表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/58

人が死ねば、いじめられればそりゃあ悲しい

最近の思想としてはあまり作中で人を殺したくはない。(動物は殺す)

理由は単純で、フィクションで人を殺して悲しい展開を作るのは安易に思えてしまったのだ。

人が死ねば悲しいのは当たり前の話だし、

死は過程や時期は違えど味方側にも敵側にも平等に訪れる普遍的なものだ。

だから主要人物の死を描くのは分かりやすいお涙頂戴に思えるし、

これがバトル物なら味方側の死だけ悲劇的に描き戦いに正当性を持たせるプロパガンダに見えてしまう。


とはいえバトルやファンタジーをメインに書いているわけではないので死者が出ないのが普通で、

その代わりに悲劇を表現するためにやたらとヒロインが虐めを受けていたのだが、

これも安易な気がして来た。虐めは一人ではできないので都合の良い加害者も必要だし。


死だとかいじめだとかわかりやすい悲劇に頼らず、いかにして悲しみを表現するか?

ここが力量であり色んな人生経験が必要な部分だと私は考えている。


最近の自分の作品のヒロインのテンプレートでもある宇月一族は陰口を言われることはあれど、

実際にクラスメイトから面と向かって暴言を吐かれたり暴行を受けることは無い。皆そんなに暇じゃない。

周囲との合わない会話、段々減っていく友人、いじめられる未来への恐怖から

周囲を敵対視して不登校を選んでしまったのだ。クラスメイトが一方的に悪い訳じゃないし、

むしろ本人の性格とかに問題がある。主人公はそれを理解しているから、

ヒロインを守るためであってもクラスメイトと敵対することも出来ずに、

ヒロインと向き合い続ける必要がある。

『明確な敵の存在しない、強いて言えば自分との戦い』が私にとっての悲劇だ。



こういった、いじめられる過程や寸前の状態だとか、

周囲の人間と比べて気づけば浮いてしまう自分だとか、

孤独の果てに自意識過剰や被害妄想に陥る心理だとかは、

経験者かつ乗り越えることが出来た人間で無ければなかなか表現しづらいのではないだろうか。

(読み手もそういう人間じゃないと共感しづらいかもしれないが)


だから特に悪くない主人公やヒロインが虐められる展開ばかり書く人間は、

ファッションいじめ被害者か、

もしくは現在進行形でいじめられていたり、

『何で自分がいじめられていたのかを理解しないまま大人になった』人間ではないかと思っている。



特に最後の人種は非常に悲劇的だ。

大人になって、社会に出てからも自然と周囲から浮いてしまい孤独になっていき、

最終的には『大人の世界にもいじめはある』と結論を出してしまう。


なろうにはたくさんのいじめ被害者がいることだろう。

昔に比べればいじめ被害者が復讐することは簡単になったし、逃げる手段もたくさんある。

ただし周囲の人間が味方をしてくれるのは大抵が学生だったりと子供かつ蚊帳の外だからだ。

『自分は悪くない、いじめ加害者が絶対的に悪い』という主張が仮に真実だとしても、

大人になってしまえば通らなくなるし、子供の頃は一方的に味方をしてくれた人達も、

社会に出て一緒に働けば不快感を覚えてしまう。



漫画や小説の世界じゃ明確な悪として何も悪くない主人公やヒロインをいじめるクラスメイトは出るが、

あくまでそんなものはフィクションだ。安易に自分と重ね合わせてはいけない。

両親だって、会社での同僚だって、いじめの被害者側か加害者側かで言えば大抵後者だ。

世紀末覇者が1人でクラスを支配しているわけでもなければ、

被害者より加害者の方が多いのは当然なのだから。

被害者が多数派でいられるのはネットの一部でしかない。

法律や炎上で戦って勝つことはできても、その人間性が受け入れられるかは別問題だ。

結局は自分を変えるか、トラックに轢かれて異世界転生して無双するしかないのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ