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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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28/136

草野球カップ3回戦・最上ノーストップズ戦(その12)

「グラウンド整備があったがら、気持ちはお互い変わってるかもしれねぇ。けど、攻めるやり方は変わらねぇ。大量点は狙わずに、1点を確実に取りに行って。進塁打やバントは確実に決めて、長打は狙わずに、トスバッティングの要領でセンターから逆方向さ単打を1本狙う感じで。良いな皆!?」

「はい!」


―あと2イニング。どっちも無失点で抑える。1点でも入ったら、うちに勝ち目は無い。

『6回の表、N`Carsの攻撃は―4番 ファースト 三池』

「プレイ!」

『3点リードのN`Carsは4番の三池から。今大会2試合連続でホームランを合計2本放っていますが今日は瀬見投手の前に2打数2三振と良いところがありません』

―まず先頭は確実に斬る。無失点に抑える第1歩だ。


パァン!


「ストライーク!」

「同じ攻めやがな」

「全く学習してへんわアイツ」

―開次の言うた通り工夫すればええのに。勿体無い。


パァン!


「ストライクツー!」

「浩介、コイツどないしたらええ? 全く学習してへんで」

「開次もそう思うか」

―そやろ。1球目で同じ攻めや気付いたのに見た限りなーんの策もとってへん。下手したら俊和よりアカンかもしれんわ。何で同じ手で3度もやられとんねん。


パァン!


「ストライクスリー! バッターアウト!」

―はぁ…。これで県内の連中にアイツはスライダーが苦手や言うことが悟られましたね。

『5番 キャッチャー 関川』

「浩介」

「ん?」

「オレらでスライダー打ちの手本教えよや…コイツもうこのままやったらアカンわ…」

「スライダーが来たらでええねんな?」

「うん」

―てか開次呆れとるな。そりゃ呆れるわな。あんな結果じゃ…。

『三池から今日3つ目の三振を奪った瀬見ですがまだ油断はできません…次の関川は今日2塁打が1本、1打点と当たっています』

―あと5人…。1人ずつ斬っていく。


キィ―ン!!


―えっ?

『センターへ、大きな当たり、下がって行くぞ―!!』

―せめてフェンス…、


ドゴン!


『入った―っ!! 初球を振り抜いてバックスクリーンへ―っ!!』

「やったっ!!」

「浩介ナイスバッティング!!」

―またデカい結果残しよって…、ホームラン打てとは言うてへんのに。

―開次、スライダー打ちの手本てこんなもんでええ?

『2回の片山に続き今度は関川がバックスクリーンへ、大会第9号のソロホームラン! 同じような打球を豪快に打ちました!』

『バットを一握り短く持ってはいましたが、それでも初球のスライダーをコンパクトなスイングでセンター方向、バックスクリーンに持って行きましたね』

『今ホームイン、チームとして今日2本目、今大会通算4本目のホームランでN`Cars 5対1とリードを広げました!』

「また仕事しよったな」

「1度見せただけじゃアカンから開次もスライダー打ちの手本見せたって」

「それはええけど、デカい仕事はオレに任せえてさっき言うたやん」

「別にええやろ」

「まー構へんわ。来いや瀬見…えっ?」


「まあまだ1点だから…、えっ?」

―ニューボールこぼした…? あれ、こんなんじゃないよねアイツ…?

「っておい、利季どこ行くんだよ!?」

「マウンドマウンド。まだ1アウトだよ?」

―監督、交代…、

―駄目だ。

―は…? 何で? 6回4点差じゃほぼ負けでしょ? せめて月楯に球遊びぐらいさせてあげて下さいよ。

「良いから戻れ」

―ええ…?

「ミツもワカも言ってるぞ。諦めんなって。昔のお前なら…、それこそいつものお前ならもっと気丈に振る舞って周りにも檄を飛ばしてたじゃねーか。それが何ホームラン1つで折れてんだ!」

『ん…? 1塁側の最上ノーストップズのベンチ前…、どうしたんでしょうか? 瀬見がフェアラインの前まで来て…、背番号10を付けた右ピッチャーの月楯がブルペンからグラウンドに行きかけて…、お互い止まっています』

『ちょっとコミュニケーション上手くいってないんでしょうかね…?』

―やっぱりな。監督さっき両腕で×印出してたし、交代拒否なんだな。

―5点取られてるけど利季は代えないか。実際ここまで利季の巧いピッチングがあったからここまで皆で勝ち残れたんだし、続投させたほうが今までのペースでチームもうまく行けると思うなオレも。

「1点取られたら、その後を抑えて喰い止めれば良い。攻撃はあと2回ある。その2回で4点差を追い付きゃ良い。兎に角前を向け。諦めるな!」

「…わかりました。行ってくるわ」

「え? あれ、オレは!?」

「良いから。月は下がってろ。今は瀬見に任してやれ」

―ありゃ。皆来てらっだじゃ。

『瀬見…が…、マウンドに戻ります。続投ですね。瀬見続投です! 内野陣が集まっているマウンドに…、あらら外野陣まで集まって来ちゃってました』

『全員集合しちゃってますね』

『それだけ信用度の高い瀬見…、その瀬見から背番号10の月楯に交代するかどうかというやり取りがおそらく交わされていたんでしょうが…、月楯も戻って試合再開です』

「あと2イニング。4点あるけど、諦めずに。まずはこの回、締まっていくぞっ!!」

「おー!!」


『バッターは 6番 ピッチャー 片山』

「9人でマウンド上で円陣組んじゃったよ」

「別に良いべ」

「6回表、1アウトランナー無し。プレイ!」

―それよりサイン。

―スライダー…、と言いたいところだけどあんまり多投すると肩肘に悪いか。変化球投手の利季だし、ここはお前の肩肘を労りたいんだけど、何が良い?

―えっ? 何でも良いの? じゃあ…。

―OK。

『片山は今日は第1打席でホームラン、第2打席もあわやというライトフライでした。三池、関川と並んで特に警戒すべきバッター』


キィ―ン!


『これも捉えた、レフトへ大きい―っ!!』

―いや、この球は…、


パシッ。


「キャーッチ!」

『レフト向町掴んで2アウト。しかしレフトフェンスギリギリまで飛ぶ大きなレフトフライでした』

―気持ちの籠ったカーブだった。あそこまで持ってった巧さと力強さは敵ながら天晴れだけど、キレも軌道も伸びもいつも以上に気持ちが籠ってる印象だった。

―向こうの監督さん、瀬見に何かハッパかけてはりましたな。そのハッパ、ええように向いてまっせ。今のカーブはええボールやったで…。

『7番 セカンド 梶原』

「栄次」

「ん?」

「今の瀬見、気合入っとるで…」

―ん。

―アイツあれでわかったんか?

『今日2打席何れも良い当たりのセカンドゴロの梶原』

―待球作戦とかもやってるみたいだけど、強打者の後に打たれるのが怖い。ここは1球、

―うん。


バシィ!


「ボール!」

―さっきのカーブもそうだけど、ミットに向かってくる時のボールの印象が違う。てか最初から外してる球なのに全力で投げる必要あるか?

―外した球でも打たれるかもしれねぇじゃん。次は? …良し。


キィン!


『アウトコースのスライダー捉えて、ライトのま…、』


パァン!


『おっとっ、ライトの法田前にもんどりうったが大丈夫か!?』


「キャーッチ! キャーッチ! キャーッチ!」

『捕っている―っ!! 素晴らしいダイビングキャッチですライトの法田、ファインプレー!!』

『点差もあってこれ以上点差を広げられたくない場面で、しかも地面すれすれというギリギリの打球に良く飛び付きました、ナイスキャッチですね』

「法田ナイスキャッチ! チェンジだからキビキビ動くよー!」

―危ねぇ…。ゴロ打たすつもりが思ったより飛んだな。法田に助けて貰ったけど、利季が元に戻って良かった。

『3アウトチェンジ。痛烈な当たりを打たれる場面もありましたがバックのファインプレーもあって瀬見投手、この回も失点を1点に止めました。しかしながら現在試合は5対1…、N`Cars関川のバックスクリーンへの大会第9号のソロホームランで点差は4点に広がっています』


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