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The Baseball Novel  作者: N'Cars


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長閑な景色とリラックスな車内

※当話にて、今泉駅のシーンでJR米坂線の坂町方面への乗り換えアナウンスが描写されていますが、現在米坂線の今泉駅―坂町駅間は、2022年8月3日の大雨による被災に伴い同区間で代行バス輸送となっております。


しかしながらここでは作中の時間軸に合わせて、上記日付より前の設定で話を進めております。


被災された方々やその関係者へ心からお見舞いを申し上げるとともに、JR米坂線の1日も早い全線での復旧・運行再開をお祈り申し上げます。

 朝6時過ぎ、長井駅を発車した長井線上りの赤湯行きの始発列車は、東から昇った朝日の光を左側から受けながら、南側の起終点駅である南陽の赤湯駅に向かって南下していた。


 両脇には点在する民家、広大な田畑、その奥には山が見える…と言った開けた空間にある単線を、ディーゼル機関車がレールに沿って辿りながら南下して行く。


 全線各駅停車なのだが、停まる駅は多くが線路の左右どちらかに駅舎とホームがあって、しかも常時無人という駅が殆どなのだ。だからそういう駅で降りる時は1両であっても2両であっても兎に角先頭車両まで行ってお金や切符を料金箱に入れるか運転士さんに渡すか、車掌さんが乗務されていれば降りてすぐに車掌さんに支払うかする。しかも常時無人にして切符すら売っていない駅もザラで、その場合は1両目後方から乗ってすぐに整理券を取って支払うべき運賃を準備する、というシステム。


 …なのだが始発とは言え抑々乗客がN`Cars以外殆どおらず、今日N`Carsが乗車して以降は居たかどうかも覚えていない。車内は皆リラックスモードだったが、それでも乗降客がいれば大体気付くものである。



 そんなリラックスモードの車内では、皆それぞれの方法で移動時間を過ごしていた。早朝の移動ということもあって寝足りない人は朝日の光を浴びながら転寝したり、自分なりの娯楽をしたり、車窓から見える景色を眺めたり…、皆まちまちだった。


 永田は音楽プレーヤーに挿したイヤホンから音楽を聴きつつ、時々目線を進行方向の運転席側に遣りながら車窓から見える景色を眺めている。少し距離を置いて、横には三池が音を消した状態でゲームをしている。ちょっとわかり辛いが、どうやらポイントを貯めるミニゲームをしている様だ。


 三池の動作が一瞬止まって、表情が若干強張る。はっきりとはわからないがこの仕草を見る限りどうやら失敗したらしい。


 反対側のベンチシートでは、これまた中津がゲームをしていた。只三池とはゲーム機の機種が違うので、違うタイトルのゲームをしている可能性は高い。こちらも音を消して作業を進めている。



 そうこうしているうちに長井駅を発車して約10分。

『ご乗車頂きありがとうございます。間も無く今泉、今泉です。1番線に停車いたします、お出口は右側です。JR米坂線米沢方面へは3番線へ、坂町方面へは4番線へそれぞれお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物、落とし物なさいません様ご注意ください』


 JR米坂線とも接続する、今泉駅が近付いた。駅のホームが近付くに連れてディーゼル機関車はゆっくりとスローダウン、1番線ホームに停車した。JR米坂線のホームには3番線、4番線ともにまだ車両が来ていなかったが、こちらも長井線と同じく全線非電化で、来る車両はタイプこそ違うが同じディーゼル機関車だ。


 3、4番線のホームへは、停車直前に潜った跨線橋を渡って行くことになる。ここで降りるとしても、跨線橋を越えてから駅舎内にある改札を通過するから、どのみち降りた客はまずは跨線橋へ真っ直ぐ行くことになる。



 さあ誰か降りるのか、或いは誰か乗って来るのか…、とホーム側を見つつ待っていたのだが、入って来たのは停車と同時に開いたホーム側のドアから若干吹いて来た風だけだった。どんなに少なくても1人か2人乗降客は居そうなものだったが、それすら居なかった。全て半自動ドアなのでボタンを押して閉めようか…、とも思ったが、換気も兼ねて、発車時間ギリギリまで開けておくことにした。開いていたスペースに入ろうとして、いきなり閉められたら堪ったものでは無い。特に急いでいる時なら尚更だ。抑々危ないので、急いで乗り降りすること自体駄目なのだが。



 抑々始発で客が少なかったとは言え、3、4番線ともに車両が来ていなかったとは言え、結局乗降客0のまま、発車時間が来てしまった。半自動で開いていたドアが、全て強制的に閉められる。乗客人数が変わらなかったディーゼル機関車は、再び赤湯方面に向けてゆっくりと今泉駅を発車した。


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