様変わりする景色
人が増えたこともあって、新幹線全体で見ると若干賑やかになってはいたのだが、約1両、静か過ぎてオーラがおかしいチームがいた。小山駅を通過。栃木県内も大分南のほうに入って、徐々に埼玉県内に近付きつつ、景色も様変わりつつある…、のだが、彼らは見向きもしなかった。抑々彼らにそういったものへの関心があるのだろうか。そのくらい静かであった。
東北新幹線の本線から横に分岐しているレールがある。鷲宮信号場だ。ということはもう埼玉県内に入っている。大宮駅にも大分近付いて来ているから、新幹線に乗車した2時間前から良く見続けていた長閑な風景から、徐々に高層ビルが増えつつあった。宇都宮から大宮まで25分。そのうちの約20分が経過した。
『ご乗車頂きありがとうございます。間も無く大宮、大宮です。13番線に到着いたします、お出口は右側です。乗り換えのご案内をいたします』
・東北・山形・秋田・北海道新幹線→17番線へ
・上越・北陸新幹線→18番線へ
・在来線のうち、次は1階の地上ホームへ
・京浜東北線→1または2番線へ
・武蔵野線直通「むさしの号」「しもうさ号」→3番線へ
・宇都宮線(上り)→3または4番線へ
・高崎・上越線(上り)→6または7番線へ
・上野東京ライン・湘南新宿ライン→3、4、6または7番線へ
・特急「草津」「あかぎ」→7番線へ
・高崎・上越線(下り)→8番線へ
・宇都宮線(下り) 久喜・古河・小山・宇都宮・黒磯方面→9番線へ
・宇都宮線(下り) 小山・宇都宮方面、高崎線(下り) 熊谷・高崎方面、東武日光線直通特急「日光」「きぬがわ」→11番線へ
・次は地下1階の地下ホームへ
・埼京線→19、20または22番線へ
・川越線→21または22番線へ
物凄い数の乗り換えルートである。いや、これで物凄いと言っていたら…、確かに東京以北の本州の駅で最大クラスとは言え、上野と東京はどうなるのだ。欠番こそあれど22本もの番線があれば、こう思っても仕方無い。
13番線ホームとやまびこ・つばさ号の右側ドアを行き交う人も増えた。平日の通学・通勤ラッシュの東北新幹線大宮駅でこれなら、在来線はどうなってしまうんだ…。まあ何れにせよ、そんなことには興味も無い面々だったが。
大宮駅を発車した。先程の宇都宮―大宮間もそうだったが、大宮―上野間はスピードレンジが下がる。宇都宮―大宮間はその前の盛岡―宇都宮から-45km/h、大宮―上野間になると宇都宮―大宮間の半分以下の130km/hにまで下げる。130km/hというと山形新幹線の最高速度なのだが、長時間その倍の速度で走って来たとなれば、当然体も麻痺するだろう。
130km/hにペースを下げたやまびこ・つばさ号の周りは、高層建物を筆頭に人工構築物だらけだった。長閑なあの自然な景色はどこへ行ってしまったのだ…。彼らが景色に関心があれば、こう思っていたことだろう。
『ご乗車頂きありがとうございます。間も無く上野、上野です。お出口は左側です。乗り換えのご案内をいたします』
・東北・北海道・秋田・山形新幹線→20番線へ
・上越・北陸新幹線→19番線へ
・在来線は全て地上1階以上へ上がる、次は地平ホームへ
・宇都宮線・高崎線(何れも下り) 赤羽・大宮・宇都宮・高崎方面→14、15または16番線へ
・次は高架ホームへ
・京浜東北線(北行) 赤羽・浦和・大宮方面→1番線へ
(南行) 蒲田・川崎・横浜・関内方面→4番線へ
・山手線(内回り) 田端・池袋・新宿方面→2番線へ
(外回り) 秋葉原・東京・浜松町・品川方面→3番線へ
・宇都宮線・高崎線(何れも下り) 赤羽・大宮・宇都宮・高崎方面→5または6番線へ
・常磐線(快速・下り) 松戸・取手・水戸・成田方面→6、9、10、11または12番線へ
(特急)「ひたち」「ときわ」(下り) 柏・土浦・水戸・いわき方面→8番線へ
・成田線(下り) 松戸・取手・水戸・成田方面→6、9、10、11または12番線へ
・上野東京ライン(上り(南行)) 東京・品川・横浜・小田原・熱海方面→7または8番線へ
東京・品川方面→8または9番線へ
新幹線は全て地下ホームなので、やまびこ・つばさ号も地下に入ってから停車する。暗く囲まれた空間をスローダウンして、照明灯で明るく照らされている21番線ホームに入る。
既に東京都内で、これだけのアクセス数も多いだけに、人が凄かった。地上以上のホームではもっと凄いことになっているかもしれない。午前9時を過ぎているのに尚これである。
1分間で捌けるだけの乗降客を捌き切ったやまびこ・つばさ号は、上野駅を発車した。愈々東北・山形新幹線の上り終着駅である、東京駅へ向かう。




