10年後も同じような作品書けますか?
小説を書き始めて気づけば10年以上が経過していた。
羞恥心に耐えながらも昔の作品を見ていたが、
今とそこまで作風は変わっていない。
一貫して現実世界が舞台の学園ラブコメがメインで、
作者が社会人になり生活に余裕が出るようになると共に、
段々と闇が消えていった程度だ。
ただ自分は現状は趣味で書いているので、作風を変えようと思えば変えられるし、
学生の頃は学園モノを書き、社会人になると大人の恋愛を書き、
結婚して子供が出来れば家族愛を書く……といった風に、成長したり環境が変わるにつれて
作風やテーマが変わるのはある意味自然なことだ。
しかし『小説家』になるとそうはいかない。
世間のニーズに合った作品を書き続けなければいけない。
自分のヒットした作品と似たような作品を書き続けなければいけない。
多分なろうのユーザの中では自分もかなりおっさんになった方だろう。
細々と書き続ける、という人間はそんなにおらず、
当時活動していた知っているユーザも大半が引退してしまった。
基本的にはメインのユーザは若者だろう。
今20歳くらいで、なろう系と揶揄されるような作品を書いている諸君。
運良く人気が出て書籍化するかもしれない。小説家人生の始まりだ。
10年後、30歳になった自分が今と同じような作品を書いているイメージが出来ますか?
「転生して活躍する」とか「本命にフラれたけどモテモテだからいいもん」だとか、
「自分を追放した国は悲惨になっていく」とか、
周りが働いて結婚して子育てをしている中、そんな作品を書き続けられますか?
そんな作品、と馬鹿にしたような言い方だが、
実際に大半の大人はそういうジャンルを『幼稚』だと切り捨てているし、
『なろう系』という呼称自体が一種の蔑称だ。
今好んでいる層だって数年後には大半が興味を失ってしまう。
同年代がどんどん興味を失っていく中、
自分は仕事なので同じジャンルを書かなければいけない。
それは辛いことだし、流行りのジャンルに乗っかって書籍化した人ですら、
多くは長続きしない。長期連載になってしまい辞めるに辞められず病むパターンも珍しくはない。
そういうわけで流行りのジャンルに乗っかって小説家を目指すなんてのはお勧めしない。
書籍化して担当もついたから仕事辞めるなんて愚の骨頂だ。
その流行りのジャンルを今好きだとしても、もう少し年を取った自分が同じかどうかを冷静に考えて欲しい。
書籍化だとかPVだとかそんなもんのために、自分の人生プランを台無しにするべきではない。