神様ってなによっていう説明回
サブタイトル通り、この世界観における神様についての説明です
――神様。
この日本で"神"と呼ばれるモノは、大きく分けて3種類存在している。
具体的に分類すると3種類どころではないのだが、大まかに分けるとそんなものだ。
一つは、高次元存在としての"神"。
その御姿は天にあり、時に人に試練を、時に人に奇蹟を与えるモノ。日本以外で神というと、間違いなくこちらを想像するだろう。
一つは、自然現象や何かしらの依代など、目に見える形で崇められている"神"。
例えば雷や台風、山や湖、剣や人形などなど。他には岩とか縄とか、あとトイレとか。 あ、最後は違う?
で、最後の一つが、人から昇華した"現人神"と呼ばれている彼らのことだ。
元はただの人間だった彼らは、命の危機やら修行やらその場のノリで"神"に昇格するらしい。
稀に、"神"として生まれてきたヤツもいるらしいが、それも大方は親族に神様がいる場合だ。まあ法則があるように見えて微妙にないので、その辺りは遥か昔から現在進行形で研究中とのこと。
ちなみに、この"現人神"は日本と他少ない国だけの概念だ。例えばヨーロッパやアメリカでは"神"ではなく、天使や悪魔といった定義となっている。そこは宗教柄というかなんというか、文化と言えばわかり易い。
日本みたいに八百万の神なんてのは稀で、世界的にも歴史的にも珍しいのだそうな。
まあ他の国は兎も角。
日本では現人神は、その神力と司る事象によってランク付けされる。
神力というのは、その神としての権能を行使する為のエネルギー。魔力と言い換えてもいい。当然そのエネルギーの総量が大きければ天変地異を軽く引き起こすことが可能だし、逆に小さければ大道芸レベルのことしかできない。
や、たまにお笑い番組で一発屋として消えて行く、ランクの低い神様もいるからね……。
それで、司る事象ってのは、あれだ。よく云う家内安全とか学業成就とか。
……逆にイメージし難いか。
学問とか戦とか、"〜の神様"と呼ばれている類のアレだ。
ぶっちゃけこの辺りはランク付けが難しいというか、他と比較ができないものが多い。商売繁盛と病気平癒なんて何を比べればいいのだか。
この事象でのランク付けに関することは、その効果が"目に見えるか否か"、である。
先に挙げた家内安全とかは実際に効果があるかは傍目には判別できないが、雨乞いや豊作祈願などはわかり易い。
目に見えない概念的なものより、物理的な事象のほうがランクが高い。
即物的と言ってしまえばそれまでだが、まあ昔の人にとっては重要なことだったのだろう。
ちなみに司る事象は一つではない神様もいるのだが、大抵は多くても神力が低くて器用貧乏となっている。
さて何の話だったか。
ああ、あと彼らは神様と言っても、あくまで現"人"神だ。
ベースは人であるので、食事をすれば睡眠も摂る。多少は一般人より頑丈ではあるが、怪我もすれば、死にもする。
確かに先ほどテレビにも映っていた朔ノ宮命は不老で、見た目より随分長い年月を生きている。
だが、不死ではない。そういうことだ。
モニタの向こう側で、それこそ女神と呼ぶに相応しい姿の彼女は、ただ黙々と歩いている。
何年も、何十年も繰り返されている光景。
毎年、彼女の姿を見て、同年代の少年少女は同じ事を言う。
羨ましい。私も/僕も、あんな風に成りたい、と。
……私なら御免だな。
神様に成ると、確かに様々な特権があり優遇される。
しかし当然ながら、その対価として相応の義務も発生した。
出国の禁止や各種神事の参加、病院の指定は最低ライン。ランクが上がれば日毎のスケジュール報告やGPSの装着、常時SPの随伴など、自由というものからはかけ離れていく。さすがにやり過ぎると神様相手に何監視してんだ手前らと、国内外の宗教家および神権活動家が敵に回ってエライことになるというか、一世代前にそれで大規模テロがあったらしい。
今ではその影響下は知らないが多少マシになっているそうだが……どのみち黒い噂は多く、私は御免である。
……なにせ今はアンタのせいで、それどころじゃないからな――爺さん。