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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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グラウンド帰還

NCグラウンド前




 国道287号線と国道348号線が重複して通る長井橋の入り口付近で、マイクロバスは転回して、乗降ドアがグラウンド側に向くように停まった。ハザードランプを点灯させたと同時に、乗降ドアが開く。

「さあ、皆起きてー! グラウンド着いたよー!」

「えっ、もう着いたの?」

「てか何でお前だけ起きてるん?」

「山形蔵王で目ぇ覚めちゃってそのまま…、てか国道の真上なんだから早くしろよ」

 1人すっかり目が覚めた永田は、他のメンバーを徹底的に起こして、道具と荷物を持って速やかにマイクロバスから降りるよう促した。

「はい! ほら、早く降りる!」

「何ならお前が早く降りろよ」

「オレはバスの中の最終チェックやるから…、兎に角皆は早く降りて!」

 先程まで寝る程ゆったりとしたリラックスムードが漂っていたマイクロバスの車内だったが、それがいきなりアップテンポのスピーディーなムードに()()()()()ので、一気に慌ただしくなった。

「ありがとうございました」

「ありがとうございました」

「ありがとうございました」

 N`Carsのメンバーはそれぞれ道具と荷物を持って、マイクロバスを降りる度にバスと運転手に挨拶をしてから降車した。降りた人数を指で素早く数えて、最後の人が降りてから、永田は1人、マイクロバスの車内チェックを始めた。

 まず、メンバー全員が座っていたシートの周り及びその下をチェックする。メンバーの忘れ物等が全てのシートやその周りには何も無いことを確認すると、永田は道具と荷物を持った。

「ありがとうございました。トランクルーム開けて良いですか?」

「あ、どうぞ」

 挨拶をしてマイクロバスを降りると、今度はバスの後ろに回り込んで、トランクルームを開けた。マイクロバスは松浪の実家に寄る前に、北前球場から最寄りのコンビニへ寄って、道具をトランクルームに移動できる分だけ移動しておいたのだ。

―入ってない。

 永田はトランクルームを閉めて、道具と荷物を持って整列に加わった。

「道具とか荷物は?」

「入ってなかった。真っ直ぐ並んで…、気を付け、礼! ありがとうございました!!」

「ありがとうございました!!」

「はい、本日もありがとうございました。明日も頑張ってください」

 挨拶をしてマイクロバスの運転手から応援を貰ったN`Carsのメンバーは、道具と荷物を持ってグラウンドに向かった。

「道具片付けたらダウン!」

「はい!」

 いつものように永田は他のメンバーに指示。

「開けてくれたな?」

「はい」

 先にグラウンドの駐車場に車を停めていた萩原・都筑・松浪の3人のうち、松浪が徳山監督から倉庫の鍵を受け取って、開錠していた。一応自軍のグラウンドではあるが、都筑は防犯と道具を速やかに入れ易いように、松浪が倉庫の鍵を開錠したと同時に見張りで倉庫の前に立っていた。

「入れるのオレやる」

「よし皆、都筑を先頭に並んで! バケツリレーの要領で道具閉まうよ!」

 都筑は他のメンバーが到着するなりすぐさま倉庫の扉を開けた。そして永田の提案で、都筑が最後に倉庫に入れる形でバケツリレーの要領で列の前の人へどんどん道具を渡していった。

 同時にもう日は暮れていることから、徳山監督は内野の照明灯を数基点灯させた。道具を渡し終えたメンバーから順に、クールダウンの準備に入る。

 全ての道具が倉庫に閉まわれているか永田と都筑の2人で確認すると、永田は倉庫を施錠した。

「鍵返してくるから、ダウンの準備してて」

「あい」

 都筑は駆け足でクールダウンの準備に向かって、同じく駆け足で永田は倉庫の鍵を徳山監督に返却した。

―特に何も言って来ない…、ってことは次も先発片山かな?

 そして永田も駆け足で準備を終えた他のメンバーの元に向かって、クールダウンを始めた。


 選手18人がクールダウンをしている傍ら、徳山監督と井手が会話をしていた。

「次の相手どこだ?」

「えーと…、今調べますね。私も帰りのバスで寝てたので…」

 一応、マイクロバスのAMラジオでは、5分程の県内ニュースの際に今日の草野球カップ 山形県大会の試合結果と翌日の組み合わせ及び試合日程が放送されるのだが、そのニュースが放送されていた時は、徳山監督も井手も含めて全員寝ていたので、全く知らなかった。

 井手がスマートフォンで調べたが、組み合わせを知るや手が止まり、表情と雰囲気がガラッと変わった。

「どれ、相手…」

 井手がゆっくり差し出したスマートフォンの画面を見た徳山監督だが、こちらは至って冷静であった。

―まあ、だろうとは思ってたけんどよ…。


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