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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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大人しいオーラ

N`Carsが降車して少し経った後、のぞみ号に()()()()が表れた。



「あれ…、何か大人しくなった?」

「あの車両、色合いが落ち着いたと言うか元に戻った様な…」

「もう大丈夫ってことかな? だとしたら…」


 車両を黒く変色させる様に見える程強力なオーラが、N`Carsが降車すると同時に少しずつ抜けて、10秒も経てば元に戻った様に見えた。すると、



「オレら大人しく乗れるぞー! 皆喜べー!! バンザーイ!!」


 1人の乗客が、こう音頭を取ったのを機に、一斉に万歳三唱が始まってしまった…。


「早よせんかい、他のお客さんの迷惑に…、」

「バンザーイ!!! バンザーイ!!! バンザーイ!!! バンザーイ!!! バンザーイ!!! バンザーイ!!!」


 他の客が止めようとしても、効果無し。



 既に下の階に降りたN`Carsにも、万歳三唱の声は響き渡っていた。


「アイツら何騒いでんの?」

「さあ…、のぞみ号の累計乗車人数が100億人突破したとかじゃねぇの?」

「それにしては全然記念式典っぽく無かったで」

「歴史ある新幹線やけどな…、でもホームの雰囲気は浩介の言う通りやったもんな…」


 万歳三唱の声が確り聞こえた萩原と永田が会話を始めると、その近くにいた関川と片山が加わる。この4人を含めて、何の万歳三唱かわからない一同。少なくとも言えるのは、関川の言う通り記念式典の設営はされていなかったことだけだ。




 新大阪駅に到着して約10分。N`Carsは新幹線ホームから、改札を通ってJR神戸線の7番のりばにいた。もうあと3、4分もすれば、隣の東淀川(ひがしよどがわ)駅から須磨(すま)行き普通列車が入線して来る。

 お昼時であったがやはり日本の三大都市圏を担う駅のホームということもあって、ホーム上はある程度混んでいた。ただ、1個だけ変化があった。


 N`Carsのオーラが大人しいことだ。


 先程までの、あの恐ろしくて近寄り難い程怒りに満ちたオーラはどこへ行ったのか…。他のお客さんも、ある程度の距離こそ取っているがそれほどN`Carsを恐れてはおらず、寧ろいつも通り並んでいた。



『間も無く、7番のりばにJR神戸線普通列車須磨行きが入線いたします。危ないですから、黄色い線の内側まで下がってお待ちください』


 一応補足しておくと、東海道本線のうち京都駅-大阪駅間はJR京都線で、JR神戸線は大阪駅から姫路駅までの区間にそれぞれ付けられた愛称で、神戸駅-姫路駅間は山陽本線の区間でもある。

 それで行くとつまりN`Carsが乗る予定の新大阪駅-大阪駅間は厳密にはJR京都線なのだが、新大阪駅では京都方面はJR京都線で、神戸方面や宝塚方面はJR神戸線やJR宝塚線で呼称を統一している。

 だから、今から入線して来る普通列車は隣の大阪駅を発車した後、兵庫県に入って神戸駅を経由して須磨駅まで行くので、JR神戸線とアナウンスされたわけだ。


 隣の東淀川駅方面から、つまりホームの右側からゆっくりと普通列車が入線して来る。車両左側の自動ドアが開いて、降りてくるお客さんが全員行った後、N`Cars含む乗車客も一斉に乗り込む。


 全員が乗り込んだ後、自動ドアが一斉に閉まる。そのままゆっくりと、普通列車は神戸方面へ発車した。N`Carsにとっては僅か1駅だけの移動が始まった。






 さて、新幹線ホームで万歳三唱していた皆様ですが、開いたホームドアの移動線上を跨いで行っている人が数名いたのと、10分間にも渡って行われていた為に、恐らく日本の鉄道史上最も厳しいであろう言葉で強烈なホームアナウンスが為された上に、駅員数名が飛んで行って、まずホームドアに移動線上に立っていた数名を強制連行した後、他の大多数の乗客とホームにいた客を、後者はホームから大きく下げさせた上でそれぞれ厳重注意したそうです。


 当然ダイヤは乱れて、危険行為に及ぶ人もいたことから、乗客は駅に降りる時以外立ち歩き禁止にして、ホームで待っていた客は、その時居合わせた人全員が対象の下、1本の列車につき10~17人まで、つまり1両あたり1人までの乗車制限が掛けられましたとさ。


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