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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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25/135

草野球カップ3回戦・最上ノーストップズ戦(その9)

「良し良し、良ぐ抑えた。点取った後の守りだがらな。良ぐ締めた。さて、守った後だ。守った後にきっちり点を取る。打順下位だけんど、この順番を繰り返して、少しでも片山を楽にしてやれ」

「はい!」

「よ~し…、じゃ、監督の言った通り」

「うん」

「追加点取るぞ!!」

「おー!!」


『さあここまで2対1…。4回を終えてN`Carsはヒット3本。1点リードしていますが2回戦までに合計26安打16得点のバッティングのチームをここまで最上ノーストップズの左腕・瀬見投手が良く抑えています。その最上ノーストップズは4回までヒット4本。2回以外は毎回ランナーを出しながら初回に相手のエラーで先制して以降はN`Carsの片山投手の前にホームが遠い状態が続いています』

『次の1点は先程4回にN`Carsが取りましたが、少ないチャンスで点を取ったN`Carsに対して最上ノーストップズはチャンスは多くありながら点が取れてませんね。これが続くと益々N`Carsの流れになりますよ』


『5回の表、N`Carsの攻撃は―7番 セカンド 梶原』

『今大会良い守りで活躍している梶原から始まります』

「プレイ!」


キィン!


『初球ピッチャー返し、センター前―は抜けない!! こちらも良い守りのセカンド志茂、ダイビングキャッチから1塁へ!』


「アウトー!」

『好プレーが出ました、最上ノーストップズのセカンド志茂! ファースト若宮へ、ダイビングキャッチで仕留めたゴロを1塁へ送って1アウト!』

「良いぞ志茂!!」

「1アウト1アウトー!」

―さっきのチャンスで点取れなかったからな…。

―取れなかったってことは向こうが確り守ったってことだからな。ならばこっちも確り守って流れを渡さない。下位だがこの回瀬見には確り0で締めて貰う。

『8番 レフト 桜場』

―当たれば飛ぶようだがこっちも打率は低い。だがこういう安パイこそ確り抑えてこの後の反撃に繋げる。

―良し…、監督といいミツといい気持ちは同じなのね。


パシィ!


「ストライーク!」

『まずは低めのストレートから入って来ました』

―あれ、振り回さないんだ。

―ボールだと思ったんでしょ。

「てかストレートがあんな良いところに入るんだね」

「だがら変化球もコントロール良く決まるんだよ」

「てことは変化球の伏線だな」

「そうかな」


カキ―ン!


「えぇっ!?」

「えっ!?」

『大きな当たり、右中間へ―!』


ポーン!


『抜けたあっ! 桜場は1塁を蹴って2塁へー!』

「廻れ廻れー!」

「2つだ2つー!」

『ツーベースヒット!! 1アウトから4回に続きこの回も得点圏にランナーを置きましたN`Cars!』

「あれ…球種何だったんだろう」

「さあ…。打ったほうに注目してて見てなかった」

―俊和は球種関係なく当たれば飛ぶからな…。

―健はともかく俊和は普段の率低いから瀬見のピッチング何来るかで打つことまで予想してなかったわすまん。

―都筑と萩原の読み合戦、どっちが勝ったかわがんねな。桜場が打っちゃったがら…。

『9番 サード 都筑』

『1アウト2塁でラストバッターの都筑。きょうはまだヒットはありませんが今大会通算7打数4安打と当たっています』

『下位ながら良いバッターですね』

『しかしながらここはこの構え』

『2アウト3塁にしてでも3点目を狙いに行く…、ということですね』


バシィ!


「ストライーク!」

『バントの構えから引いて1ストライク。ファーストの若宮がチャージをかけて来ます』

―あんま早くやるとバレるもんな…。前のイニングに監督が言ってた通り、ここは待つ。

『サードは…、ランナーがいるので前には出れません』

『そうですね。その方向に転がったらピッチャーがダッシュして捕りに行くことになりますが、左ピッチャーの瀬見くんですので投げ終わった後のフィニッシュの体勢のまま捕りに行けるのが彼としてはまだ利点ですね』


バシィ!


「ストライクツー!」

『あっと2球目もやりません…、2球続けて低めのストレートを見送って2ストライク』

―2つやらない?

―バント…、う~ん…、3球目も一応ダッシュしとくか。

『2ストライクですがファーストはそのままの位置。ここから2球続けてダッシュしてきました』

―バント…、ここでもバントってことはこれ本気で3点目取りに来てるな。利季、これで行け。

―空振っても足技があるからそっちよりはファールか上げさせたほうが良いってか。わかった。

『2ストライクから…、都筑バントの構え、ファースト若宮ダッシュ!』


コッ。


『スリーバントだ、ピッチャー…、いやサードだ! サードに捕らせるバントだ!』

「本城頼む!」

「捕ったら志茂に投げろ!」

―あ、マジ。

『捕って1塁カバーの志茂へ、どうだ!?』


「セーフ!」

『セーフだ! 都筑の1塁到達が僅かに速かった、内野安打!! N`Cars、1アウトから8番桜場、9番都筑の連打で1・3塁の追加点のチャンス!!』

『3塁のライン際、それもやや強めにサードに捕らせる絶妙なバントでしたね。瀬見くんもフィールディングは良かったんですが抜かれ、ベースカバーも4回同様ファーストがダッシュしてセカンドが素早く入って本城のスローイングも悪くなかったんですがそれでも間に合いませんでしたね』

『バントヒットでチャンスを広げたN`Cars…、ここから3巡目です』

『1番 センター 萩原』

「瞬!」

「ん?」

「当たり出てるから、今度それ地面に這わせて!」

「OK」

―シングル1本か…。ま、涼当たってるから繋げばその後の追加点はアイツに託せる。

―打たせたほうが良いですよね…、やっぱり。監督のサインはスクイズじゃなかった。

『今日は2打数ノーヒットですが当たりは何れも外野』

『狙うなら外野フライですね…。それも十分に飛距離のある』

―まず還すなら俊和から。

「早くホームに還してー!」

『内野、二遊間はダブルプレーの体勢』

―早く還りたがってるみたいだしこっちも早めに打たせるか。ダブルプレー狙いで…、えっ?


『1塁ランナースタート!』


キィン!


『打っていった! 打球はライトへ!』

―打ったか! いやでも…。

『3塁ランナータッチアップの構え、飛距離は十分!』


タッ。


「キャーッチ!」

『3塁ランナースタート!』

―飛距離は出ている。瞬まずは最低限の仕事クリアだな。


ザッ!


『中継からボールがホームに還って来ますがタッチはできません、3点目! 1番萩原、ライトへ確りと犠牲フライを放って3対1、スタートを切っていた1塁ランナーの都筑もハーフウェイで止まった後1塁へ戻っています』

「ナイスバッティング!」

「最低限最低限!」

『そして今ボールが3塁上に送られて3塁ランナーの桜場が正しくタッチアップをしたかどうかの確認がアピールプレーという形で行われていますが…、アピールは認められません、タッチアップは正しく行われていました』

「てか良いの…?」

「えっ、何が?」

「サインミスじゃないのか、って」

「いや良い」

―ファーストランナーの盗塁のサインだったんだけんど、それでもストライクボールが来たら打ってって良いがら。別にサインミスでねぇ、好球必打に徹したまでだ。

―あ、そういうことだったんですね。

―何だ。

―そうだ。

『2番 ショート 小宮山』

『3対1、1点を追加して尚も2アウト1塁で今日ヒット1本の小宮山』

「チャンスがあるうちはどんどん繋いでけー!」

「後ろにどんどん繋げー!」

―やめろオレみたいなポンコツにそんな期待すんの…。

「あんま言うとネクストの永田にプレッシャーかかって凹むぞ」

「この場面で凹まれでも困るんだけんどなあ…」


カキ―ン!


「お―っ!」


「ファールボール!」

「ああ…」

『チャンスが続いていて尚も初球から振っていきますN`Cars打線。とにかくファーストストライクは見逃さないという姿勢は初戦から続けて来ました』

『この姿勢は続けていくべきですね。それで勝てているのですから尚更です』


バシィ!


「ボール!」

『キャッチャー1塁へ…、ランナー戻っています。1つキャッチャーの満沢が1塁へ牽制球を入れて来ました』

『足技という可能性もありますからね。前の回それを絡めて勝ち越し点を取られてますので、これ以上点を取られたくないというのもあって尚更警戒してるのでしょう』


キィン!


「ファールボール!」

『あっ…、しかし対照的に瀬見は牽制球を1つも入れず勝負しに行きました。河瀬さんこれは…、何か意図でもあるんでしょうか?』

『おそらくランナーは満沢に任せて良いから瀬見はバッター1本に集中しろというやり取りがどこかであったのか…、それとも2アウトなので初めから瀬見がバッター1本に割り切っていたか…でしょうかね。どちらか、将又別の考えがあったのかはわかりませんが』

―やっぱりな。ミツの牽制とバッターのスイングでわかった。ここは足技はしない、自由に打たせてくる。でもオレ何の気無く投げちゃったけど、ミツ今の球のサイン危なかったぞ…。

―失投じゃ…、と疑いたくなったが利季が失投するわけないからな…、やっぱオレのサインが雑だったか。バックネットに飛んでるし…、次同じの続けたら今度こそ前に飛ばされる。…う~ん…。

―ミツ、オレにサイン出させろ。これだ。

―え!? …よしわかった。


バシィ!


「ボールツー!」

『キャッチャー中腰から立ち上がって1球外させました…、いやキャッチャーではなく瀬見が外させたんでしょうか?』

『自分でサインらしきものを出してますから、多分そうでしょうね』

『1ボール2ストライクと追い込んでいる状況でしたがカウントを2ボール2ストライクと整えて来ましたバッテリー』

―ピッチャーに間合い取れとは良く言われるけどキャッチャーも間合い取んないと落ち着いてサイン出せないからな。

―…で? どうすんの次?

―決めに行く。2-2からならサイン出し易いでしょ?

―わかった。なら得意の変化球で。球種はこれだ。

―よし。

『カウント2-2…、キャッチャー今度は座ったまま』


バシィ!


『んっ!?』

「スイング!」

「1塁塁審!」

『バットは!?』


「ノースイング!」

『廻っていません。これでカウント3ボール2ストライク、フルカウントになりました』

「カウント3ボール2ストライク!」

『しかし今の変化球…、僅かに外れてボールという格好にはなりましたが思わずバッターも手が出かかる程の良いボールでした』

『振っていなくともストライクとコールされてもおかしくないようなボールでした』

―スクリューか…? カーブっぽい軌道だけどシュート回転しながら沈んでいってるから多分…。シンカーならもう少しストレートっぽいもんな。

―あっぶね…。振らされるとこだった…。

『2アウトで投球フルカウントですので、1塁ランナーの都筑は投球と同時にスタートを切ります』

―同じ球は続けない。けど同じ変化球で低めに沈む球で。

―今度は空振りかゴロを狙うのね。

『6球目…、1塁ランナースタート!!』


キィン!


『ピッチャー返し! グローブと逆、詰めていた二遊間も抜けた―っ!!』

「健廻れ廻れ!!」

「東3つ!」

『スタートを切っていた都筑は2塁から3塁へ、ボールも3塁へ送られる―っ!!』


「セーフ!」


『がタッチはできない! ヒットエンドランのような格好で2アウトランナー1・3塁とチャンスを繋ぎました小宮山!!』

「やったーっ!!」

「涼ナイスバッティング!!」

―球種変えたんだけどな…。低めのスライダーに…。

―さっきスクリュー見せたけど、それと同じ低めに沈む球だったからアバウトな考えだけどそういう軌道のボールが来るっていうイメージはあったのかな。

『3番 ライト 永田』

「タイム!」

『ここで3番の永田を迎えるところで…、キャッチャーの満沢がタイムをかけてマウンドに行きます』


「バッター1本?」

「でしょうねえ。コイツら早いカウントから打ってくるから早めに抑えれば…」

「それに安パイだし。1打席目も利季の変化球に手こずってた」

「それで行くか」


『キャッチャーが戻ります』

『バッターは 永田』

「5回表、2アウト1・3塁。プレイ!!」

『2点差となって尚も2アウト1・3塁のチャンス。最上ノーストップズとしてはこれ以上追加点をやりたくない場面での打ち合わせでした』

『打席の永田くんは今日送りバント1つありますが今大会通算8打数ノーヒットと当たっていませんがそれだけ慎重になったということでしょうね』

―何とかバットに当てて、追加点を呼び込めれば…。


『1塁ランナースタート!!』

―初球から!?


パァン!


「ストライーク!」

『2塁へ…、3塁ランナー突っ込んで来た―っ!!』


ズザァッ!

『ホーム際どいが!?』


「セーフ!」

『ホームイーン!! 4点目は初球から足で動いてきましたN`Cars!』

―初球から来たか…。

―2アウトだったから待つかと思いきや…、初球から走ってきましたか。大胆だあねえ。

『ダブルスチール成功で追加点を挙げ尚も2アウト2塁のチャンス。5点目のランナーは2塁にいます』

「ナイランナイラン!」

「もう1点取るよー!」

―また走るのかよ…。

―もうやめとけ。ミツバッター1本って決めたべ? それで行こ。

―そうだな。ランナーガン無視で…。

『ダブルスチールの時の投球は空振りで1ストライク』


ギィン!


『変化球、ちょっと体勢が崩されてショートゴロ。大堀から若宮へ、3アウト、ランナー2塁に残塁です』

「点取った後だがらな、皆確り守ってけよ!」

「はい!」

「利季チェンジだぞ」

「ああ」

―後で覚えとけよアイツら…。

『5回の表が終了。N`Carsが3本の長短打に犠飛とダブルスチールで2点を追加、4対1とリードを広げています』


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