始まり
そこに居たのは夜月 馨だった。
「まさか君もこちら側の人間だったとはね、これからよろしく」
なんの話しをしているのだ俺には全くわからない。
「何言ってるんだ?」
見た目は普通の高校生にしか見えないが・・・・
「惚けるのはやめて下さいよ、あの猫、ゴーレムでしょ?」
この世界には俺のようにゴーレムと共に生活している人間は珍しくないが・・・
こいつの様にゴーレムを見分ける人間は珍しい。
「よく分かったな、お前、ゴーレムを見分ける事が出来るのか?」
「あぁ見分けれるとも!僕達ヴォイド事務所の人間は悪性化したゴーレムの処分が仕事さ」
悪性化したゴーレム・・・聞いた事がある、ゴーレムのマスターあるいは創り主が死んだ場合
ゴーレムの理性がコントロール不能に陥り暴走する。
前にも言ったがゴーレムはダークマターから構成されるれっきとした魔族であり
暴れると少し厄介なのだ。
「ヴォイド?なんだそれ?」
「その話しは後ほど、放課後にでも事務所に案内します。」
そう言ってニコッと微笑んで教室の中へと姿を消した。
こいつの教室は俺の教室の隣か・・・・
高校生活最初の授業は数学からだった。
とは言え授業内容は中学の復習・・・・
俺はこう見えて成績には自信がある、この高校にも特待生として・・・言うのを忘れていた
ここ、晴嵐学園は偏差値86の賢さを超越して頭の狂った奴の集まる学校。
それにここは私立だからお金も少々掛かる。
しかし俺みたいに入試100点合格をした人は特待生とし学費は免除されるのだ。
午後の授業も別にたいしたことはなかったが少し気になった事があった。
この学校は昨年出来たばかりの未だ新しい学校なのに旧校舎のような建造物が校内に
建てられていたり、水道の水が錆びていたりととにかく気になることが多い。
放課後、俺は校門で待っていたマキシと待ち合わせの場所に行った。
その途中マキシが落ち込んでいるように見えた。
「どうした?マキシ?」
「あぁ・・」
「ハスキーちゃんアメリカンブルーじゃなくてロシアンブルーだった・・・」
そういやアメリカンブルーっていう種類の猫は居ないよな・・・・
「そうか・・・それでハスキーちゃんに振られたのか?」
可哀想に・・・俺のせいだな・・・俺がアメリカンブルーなどと間違った事を教えたから・・
「いや振られてないけど?」
もうこいつとは真剣に縁を切ってやる疫病神退散!
せっかく人が慰めてやろうとしたのに紛らわしい話をするな!
夜月に頼んで魔族狩りでもしてもらおうかな?
空の主役が太陽から月に代わろうとしている
見ればそこには夜月の姿が
「おう、待たせたな」