『契約』
すっかり闇が支配する夜になった頃、俺とマキシは約束の公園についた。
月明かりと公園の街灯に照らされた公園に昼間の活気は無く今にでも幽霊が出そうなほどの
恐怖を感じる、
「待ってましたよ、慎君」
「悪い遅くなった、それで聞かせてくれよ?」
「まぁまぁ焦らない焦らない、お客さんです。」
公園の茂みから飛び出してきた一匹の・・・・犬?・・・違う・・・
ゴーレムだ、それも悪性化したゴーレム。
その憎悪に満ちた目を見ればすぐ分かる、異様に伸びた爪と牙。
「ふ〜雑魚ですね、レベル1の雑魚です。少々お待ちくださいすぐに殺りますから」
「殺るって・・・」
夜月は牙をむいて向かってくるゴーレムに顔色一つ変えない。
どうするつもりなのだ。俺は何も出来ないままそこに立っていた。
それは・・・一瞬の出来事だった。
夜月は自分の体の倍はある大きな槍を取り出しゴーレムを切裂いた。
頭蓋骨が陥没して脳みそが出てきている
公園の広場があっと言う間に血の惨劇へと化した。
顔についた血を拭いながら夜月は言った。
「これが僕達の仕事、僕は槍使い『あらゆるものを貫く槍を造型できる』
これはダークマターから成り立つゴーレムを確実に葬るたった一つの方法」
意味が分からん!
こいつは何を言っているのだ。今殺したのがゴーレムと言う事は分かった
それとゴーレム殺し?
それなら断るね。俺は絶対にそんな危ないことは・・・
「それじゃ登録しに行こうか?」
「登録?」
「きみもヴォイド事務所に登録するんだよ!そしたらいつも一緒に居られるじゃん?」
別に一緒に居たかねーしゴーレム殺しもやりたくないのに気が付けば・・・
ヴォイド事務所のオーナーの差し出した契約書に目を通している最中だった・・・・
「えっと慎君の武器は何かな?」
さっきの槍みたいな奴の事なのか・・・
俺はそんなもの一度も出した事は無いが・・・
「武器って・・・俺は一度もそんなもの使った事が・・・」
言い忘れていた・・・言わなくても分かると思うが結局契約書にはサインしてしまったのだ
「自分の意識を利き手に集中させてみて?」
「え?こうか?」
それは強いけど優しい光だった。
その光が一瞬俺を包み込み視界が真っ白になったそして次に手にしていたのは・・・ナイフ?
俺の武器はナイフだった。
「慎君・・・レストランに行くんじゃないんだから・・・もっとまともな武器を・・・」
俺だってやるんだったら夜月、お前みたいな槍がよかった・・・
しかし今の俺はこれが精一杯だ・・・
「おやおや、それは凄い武器ですよ?」
話しかけてきたのはヴォイドのオーナだった。
「夜月君?君が1億人に1人の逸材なら、彼は60億人に1人の逸材ですよ?」
何を言っているのだこのおっさん・・・・
「そのナイフ・・・投げてみてください」
俺は言われるとおりビルの屋上からナイフを投げた