チェックイン
大阪府O市K区
N`Carsは桜島駅から少し徒歩移動して、大会期間中お世話になるホテルに到着した。
「予約してました、N`Carsです」
フロントでは、徳山監督がチェックインの手続きを進めていた。一方で選手たちはと言うと…、
「……」
皆さんお疲れの様子。フロントに設置されているソファーやベンチタイプの椅子に腰掛けたり、壁や柱に凭れ掛かったりしていた。
「ではお部屋のほうへご案内いたします」
「皆、受付終わっだぞ」
徳山監督の一声で、重いであろう体を立ち上げた。立つなり思い切り体を伸ばすメンバーもチラホラ。
「荷物はこちらでお持ちいたします」
ホテルスタッフの1人が、台車を用意して待機している。各自、そのスタッフに「お願いします」と声を掛けつつ、荷物を台車に乗せた。道具は先に到着していて、既に宿泊予定のフロアの部屋に搬入済みだという。
「それでは大会期間中、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
フロントで鍵を受け取った徳山監督に続き、選手たちもフロントに挨拶。続々と部屋へ向かった。
宿泊する部屋のフロアに到着した。
「今回は3人部屋を合計で7部屋ご用意いたしました。鍵は全部屋オートロックとなっておりますので、部屋を出られて移動される際、また当ホテルをチェックアウトされる際は必ず鍵をお持ちください」
「はい、ありがとうございます」
ホテルスタッフの説明の後、徳山監督から部屋割りが発表された。その部屋割り毎に代表者1名が徳山監督から鍵を受け取って、それぞれの部屋に入った。
「はぁ…、やっと着いた…」
「疲れた…」
「朝早うから長距離移動の上に主将と副主将の仕事やからな…。2人ともお疲れ様やでホンマ」
鍵を開けて部屋に入るなり素早く荷物を整理して既に疲れ切っていた永田と関川は横になって体を休めていた。片山はと言うと…、
―言うてオレも疲れてんねんけどな…。態々横になる程とちゃうからええか…。
体育座りで、カーテンが開いている窓から見える、主に海を中心とした景色を眺めていた。
暫くすると、誰かがドアをノックした。
片山がドアスコープを覗くと、萩原が立っていた。
何や瞬か…、そう思いつつ、ドアを開ける。
「何?」
「浩介と永田は?」
「ああ、アイツらお疲れモードやから、オレが相手したる」
「いや…、期間中お世話になる食事の会場を下見しようかと思ったんだけど…、首脳陣知らなかったら困るでしょ?」
「オレが行って説明すればええやろ。アイツらそこまでのアホちゃうから」
ということで、萩原と片山は食事の会場を下見に行った。
こうして、N`Carsのホテル滞在生活が始まった。




