作品の価値とビッグデータと掌返し
良い作品とは何だろうか?
売れてる作品? 平均評価が良い作品?
私は受け手に良い影響を与えた作品だと考える。
ただし自己申告では駄目だ。
ニートや引きこもりが自分達を肯定するような作品を見て
「この作品に救われました! 不安でしたけど明日から安心して引きこもれます!」
なんて言ったとして、社会からしたらそれは現実逃避や、となるだろう。
影響というのは大抵すぐには出ないものだ。
子供の時に見た作品の影響が、大人になった時に無意識に出てきた、なんてこともあるだろう。
POSというシステムがある。
コンビニとかでどんな客がどんな商品を買ったかといったデータを集めて参考にするのだ。
当然漫画や小説の世界でもそれは使われている。
なろうでもブックマークが共通する作品をお勧めするし、
今は電子書籍の時代なので、どんな性別のどんな年代がどんな本を購入したかがわかる。
それをもっと年収だったり学歴だったり詳細なデータがわかるようにすれば?
技術的には不可能な話ではない。しかし当然法律やプライバシーや倫理の問題はある。
……が、中国とかでは信用スコアとかで既に似たようなことをしていたりする。
当然年収なり学歴なり色んな要素を詰め込めば解析は人間の手に余る。
しかし今はAIが普及しており、人間が解析できないデータの解析も現実的になってきた。
いわゆるビッグデータの活用というやつだ。
AI技術はチャットGPTだったりイラスト生成だったりが注目されているが、
データの解析という裏方作業でもしっかり輝いているのである。
そういった解析の果てに、明確に良影響の作品と悪影響の作品、
勝ち組が好む作品と負け組が好む作品が判明してしまうこともあるだろう。
『ルパンを子供の頃から好んでいる人は将来反政府的な思想になりやすい』
みたいな統計に基づくデータが出てしまう可能性は十分にある。
そうなった時に人間はどうするのか?
今まで大絶賛していた作品が悪影響だと突きつけられて、それを否定するのか?
自分の好きな作品が負け組御用達だと言われて、勝ち組御用達の作品を好むようになるのか?
掌を返すのか、それでも好きだと言えるのか。
私はそれが見たい。死ぬ前には実現して欲しい。そのためならモラルなんて捨てる。