アニメオタクの均一化
多様性の時代になり、昔に比べれば色んな考えの人が増えた。
インターネットの登場や娯楽の種類の増加が大きいだろう。
音楽好きであってもテレビ好きであっても漫画好きであっても実際の好みは様々だ。
そんな時代の中、好みがかなり均一化されているジャンルがある。
それがアニメだ。
理由は単純明快で、音楽やテレビ番組や漫画に比べるとアニメは数が少ない。
人気のテレビ番組を全部見る、とか人気の漫画を全部読む、に比べると
今やってる人気のアニメを全部見る、のハードルは低い。
そのため、『アニメオタク』と呼ばれる人種の多くは毎クール同じアニメを見ていることになる。
その結果どうなるかと言えば、好みだったり思想だったりが似通ってしまうのだ。
これはメリットもあればデメリットもある。
好みや思想を共有できる存在がいるということは勿論メリットだ。
社会的弱者になりやすいアニメオタクにとって、ネットで価値観を共有できる仲間を見つけられるのは
生きる上で大きなプラスの要素となるだろう。
一方で皆が似たような人間だと、文化として革新的なものは生まれづらい。
制作難易度の高いアニメで冒険をすることは難しく、無難に人気のジャンルがどうしても続く。
ずっと転生モノが流行っているのが1つの答えだろう。
皆が似たような思想だと自浄作用も働かず、エスカレートしがちだ。
定期的に今のアニメのエロ描写が問題視されているが、
昔に比べれば過激になっているのは確かだ。
私が子供の頃に見たアニメでエロいと感じたのは、
アベノ橋魔法商店街だとか、天地無用とかそのレベルだが、
今はもうエロアニメチキンレースをやっているようにしか思えないし、
どんどんオタクと一般層の間に壁が出来ているようにも思える。
学生時代はオタク仲間とワイワイやれるかもしれないが、
大人になって社会に出た時にそれは基本的にマイナスに働くだろう。
また、『話題についていくために無理して視聴する』というケースも出てくる。
一昔前のテレビがそうだった。自分達の親世代はネットも無い時代、娯楽の多くはテレビであり、
そのテレビ番組も人気番組は数える程しか無いため、会話の話題は大抵がそういう番組だった。
そのためそんなに好きな番組でなくとも話題についていくためにある程度は勉強する必要があった。
今は地上波にネットにテレビ番組も増えたし、youtubeという選択肢もある。
これだけ選択肢が増えれば、皆が同じモノを見て会話をするという前提は無くなるため、
自分の好きなジャンルを見ることが容易になった。
共通の話題が減ったことでコミュニケーションが難しくなったという問題もあるにはあるが。
ただアニメは今でも数が少ないし、人気アニメともなると毎クール数える程しか無い。
アニメオタクとして生きていく以上は、例え年齢と共に好みが変わったとしても、
交流のために視聴する必要がある。
そうした果てにどんな人間が出来上がるかと言えば、
『今のアニメはつまらない』と言いながらアニメを見続ける悲しい人間なのだ。
そうはなるなよ。