第一話「人類よ、さようなら」
告白して、振られた。正直いけると思ってた。
いつも学校でも結構話してたし、いい雰囲気だったし、、、でもダメだったようだ。心の空いた穴を埋めて欲しくて、一緒に頑張っていきたくて、告白したあげく、穴は更にえぐられた。今の俺はどんな顔をしているんだろう。まぁ別に特別かっこいい顔でもないし、唯一誇れる眼球すらも光が薄れまるで黒曜石のように暗く沈みーー
校舎に、まるでこの時を待ってたと言わんばかりに風が強く吹いた。うざい、今は『一人に』させてくれ。
「なーにが。『一緒に』だよな、、」
そんなの重たいに決まってる。きついに決まってるよな、、、はぁー
人間よく考えればクソ野郎ばっかだ。
自分がモテると思って散々人を選んで心を弄ぶやつも、戦争は何も生まないと歴史からもわかっているのに戦争をしたがるやつも、全員クソ野郎だ。地震や火山や温暖化、対策すべきものは、時間を使って考えるべきことは分かっているのに、知っているのに、、、怠惰に強欲に、自分のしたいことばかり考える。ーーーと、振られた後の賢者のような時間で、心の穴を埋めるように、思いをつのらせた。
ーーその時だった、頭に音が届いたのはーー
『そうそう!君!その考えあってるよ!クソ野郎ばっかだよね!うんうん!そう。だからさ、一回人間は絶滅すべきだよねー!』と、聞こえた。
そして、一言『人間は命をなんだと思ってる?』
その瞬間、
「ーっ!」
身体が立っていることをやめた。
「あえ?、」「いっー、」「、」目の前でみんながバタバタと倒れていった。泡を吐いているものや、白目を剥いてるのも、色々いたが、ただ、立っているものはいなかった。そう、俺も例外では、ない。
痛くはなかった。だが穴という穴から出る血と痙攣する身体がいつもとは違うよ、とうるさく伝えたてきた。人は血がいっぱい出たら死ぬ。ってことは俺は?と頭で自問自答した。そして答えが出た。
死ぬじゃんこれ。
じゃあこれってつまり終わり?俺の人生?嘘?だろ?え?頭の中を疑問が支配した。そして次に頭を埋め尽くしたのは意外にも後悔だった。
いやだな。いやだ。まだ死なない。やることがたくさんあるのだ。いくら心が穴だからって死んでいいなんて言ってない。いや、だ、いやだ!いやだ!いやだ!
親孝行してない!、兄弟ともっと!、友達ともっと、遊びた、いーー、傷ついて賢者だったはずの男はやはりただの人間だった。
プツン。そうして俺も死んだんだと思う。押し寄せる後悔と共に、
ーーー『人類は!最後のチャンスを!一体どう使い、どんな物語を作るのかなー!』
誰にも見えない一番上の席からまるでゲームを遊ぶ子供のように心から思ったことを満開の笑顔でに下界へと叫んだ。
さっきと音は違うのに同じ雰囲気でそうゆう音が聞こえた。
実に楽しそうに音がした。
もうこの意味が分かる生き物はいない、だって、もう人類は地球にはいないんだから、
『やぁー、こんにちは!天宮 千里くん!』
そうして途切れた終わったはずの人生はまだ終わっていなかった。
なんだ?このちっちゃい子は?白いという印象しか与えるつもりがない格好とまるで黒曜石を埋め込んだような目で見つめる幼い子、あの事件の後に会ったってのと、この真っ白な空間から察するに、まぁここは、死後の世界だな、
ってことはこのガキみたいな子がー
『おい!全部聞こえてるからな!黒曜石は少し嬉しくなったけど、それ以外は流石にちょっと失礼じゃない!?』と綺麗な声と顔とは裏腹に元気よく、しかし見た目には合っている調子でそう言ったのだった。
どうやらこっちの思考は読まれるらしい。なんつーか、うざ、やめとこう。
ならこのまま話すけどいいな?俺、いや俺らはどうなったんだ?まさかここは夢でー
『死んだよ?人類全員?』
こうゆうタイプの神か。淡々と死んだとかゆうタイプだ。まぁしゃあない。他のラノベとかでもそうだ。それで神様はなんで人類殺したの?ってのと、俺らってこれからどうすんの?
『二つ!一気に二つ聞いてきたよこの子ついに!もっと敬って欲しいんだけど!!一応神だし!?まぁ、、いいけどさ。まず一つ目の答えについては君ならわかるはずだ。そして二つ目は異世界転生だよ。』神様の言葉を聞いた瞬間、人生で一番、心が燃えた。ーやはりただの人間だった。
え?今異世界転生っていった?あの?え?んじゃあチートとかもらえちゃう系?めっちゃなんていうか!熱というものは意外と冷めやすい。いや、待てよ、俺死んでるし家族も殺されてるんだよな。これ喜べなくね?。
『そうそう、そうゆう反応だよねーやっぱ男の子だ ね!なんか最後冷めちゃったけど!そこ以外は!うん!』
イライラするのに何もできない。怒って赤くなったであろう顔も動かせない。身体がない。頭だけが浮かんでいる感じだ。いや、どういう状況だより
何もできない普通で通りの自分に嫌気がさして、、
ふーー、と無い肺から息を吹き出し、
それで?そのチートって?どうゆう感じ?
『うーん、、チートじゃなくてー、神から与える平等な意志のギフト、意伝子。。と言って欲しいかな!』
一瞬プログラムされたロボットのようになった神がそういった。その時だけは少し神っぽくてーー
意伝子?遺伝子じゃなくて?
『まぁ意志のギフトだからねぇー!意志と遺伝子をかけたのさ!』
そろそろ本題に入ろう。『いや、無視、ーー!』
こうゆう時は無視が一番面白い。まぁ、
そんなことは置いといて、大切なことを聞いた。
その、俺の意伝子は、なんなんだ?
正直ここが一番大事だ。能力によって全てが変わる。異世界で楽しく生きるために、、いや違うか、
もう十分人類として楽しんでいたのかもしれない。
大切なものは失ってから気づくのだと言う。失ってからでは遅いのだが、、それでもやはり振り返ると楽しい思い出が浮かんでしまうのだから、やはり楽しかったのだ。
何もない空間、ただただ白いこの世界にずっといる今と比べたら全然、、そう考えると、ずっとここにいるであろうこの神はーーー
『自由さ、』
?
『僕らが与えるギフテッドは君たちに決める権利がある。君たちがこの意伝子で今度はどのような物語を作るのか、僕らは決められない、僕らは見守るだけさ。』
またロボットのような調子で語るように言ったその言葉は、だが少し違い、この神の思いが乗っているようだった。そして
『どうすんのさ!君の意伝子!』と元の口調に戻った様子で改めて聞いてきたのだった。