『廃工場』
そこに居たのは・・・・女?
「よう、奈々ちゃんテストはどうだった?」
後で夜月に聞いた話この人は雪城奈々、俺と同じ晴嵐高校の生徒だ。
雪城は自分の造型術の訓練とテストを受けてきたらしい
詳しい事はそのうち教えてくれるらしいが、どうやらこの組織はものすごく大きなものらしい
「新入り?何の造型できんの?」
「ナイフだけど・・・」
「ナイフ??あんたそれ本気?」
どこかで聞いたことのある会話だ。
よってこの後、オーナーの夢の中で闘う事になった。
もちろん結果は言うまでもなく俺の圧勝。
自我を持つ武器は並みの造型者に負けるはずがないのだ。
「強・・・新入りの癖に・・・」
「そうだ!今から奈々と慎と僕で狩に行かない?」
「狩???」
実戦ということらしいけど・・・俺に出来るのか・・・
「場所は3ヶ月ほど前に閉鎖した廃工場ってことでいい?」
「よし、それじゃ行こうか」
「え、お俺も?俺まだ実戦経験がないんだけど?
「何言ってるの?慎君が一番強いんでしょ?」
確かにオーナーの夢の中では俺が一番だったけど・・・
しかたないな・・・
時刻は00:30
俺達は廃工場に着いた。
暗い夜道を照らしてくれる月の光も工場の中には届かない
「真っ暗だね・・・」
「お、おう・・・暗い・・・」
「だらしないわねー男二人がビビッてどうするのよ?」
そんな話しをしながら毎秒10cmほどの超ゆっくりスピードで足を進めていくと
大きな広場みたいな所に着いた。
工場で生産した商品の保管しておく倉庫のようだ。
『ガシャン』・・・・『ガシャン』・・・・『ガシャン』・・・・
「何この音?」
雪城が言った瞬間。
前方に光が二つ・・・目なのか?
次の瞬間『グゥォォォォォォオォォ』と言う叫び声と共にその光が近づいてきた。
「ダメだ、真っ暗で何も見えない・・・」
「僕に任せて」
そう言うと夜月は槍を造型して跳び上がり天井を突き破った。
月の光が光る目の正体をあばいた。
3mは軽く超えている・・・人間?のような生き物
爪と牙がやはり以上に進化している。
「人型ですか?これは厄介ですね」
「私が奴の気を引くからその隙に、できる?」
「分かった」
意気がぴったりな二人はそのままゴーレムめがけて突っ込んでいく。
雪城は高く跳び上がりそのままレイピアを創りターゲットめがけて攻撃の姿勢に入った。
その間に夜月は低い姿勢から攻撃のタイミングを見計らった。
まずは雪城の攻撃、鋭いレイピアを突き立てる
しかし避けられた。そのまま敵の背後に入り込み体制を整える
次に夜月が槍を突き刺した。しかしこれも避けられる。
背後に回りこんだ雪城の2度目の攻撃・・・これも当たらない
敵は大きい体をしているが動きが良い・・・
すべの攻撃を避けてしまう。
「クッダメだ避けられる・・・」
その時、ターゲットがコチラをジロっと睨みものすごいスピードで走ってくる
闘いに加わらないところから俺が初心者だと睨んだのだろう。
「慎君!!武器を創って!!」
俺は言われるまま武器を作った両手を広げ一気に1000本のナイフを造型した
それは翼のように僕を包み、突っ込んでくる敵から僕を護った。
ナイフが壁のように重なり盾の代わりになった。
盾と言ってもそれは武器。
1000本のナイフがゴーレムのカラダを次々に貫通していく
内臓が抉られて飛び散る赤黒い血・・・・
ゴーレムのうめき声が止まるまで時間は掛からなかった
吹き上がる血飛沫の中に俺は立っていた。