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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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107/136

興味…

 米沢駅を出発したつばさ号は、福島駅へ向けて山形と福島の県境付近の山が連なる区間を走っていた。米沢から福島までの間に6駅あるが、この6駅は全て通過する。


 山とそこから見える景色、あとはロックシェードやトンネルといった区間を走行中は、皆暇だった。…というより、赤湯駅の件での疲労が抜け切れていなかった。米沢から福島まで30分以上あるが、暫くはこんな状態なのだろう。だから、車両前方にある電光掲示板に表示されたニュースにも興味を示さなかった。




◇築地スポーツ◇

 全国草野球選手権大会は今日北海道の4代表が決まり、全国から188チームが出揃う。今年は1都道府県につき各都道府県大会を勝ち抜いた4チームが出場枠を勝ち取り、昨日までに46都府県の合計184チームが代表として全国大会に出場することが決定した。各チームは代表決定戦後に行われたブロック抽選の結果を基にA~Dの4つのブロックにそれぞれ分けられ、後日組み合わせ抽選が開かれる。




 実際は、発行元の新聞社とその記事の書き出しは、一続きになる様に表示されている。このニュースが横向きの電光掲示板の右から左へ進む様に表示されているにも拘らず、誰も興味を示さなかった。せいぜい、走行中の車内と外との明るさの違いから、本能であー今山だな…、今トンネルだな…、というのを言葉に発さずに繰り返す程度だった。


 笹木野駅を通過した。ということはつばさ号は既に福島県に入っていて、通過する駅の6駅全てを通過したことになる。福島駅ももう近い。時間も既に午前7時半を過ぎている。




『ご乗車頂きありがとうございます。間も無く福島、福島です。14番線に到着いたします、お出口は左側です。乗り換えのご案内をいたします。東北新幹線下り仙台・盛岡方面へは14番線のすぐ隣の13番線へ乗り換えです。尚、当列車は福島駅にて先に待機しておりますやまびこ号と連結後、東北新幹線上り宇都宮・大宮・東京方面へ向かうやまびこ・つばさ号として運行いたします。当方面へご利用の方は引き続き車内でお待ちください。次に在来線の連絡をいたします。在来線は全路線で福島駅構内の1階にホームがございます。JR東北本線上り郡山・黒磯方面へは1番線または2番線へ、白石(しろいし)・仙台方面へは3番線または4番線へ、JR奥羽本線山形・新庄方面へは5番線または6番線へそれぞれお乗り換えです。阿武隈(あぶくま)急行及び福島交通飯坂線ご利用のお客様は、一旦福島駅東口を出られました後、駅北側の阿武隈急行・福島交通飯坂線の電車のりばに入って、改札をお進みください。ホームを挟んで西側が阿武隈急行、東側が福島交通飯坂線です。尚ホームに入るまでの間に、3度停車いたします。お足元に十分お気を付けください。お降りの際はお忘れ物、落とし物なさいません様ご注意ください。福島駅に停車後、先行いたします東北新幹線やまびこ号との連結作業を行う為、少々お時間を頂きます。連結作業完了次第の発車となります。本日も山形新幹線をご利用頂き誠にありがとうございました。間も無く福島、福島です』




 やはり複数路線が乗り入れるだけに、アナウンスも長かった。これが東京駅だともっと大変なことになりそうだ。アナウンス担当の皆様いつもありがとうございます。


 3度停車した後、福島駅の14番線ホームに停車した。だがこれは厳密に言うと完全な停車では無い。アナウンスでもあった通りやまびこ号とつばさ号の連結作業があるのだ。


 乗車中では外の様子は見れないが、やまびこ号の最後尾の車両とつばさ号の先頭車両からそれぞれ連結器を伸ばしてくっつける。この時車両を連結できる様に位置を微調整するので、つばさ号の自動ドアは閉まったままである。


 ガチャン。その壮大な作業現場とそのメインテーマである「連結」が、この音が響き渡ると同時にクリアしたことを知らせる。これが見られるのは作業に携わる関係者と外で待機しているお客様のみという、凄い特権である。



 一連の連結作業が終わって、つばさ号の自動ドアが一斉に開く。先に入って待機していたやまびこ号は自動ドアを開けて乗降客の行き来もある程度終えていたが、つばさ号はこれからだ。


 乗降客(彼ら)が興味あるのはそれぞれ自分のことかさっきの連結作業くらいだろう。恐らくその連結作業を見に来たのか、ホームのやまびこ号の最後尾とつばさ号の先頭車両に最も近くから見える場所に人だかりがあったが、作業を終えるや皆一斉につばさ号から降りたお客さんとともに改札に行くか、やまびこ号に戻っていた。後のことは、他のことは我関せずといった具合である。


 つばさ号にとってはあまり設けられていない乗降時間が過ぎて、発車時間が来た。連結器で繋がったやまびこ・つばさ号は両方の自動ドアを閉めて、東北新幹線の上りレールを使って東京方面へと発車した。


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