶴川。塁審、一塁、寶田。二塁、青木。三塁、武野。以上4氏でございます』


『さあマウンド上の片山投手…。先程渡邊さんのお話にもあった通りこの大会2試合に先発、合計14イニングを投げて何れも完投、失点6と字幕に出ていますが全てエラー絡みの失点ですので未だ自責点はありません。奪った三振は2試合で合計16個、与えた四死球は僅か2個、それも1回戦の中山越ナローズ戦で与えただけですので…、3回戦では1つも与えていません』


『3回戦は無四死球試合を達成しましたね』


『そうでしたね。3回戦は最上ノーストップズのサウスポーエース・瀬見投手と投げ合い、2人とも四死球を与えませんでした。今大会2度目の記録です』


『ですから速球持ち且つコントロールが良いということで…、これが今日の鶴岡クレーンズの打線にどこまで通じるか、注目ですよ』


―やはりデータ通り。うちの良裕と遜色無いストレートに、キレもコントロールも良い変化球。ブルペンからこの投球練習まで見た限りストレートでブイブイ押して来てる…。1回戦はこれでズバズバ三振取ってた、つまり三振を取りに行く時の組み立ては恐らくこれだろう。結論、初球はストレートと見た。

「よーし、行って来るか」

「頼んだよ兼人!」

「繋げよ亘!」


「全国クラスや言うからな、これで行きたいねん」

「良し、いっちょ試すか…。全国クラス言われるスペックが本物かどうか、お前の真っ直ぐで試したいんやろ?」

 関川の質問に軽く頷く片山に、

「良し、決まりや」

関川はキャッチャーミットで片山を軽くポンと叩いてから定位置に戻った。

「しゃあ、締まっていくで!!」

「おー!!」


『1回の表、鶴岡クレーンズの攻撃は―1番 ショート 羽黒。ショート 羽黒』

―早速や。オーラを犇々と感じるで。ええ目付きしてまんなぁ鶴岡のキャプテン。

―打ち合わせの通りに。

―ん。

『2年連続6回目か、初出場か、今幕を開けます』


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