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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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掃除から帰路へ

 まず掃除用具を一通り確認した上で、役割分担を決める。次にロッカールームの床を見える範囲から順に長箒で掃き、これと並行して床に1箇所に纏めて置いてあったチームで使う道具は全て廊下に出して、そこで再び1箇所に纏める。そして、ロッカールームの床のうち、先程まで道具が置いてあった部分も、長箒で掃く。

「個別の荷物も出しとくか」

 メンバーが各自使っていたロッカーに入っていた荷物は掃除の為に一旦出していたが、この後すぐ出られるようにすること、足元に物が無いほうが効率良く作業が進むことから、それらも廊下に出して1箇所に纏めた。

 道具と荷物が全て掃けたことで床は全面見えて、足元もスッキリして効率も良くなった。全面見えた床のうち、まだ長箒で掃けていなかった残りの部分を掃き、並行して各ロッカーを1箇所1箇所、こちらは小箒で掃く。ここのロッカールームは幸いなことに塵取りが清掃用具入れの中に2個あったので、床用とロッカー用に分けて効率良く並行作業することができた。

 隅々まで床とロッカーを掃き切って、永田は都筑からも塵取りを受け取って、塵取り2個を両手に持って双方に溜まった土をグラウンドへ返しに行った。

 その途中で係員と擦れ違い様、声を掛けられた。

「それどうしたの?」

「さっき床とロッカーを掃除して、集め出た土です」

「これを捨てたいの?」

「捨てたい…、っていうか、返したいんです。ひょっとしたらここの球場使った時にスパイクに付いた土かもしれないので…」

「あっ、じゃあ待ってて。すぐ終わる」

 係員は永田から塵取りを受け取ると、何処かへ行った…、と思ったらすぐに戻って来た。

「はい、終わったよ」

「ありがとうございます。早かったですね」

 この近くに球場内を掃除した際に出た土を集める場所があるらしく、あっという間に終わって、永田は空になった塵取り2個を係員から受け取った。

 今日の日程をすべて終えた後ということで、戸締り等の確認に出たところ土の入った塵取りを持った永田に会って、そのまま引き受けてくださったという。掃除は戸締りの後、利用者が全員帰ってから係員で行う、というのが彼ら側のマニュアルにあるらしいのだが…、N`Carsのメンバーが率先して自分たちが使ったロッカールームを掃除したことで、戻り際、先程の話を聞いた永田の思考回路には、手間が省けたとか思ってるのでは…、というワードが過った。

 空になった塵取り2個を両手に、永田がロッカールームに戻って来た。

―あ、良かった、もう整列してる。

 永田は塵取り2個を掃除用具入れの元あった位置に閉まうと、既にロッカールームの出入り口の前で整列していたメンバーの列に加わった。

「気を付け、礼! ありがとうございました!!」

「ありがとうございました!!」

 いつものように、永田を先頭にN`Carsのメンバー全員が今日貸してくださったロッカールームに挨拶する。その後で、

「じゃあ皆、個人挨拶終わったら既に廊下に出してある荷物と道具持って、速やかに…、えーと…、どこだっけ」

「おいおいおいおい」

 重要な連絡をする筈の主将(キャプテン)がその中でも最も重要な部分を度忘れしてしまう失態に。当然皆からはツッコまれ、

「忘れたんか?」

「えーと、あのー…、ホテルで言うフロント…」

「…選手用の通用口な」

「あーそこだ。ごめん皆、兎に角道具と荷物持ったら速やかにそこ行って」

 永田は両手を合わせて全員に頭を下げた。関川の介入とバックアップにより、どうにか伝達できた。しかしながらその関川には、

―単純やろ…。何でこんな簡単なの出て来んねん。

と、陰ながらにツッコまれていた…。

 N`Carsのメンバーは全員、個人単位でロッカールームに挨拶をすると、道具と荷物を持って速やかに選手用の通用口に移動した。全員が選手用の通用口の近くにある球場事務所の前に横1列に並んだ時には、既に戸締り等の確認と施錠作業、清掃作業が始まっていた。

「気を付け、礼! ありがとうございました!!」

「ありがとうございました!!」

「はい、本日はありがとうございました」

 今度はルーティン通り、球場役員に挨拶する。挨拶を返してくださった球場役員の受付担当の方に、

「三塁側の奥のロッカールームの鍵です。ありがとうございました」

「はい、ありがとうございました。では、道中お気を付けて」

徳山監督が鍵を返却した。この2人のやり取りを見て、

「ありがとうございました」

「ありがとうございました」

N`Carsのメンバーは各自脱帽の上挨拶、一礼した。

「さ、皆急いで! 時間遅いし帰りも長いから、早く移動するよ!」

 永田はメンバー全員に声を掛け、率先して道具と荷物を持った。流石に第4試合を終えた後で時間も午後5時を過ぎているのと、帰りの所要時間の長さを考えて、一応来た時と同じくマイクロバスを選手用の通用口の近くに停めさせて貰ってはいたが、素早くバスに乗り込むことを選択した。


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