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娯楽の損益分岐点

娯楽は社会に必要なものだ。


しかしながら、『どれくらい娯楽が必要なのか?』

についてはあまり議論される事が無い。

娯楽を楽しむ人間が『娯楽は社会に必要だ』で一種の思考放棄が起きてしまうためだ。


例えばアメリカにおいて、娯楽はいわゆる社会的弱者、

ナードやギークの現実逃避としての側面が強い。


アメリカのような超競争社会、貧富の差が激しい国においては、

どうしても『負け組』がそれなりに出てしまう。


放っておけば、連中はお酒だったり薬だったり危険な依存先を選ぶし、

カルトにもハマるし銃乱射のような犯罪だって行う。


治安のためにも、そういう人間の拠り所として、娯楽は意味を持つのだ。




ではアフリカの貧しい国ではどうか。

連中は毎日必死で生きなければならない。

毎日狩りをしたり、農業をしたり、将来を見据えて勉強をしたり、

ある程度豊かになるまで、遊んでいる暇は基本的に無いのだ。

そういう人達が娯楽にハマってしまえば、貧乏から抜け出す事は難しい。



このように、娯楽は薬物や犯罪のようなもっと危険な物から遠ざける効果があるし、

適切に余暇に使えばモチベーションにも繋がる。


その一方で、娯楽自体が薬物やカルト宗教のような依存性や堕落といった要素を含む事を

決して我々は否定できない。


『適切に余暇で楽しめば問題無い』と言う人もいるだろうが、

そんなものは

『俺はしっかりしてるから薬物だってアルコールだって適量で楽しめる』

と大差無いのだ。




では日本はどうか。

日本はアメリカに比べれば貧富の差が少ないし、アフリカに比べれば豊かだ。


しかしそれは裏を返せば、

『全員が同じくらいの貢献度合いを求められている』

『豊かな社会を保つために真面目さを保つ必要がある』

事を意味する。


日本は『それなりに真面目』にやってれば、それなりの生活が保障される素晴らしい国だが、

ここを見ている人の中には、自分は真面目にやってきたのに社会的弱者だ!

なんて人もいるかもしれない。


残念ながら、そういう人間の言う『真面目』は

世間からすれば『不真面目』なのだ。


娯楽に毒されてしまった人間は、この辺の解釈がズレてしまうのだ。


周りが真面目に勉強したり、将来について考えたり、

勉強だけじゃ無くスポーツや人間関係の構築に励んだり、

社会に出てからも通勤途中にビジネス書を読んだりと学ぶことを忘れない。


そんな中で、娯楽……漫画やアニメや小説、ゲームに割くリソースが多い人間が、

『負け組』になってしまうのは、当たり前と言えば当たり前だ。


(この手の話をすると自分の趣味を馬鹿にするなと発狂して

『優秀なオタク』の例を持ち出して来る人がいるが、

平均や中央値の話をしている時に上振れを持ち出すのは論外だし、

『じゃああなた自身はどうなんですか』という強烈なカウンターを受けてしまうのでお勧めしない)



日本はクールジャパンだの、世界に輸出するくらい娯楽の豊かな国だ。

アメリカのように、日本の輸出した娯楽で救われたケースも多いだろう。

しかし皮肉にも、日本にとって娯楽は負け組を量産する負の面が強すぎるのでは無いか……

最近そんな事を考えてしまうのだ。



昔に比べて豊かになった分、人間に求められるスキルも上がっている。

インフルエンサーだって、『何やってるんですか、勉強してください』と警告している。

しかし娯楽の勢いはどんどん増している。


日本がアメリカのような社会になる日も近いのかもしれないね。



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