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とりあえず四話目


 オレはチドリと飯屋に入り、舌鼓を打ちながらこの世界の常識についていろいろと尋ねた。


 チドリは何も知らないオレのことを不思議そうな目で見ていたが、小さい頃から山奥で育ったから社会通念に対して(うと)いところがあると誤魔化しておいた。


 しばらく会話を続け、喉の渇きを潤すためにテーブルの上にあるグラスに手を伸ばすと、その側で平皿に注がれた水を舐めてた亀が大切な事に気付いた。


「おいフクツ、()()を忘れているぞ!」


()()?」


 と言うかチドリは喋る亀に気付いたようだがスルーしている。こっの世界では特に驚くようなことじゃないのか。

 ならあの門兵も気付けよな。

 関係無いことを考えてるオレに亀が苦言を(てい)してきた。


「お前、飯を食い終わってるぞ……」


「あっ! ってかなんでお前亀のままなんだよ、せめて犬か猫になれよ!」


「今はそれどころではない! 飯はどうした?」


 目の前には綺麗にたいらげられた皿がいくつか見える。今さら飯がどうしたと聞かれたところで美味かったと言うしかないだろう。


「ま、まぁ……飯はこれから何度も食うからな……次からはちゃんとやるさ」


 とにかく物語を始めないことには(らち)があかない。チドリには実家が経営している宿の場所を聞き飯屋で別れ、オレたちは城へ向かうことにした。


「チドリの実家なら宿代をサービスしてくれるかもな、人助けもやっとくもんだよな」


 明るく輝く期待的展望とは対象的に、暗く(みじ)めな現実がオレを襲った。

 飯代はチドリが出してくれたので良かったが、オレは金を持ってない。

 魔王どころか魔物の(たぐい)を退治しに行くための武器を買うことも出来ないじゃないか。


「大丈夫だと思うぞフクツよ。王様に会って魔王討伐の命を受ければ支度金が貰えるだろうからな」


 たしかに、なら問題は王様にどうやって会うか……だな。



 だがこれは大した問題も起こらず通過出来た。

 王様は民からの声に広く門を開けている善い王様だった。

 オレは程なくして謁見が許され王様の前まで通された。


「その方がフクツか、話は聞いておる。予の力になってくれると申すか」


「はっ! 私が魔王城まで赴き、この世界の平和を脅かす魔王を討ち倒してご覧にいれます」


 周りには貴族やら騎士やらが居て、みすぼらしい格好のオレを品定めするように見てやがる。

 まぁ着てる服はユ○クロだし、魔王を倒すって言ったってすぐには信じられないよなぁ。


「よくぞ申した勇者フクツよ。この世界の平和はその方の働きに掛かっておる。宜しく頼むぞ」


 信じたねこの王様、上下ユ○クロで武器も持たないヒヨッコに世界の命運預けちゃったね。



 亀の言った通り、王様は支度金をくれたのでこれで装備を揃えよう。

 いくらチートでも素手で魔物相手に戦うわけにもいかない。触りたくない敵もいるだろうからな。


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