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現実より無能なモブキャラがオタクに与える悪影響

一般的には、作者より優秀なキャラクターは作れないと言われている。

勿論主人公に東大卒だとかIQ200だとか超美少女だとかそんな設定をつける事は簡単だが、

作者だったり編集者だったり作品に関わる人間に能力が無ければ、

そういう設定があるだけの中身の無いキャラクターになってしまう。



世間の作品でそれを誤魔化すために使われているのが、いわば一般人、モブキャラ、敵役だ。

主役を引き立てるためには周りを下げればいい。

作者という神様になって自由にキャラメイクが出来る故の特権なのだ。


ヒロインの見た目だけを評価していて中身や悩みを全く理解していないモブ男子達だとか、

才能に甘えて努力をしないため、凡才で努力家の主人公に負けるライバルだとか、

何故かとどめを刺せるチャンスなのに油断して逆転される敵役だとか、

現実ではそこまでお目にかかれない連中がフィクションの世界ではうようよいる。



ただ、基本的に皆そういう観点で作品を見ることは無いはずだ。

私は異常な観察眼を持つが故に嫌でもそういう部分を感じ取ってしまい、

歳を重ねてその能力が覚醒するにつれあまり他人の作品を見ても面白いと思えなくなってしまったが、

基本的には皆主役に焦点を当てているはずだ。



「こんな主人公やヒロインみたいな人は滅多に現実にはいない」

という事を意識出来る人であっても、

「こんなアホな一般人は滅多に現実にはいない」

という事を意識するのは難しいのではないだろうか。



それの何がまずいのか? と言うと、

そういう作品にばかり触れて来た人達……ここではオタクとして表現するが、

連中が無意識に周りの一般人を過小評価しているのではないか? という疑念があるのだ。



例えば努力という概念。

異世界に転生しただけで何もかもハッピーになるような作品もあれど、

基本的にはどの作品でも努力は大事にしている訳だが、

大抵『主人公が努力する描写』と『それで何かしら成功する描写』くらいしか描かれない。



勿論ピュアな人達がそれで『努力すれば結果を出せるんだ!』と考えるのは良いことだ。

しかし忘れてはいけないのは、『周りの人も努力している』という部分だ。


現実社会で努力が必要な分野というのは大抵競争であり、

成果を出すためには同レベルの才能を持っている前提で他人よりも多くの努力をする必要がある。

普通の人がやっているようなレベルの努力は相対的には努力と呼んではいけないかもしれない。

学校に行って授業を受けて宿題をするなんてのは当たり前の事であり努力では無いように。


そういった状況で、一般人が現実より無能に、ほとんど努力をしないような作品に触れ慣れた人達は、

一般人を舐めてかかり、皮肉にも漫画のライバルキャラのように競争に負けてしまうのでは?

というのが私の心配事なのだ。



普通の人は普通に勉強もするし、

普通に友達も作って交友を深めるし、

普通に自分を磨いて異性を口説いて恋愛をする。


漫画やアニメの主人公のような特別な人間にはなれないけれど、

普通の人間になら簡単になれる、

そんな考えの人が増えているようでならんのだ。

オタクが社会で生き辛い理由の1つなのではなかろうか……

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