セグウェイ炎上中
あのあの先生、ちがうんです。自作のセグウェイが炎上したんです。それでも私は走り続けました。
え、セグウェイって、あれですよ。地面を自分で蹴らなくていいキックボードみたいなやつです。まさに自宅のキックボードを改造して組み上げた世界に一つしかない特別なセグウェイなんです。立ち乗りで風を切るのが爽快だったんです。
ええ、わかります。そんな粗末なものをセグウェイと呼んでいいのかという問題は、確かにあります。実物を見たとして、似ても似つかないじゃないかと渋い顔をされれば、否定することは全くできません。
私はびゅんびゅん風を切り、太陽の光いっぱいのキラキラした通学路を駆け抜けます。ところが、はじめは快調に飛ばしていたセグウェイくんに名前をつけてあげようかなどと考えた頃になって、想定外のアクシデントが起きたんです。
突然、もくもくと黒煙を吐き出すマイオリジナルセグウェイ。
私は非常に焦りました。爆発力の変わらないただ一つのセグウェイだったらどうしようと考えたのです。
私は、まだ高校に入ったばかり。同い年の恋人がいて、とても幸せな日々を送っています。性格も良いので、きっと未来は明るいでしょう。爆死なんてしたくありません。
やばい、やばい。私は呟きます。黒煙にむせて、げほげほと咳き込みます。暴走するセグウェイをとめようと考えたのですが、とめた瞬間に爆発なんてことにもなりかねません。そもそもブレーキをつけ忘れたので、とめ方がわかりません。今にして思えば、あまりにも無計画でした。自己製作物の欠点が露呈した形です。
道端で爆発させるのは、あまりにも危険。
私は、どこか人の居なさそうな所を探しはじめました。
そうこうしているうちに、バビビビビビと振動を伴ったやばい音がしはじめました。私の携帯のバイブレイションが正義のヒーロー到着を告げたんです……とかだったら良いなと思ってみても、それはただの現実逃避に他なりません。はっきり言ってしまえば、今にも爆発しそうなセグウェイが、断末魔の叫び声を上げている感じでした。
もはや一刻の猶予もありません。
ままよ、と私はハンドルを切りました。壁に向かって一直線。ハンドルを強く引いて、車輪で大地を蹴飛ばしました。一メートル半は跳んだでしょうか。公園の垣根を飛び越えます。
あの公園が猫どもの集会所であることは、町内の常識なので伊藤先生もご存知だと思います。知らないとしたら、あまりにも無知であり、そんなんで先生をやっているなんて、片腹いたいです。
そう、そうです。あの特徴的な滑り台のある公園です。まあ、知ってて当然なので、褒めてあげませんけど。
――ど、怒鳴ることないじゃないですか。話は最後まできいてくださいって、何度言えばわかるんですか。まったくもう。
えっと、それで、何の話でしたっけ……ああ、滑り台のことです。この滑り台は、なかなか面白いデザインをしているのは先生も知っての通りだと思われます。
そう、はにわです。褐色の肌に、やさしげな細い目をして、低い鼻がついており、平たい顔をしています。はにわ型の滑り台がそびえたっているのです。子供はあまりロマンを感じないようで、それどころか不気味に思って、この滑り台には近づきませんが、私はこの滑り台が大好きです。休日に、わざわざこの滑り台を目当てに公園に行くほど好きです。はにわの脇の下からはにわのボディに巻きつくようにして滑り降りる構造になっているのですが、それが快感なんです。そういったわけで、何回か足を運んだことがあるため、この滑り台の頑丈さや、人をあまり寄せ付けないところは熟知していたのです。
はにわ型滑り台の胴体部分は空洞で、螺旋階段になっています。はにわのスカートの下に、入り口――少し腰を折らねば頭をぶつけてしまうくらいの大きさの入り口があります。
いちかばちか、私は、火事場の馬鹿力でもって黒煙を上げるセグウェイを入り口に投げ込みました。あの滑り台なら、かなりの爆発にも耐えうるのではないかと考えたからです。
耳をふさいでいました。それなのに、なお鼓膜を破るかのような爆音が私の耳の奥まで響きました。小刻みに揺れた地面。巻き上げられる砂埃。巨大はにわさんの目や口や耳、そして脇の下からは、黒煙がもうもうと噴き出しています。鳥たちがびっくりして青空へと飛び立つのが見えました。
そうなんです。爆発したんです。
そうです。あの、爆発です。
爆発って、あれですよ、ドカーンってなるやつです。大惨事です。
ああ、まずい。やってしまった。私は戦慄しました。この罪に対する罰は、どれほどのものになるのでしょうか。罰が想像すらできないほどのことをやらかし、自分で自分がはずかしく、背筋が凍る思いでした。もう、そのまま凍死でもしてしまいたいほどの罪悪感でいっぱいになったのです。
通常の狼藉ならば、遅刻を繰り返すほどの極悪人である私も自首という選択をしたかもしれません。しかし、勝手に作ったセグウェイを公共の場で爆発させたとなれば、華麗なる切腹くらいは覚悟しなければいけないのではないかと思えます。
誰かに目撃される前に、土埃が晴れる前に、と考え、私は地面を蹴りました。最低なことに、自分が起こした事件から目を背け、駆け逃げたのです。
ところが、なんと、ここで私の行く手を阻む者が現れたのです。
私は簡単に走りを止められました。セグウェイや自転車が無ければ人間なんてこんなものです。黒い何かに激突し、よろめいた私を誰が責められましょう。
ふと煙い視界を見上げれば、私を見下ろしている男がいました。短髪で黒いスーツを着てサングラスをかけた男です。屈強そうな男は私を無言で見下ろしていました。
これは、ただならぬ雰囲気、もしかしたら、未来から歴史を修正しに来た機械人間かもしれません。私がセグウェイを爆発させることがどういうわけか知られていて、この人は私を捕まえるために犯行現場に先回りしたのです。
勝手にストーリーを想像した私は、咄嗟に罰をおそれました。今の私には、守るべき生活があるんです。池之端純くんとの甘美な毎日を、どこの誰とも知らぬ男に奪われたくはありません。
何か、武器はないかと探しましたが、今朝は快晴だったので傘――いえ、聖装備ブラッディアンブレラも所持していませんでした。でもでも、素手でも行くしかない。
私は覚悟を決めました。もうこうなってしまった以上、毒を食らわば皿までというやつです。
うやあ。裏返った声で叫びながら、私は平手打ちを繰り出したんです。
暴力は憎むべきものです。しかしながら、この時の私は、冷静さを欠いていたんです。
さて、屈強な男性に、か弱い私の攻撃が通じるはずもない、と、先生は思っているでしょう?
ええ、その通りです。まったく通用しませんでした。
男性の顔面にすら辿り着けず、大きくて冷たい手にしっかりとキャッチされた私の手。握手をするような形になりました。
もうだめだ。
力量の差を見せ付けられ、あっさりと観念した私は、がっくりとうなだれ、掴まれた手に、もう片方の手を添えます。どうぞ捕まえてくださいと言わんばかりに。
ところがどうでしょう。男性は、もう片方の手を握りはしましたが、私を逮捕することはなかったんです。それどころか、感激したように、私の両手を上下にぶんぶん振りました。
「お嬢さん、よくやってくれた!」
私は戸惑いを隠せません。
男性は、なおも続けます。
「実は、あの褐色の建造物の中に、テロリストどものアジトがあったんだ。武装集団があの内部に匿われていたが、敵の警戒が厳しくて近寄ることすらできなかった。だが、君のおかげで一網打尽だ」
わけがわからず、ボーっとしていると、男性は怒ったように言います。
「もっと喜べ、君は、正義を果たしたんだ!」
「正義を……?」
それから私は、黒メガネ黒スーツの男性に無理矢理手を引っ張られ、黒い車に乗せられたんです。
連れて行かれたのは、広めの和室でした。旅館の一室のようなところです。それともお高い料亭でしょうか。落ち着いた草の香りは甘く、障子ごしに入ってくる明かりは、暗くもなく明るくもなく、勇壮な掛け軸が部屋を引き締め、花瓶に飾られた彩りは和風な感じにマッチしていて、とても賑やかで艶やかでした。中でも気になったのは、おそらく立派なことが書いてあると思われる掛け軸です。値段が気になった私は、その謎の漢字列に手を伸ばしました。裏側に値段が書いてないかを確かめようとしたんです。
すぱんっ、と小気味良い音で、戸が開きました。ちょうど後ろめたいことをしようとした瞬間のことです。
やばい。誰か入ってきた!
黒スーツの部下を二人引き連れて、偉い感じのダンディが入ってきました。背筋のピンと伸びた素敵なおじさまです。
掛け軸を盗み出そうとしたのか、などと、あらぬ疑いを掛けられてはたまりません。私は、手を引っ込めようとしました。
しかし、引っ込めようとした手は、既に掛け軸の端っこを掴んでおり、壁から掛け軸を引っぺがす結果になりました。さらに足を滑らせた私は花瓶に激突し、花びらが散らばります。思ったよりデリケートだった瓶は割れた後に倒れ、水をドクドクと吐き出していきます。掛け軸に、畳に、染み渡っていく水。私の醜態を目の当たりにして、目を丸くする偉い感じの人。
ごめんなさい、と言いました。そう言っている間にも、水の被害は広がっていきます。
部下の一人が叫びます。
「ああっ! 兄の形見の掛け軸に何を!」
さっき私を捕まえた人じゃない方の、黒色が似合わない弱そうな感じの人でした。声もどことなく弱そうです。
偉い感じのおじさまが威厳に満ちた表情で一瞥して彼を黙らせ、愚かな私に向かって話します。
「こやつの兄は、テロとの戦いで死んだ」渋くて穏やかでカッコイイ声でした。「とある国際的なテロリスト組織の動向を探る役目。つまり平たく言えばスパイだったのだが、連中に捕まって処刑されてしまった。彼の死後、この掛け軸だけが送られてきた。辞世の句というやつだな。さて、お嬢さん。そんな大切な品にこのような仕打ち。どのように責任を取るつもりかね?」
「そうだそうだ、どう責任とるんだ! おれの兄が、ただ一つ残してくれた形見の掛け軸なんだぞ!」
あのあの皆さん、ちがうんです。
私は説明しようとしました。でも、何が「ちがうんです」なのか、自分でもよくわかりません。犯行現場を目の当たりにされたので嘘で切り抜けることもできません。次の言葉が出てきません。私は黙りました。戦々恐々として、判決を待つことしかできません。
私は膝をつきました。和室に最も似合う謝罪方法と言えば、何でしょう。そう、土下座です。勘違いしないで欲しいんですが、私はそう簡単に土下座するタイプの人間ではありません。ですが、それだけのことをしでかしたのです。
しかし、私が頭を下げるよりも早く、異変が起きました。
「むむむ!」
偉い感じの人が何かに気付きました。部下二人も、「あれは!」「まさか……!」と続きます。
みんな、私の犯行現場を見下ろしています。そこにある、掛け軸を。
私も、その白いものに視線を落とします。
驚くべきことに、そこに黒い線で地図が浮かび上がっていたんです。
「衛星を使っても尻尾をつかめなかった敵の本拠地が詳細に示されている……! なんということだ、水につけると地図が浮かび上がる仕掛けとは。お前の兄は、世界人類のため、命をかけて、これをお前に送ったのだな」
偉い人の言葉に、部下の一人が号泣しました。
この情報をもとに、無人爆撃機による空爆が開始されたんです。私が戦争本格化の引き金を引いたと言い換えてもいいかもしれません。
そうしてテロリストが駆逐され、正確な数がわからないくらいの民間人も犠牲になりました。
圧倒的勝利を果たした国の大統領が、私に直接感謝の言葉を述べたいとはるばる会いに来た時に、私は彼に、正義って何ですかとききました。彼は通訳を介して、「大丈夫、俺たちにはできる」と言いました。どういう意味でしょうかときき返しても、「大丈夫、俺たちにはできる」と言います。他の何をきいても、「大丈夫、俺たちにはできる」としか答えてくれませんでした。噂にきく、壊れたテープレコーダーみたい、という状態だとでも言えばいいのでしょうか。
さすがに変だ、おかしい。
そこで私は思わず言ってしまったんです。あのあの大統領さん、あなたは人間ですかと言ってしまいました。そうです、人格を否定してしまったんです。侮辱です。暴言です。言った後になって口を塞いでみても、もう取り消しようがありません。会話はすべて録画録音されています。
私は、あろうことか、強国の重要人物に向かって暴言を吐いたのです。ボディガードたち周囲の人々の顔が、大統領の住居よりも真っ白になりました。
私という名の愚かな悪を狙った空爆が開始されるのではないかと思い、私は近くにあった椅子に座り、両腕を腰の後ろで交差させます。さあ早く電気ショックや銃弾を、と言わんばかりに。
ところがどうでしょう。大統領は不気味に笑い出しました。
「ククク……クククク……。どうして我の正体がわかったのだ」
通訳を介さずとも通じるということは、大統領が流暢な日本語を喋っているということです。異常事態宣言を出したい状況です。しかも、次の瞬間には、大統領の顔がグニャリと変形し、魚のようなギョロリとした目になり、魚のように顔が前方に突き出し、魚のように口をパクパクさせ、魚のようにぬめぬめとした感じになり、てらてらと光を反射し、魚のように生臭いにおいを発散させはじめました。早い話が、彼は顔だけ魚になってしまったのです。ばけものです!
いつの間にか入れ替わられていたのです!
カメラを残して逃げ出すカメラマン。マイクを投げ捨てて逃げ出すマイクマン。通訳とボディガードも泡を食って逃げやがりました。椅子に一人残される私。足がすくんで立ち上がれない私。
数秒前まで大統領だったサカナマンは無駄に良い声で言います。
「海底には、汝ら人類の築いた文明よりも、遥かに優れたスーパー超文明が栄えている。我ら海底で暮らす者は、地上を観察し、戦争に明け暮れる人類を見て呆れ返っていた。万物の霊長などと驕りに驕った人類は、海底で暮らす我らの存在に気づくことなく、考えもせず、戦争のために科学技術を発展させ続け、ついに海底を脅かすまでになってしまったのだ。これは由々しき事態」
あなたの顔面が由々しき事態です。
「そこで、我ら海底に暮らす者たちは、汝らを試すことにした。この強豪国のトップは絶大な権力を持っている。我は、つい二時間前、この男と入れ替わり、権力をふりかざし、由々しき戦争を次々に引き起こそうと考えていたのだ。さて、ここで、戦争を起こしまくることが、どうして人類を試すことになるのかと疑問に思うことだろう。それはな、『戦争することは間違いだ、人間のすることじゃない』と権力者の目の前で発言する勇気をもった人間が、一人でも存在していれば、海底と地上は共存することができると考えたからだ」
大げさな身振り手振りで、サカナ男は続けます。
「汝は、言った。我に向かって、あなたは本当に人間なのかと疑問を抱いた。世界で最高の権力を持つ男に向かって!」
あのあの、お魚さん。違うんです。そういう意味で言ったわけではなくてですね、同じことを繰り返して言ってきたから、頭だいじょうぶかっていう意味の、むしろ、言いにくいんですが、暴言だったんです。悪口です。テロとか戦争とかがどうとかっていう難しい問題の話じゃないんです。
だけど、そう語りかけても、興奮しているお魚さんの耳には届いていないようでした。もしや、お魚さんなので、耳が無いからきこえていないのでしょうか。
「ククク、よもや、こんなにも早く、希望の光が見られるとは思わなかったが……いいだろう。我々は人類に協力する。我が超文明の力で、人類が戦争せずとも安心して暮らせる世界を、共に築こうではないか」
私はぬめぬめした手で掴まれて、椅子から無理矢理引っ張り上げられました。握手、ということらしいです。
こうして人類は守られたのです。
後日、どうやら、放置されたテレビカメラに映像が残っていたらしく、ニュースで大々的に放送され、私は一躍有名人になりました。河上まやかという人間は、人類を救った女子高生として、お茶の間でも人気になり、銀座でパレードが開かれました。
私は、はにかみながら車上から手を振ります。埋め尽くす観衆が、みんな私を見ています。テーマパークの人気キャラクターにでもなった気分です。
ですが、本当にこれでいいのでしょうか。考えれば考えるほどに、私のごとき悪しき存在は、このように人気者になって良いとは思えません。
私は、正義のヒロインの権力を使い、運転手さんに言いました。とめてください、と言いました。
ぴたりと止まる隊列。パレード全体が停止して、ざわつく人々。
私はマイクを手に取り、語りかけます。
「あのあの、皆さん、ちがうんです。私は、本当は、こんなに皆さんから見上げられるような人間ではないんです」
銀座に響く私の声。
私が語りだしたことで、ざわざわは止んで、水を打ったように静まり返りました。
「冷静に考えれば、私は、何の正義心も親切心も持たずに、ただ悪いことをし続けただけです。セグウェイを勝手に作り、爆発させ、それなのに逃げようとして、未遂でしたが暴力にまで手を染めかけ、掛け軸を引き剥がし、花瓶を割り、上等な畳を水浸しにして、目上の人に暴言を吐いたんです。どのような素晴らしい結果を招いたとしても、私がやらかしたのはひどい悪行ばかりです。これで素直に喜べるほど、私は正義を捨てたわけではありません」
がっくりと頭を下げます。俯いたままの呟きを、高性能マイクが拾います。
「私なんて……私なんて……」
その時でした。
「まやか!」
どこからか、純くんの声がきこえてきました。
「え……純くん……どこ? 純くん、どこ?」
「俺はここにいるぞぉ!」
マイクいらずの大声は、人ごみの中からきこえてきているようでした。
止まっている人々の中で、一つだけ動く、黒いもの。
純くんは、密度の高いモブ垣を掻き分け、大ジャンプで車に飛び乗りました。私のすぐ目の前にたどり着いて、力強く、言うんです。
「胸を張れ、まやかっ! お前はこの俺に選ばれた女なんだぞっ!」
彼は私を抱きしめて、そして二人は、互いの名前を呼び合って、熱い熱いキスをしたんです。
大歓声と拍手が沸きあがりました。
それから私たちは、一生を慎ましく暮らせるだけの富を手に入れ、いつまでも仲睦まじく暮らしたんです。
……という夢をみたんです。
「おーし、授業はじめるぞー。河上もさっさと席につけー」
「え? ということは、先生! 遅刻は大目に見てくれるってことですか?」
「何故そうなるんだ。あほか」
「貴様ぁ!」池之端純くんが勢いよく立ち上がります。「我が子羊に向かって、何たる物言い! 万死に値するぞ!」
相変わらずカッコイイポーズです。雄大な翼を広げた鷹のようです。
「何だ? 文句があるなら、池之端も遅刻にするぞ?」
「ぬううう、これは神が与えたもうた愛の試練か! はたまた俺たちを引き裂こうとする運命の残虐な策謀か! だが、だが、愛するまやかのためなら……!」
「純くん! それはダメです。何も悪いことをしていない純くんが苦しむことはないんです! 私一人が罰を引き受けます!」
「しかし……」
「いいから席につけぇ!」
出席簿が机を叩く音が響き渡ったんです。
今日も楽しい一日になりそうです。
【セグウェイ炎上中 おわり】




