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風・四季流れ
『風』
私は風が嫌いだ
燃ゆる木々の葉も
美しく咲く花々も
何もかもを奪っていく
私は時が嫌いだ
あの日描いた夢も
くしゃりと笑う君の顔も
すべてを流してしまう
その儚さは美しくもあれど
首を絞めたいほど憎くもある
風にも時にも攫えぬものがあるなら
それはきっと亡霊だけ
『四季流れ』
それはきっと沢山の四季を殺す
生きていて何十回しか見えない春を見る
思い起こすように過ぎた夏を見る
その美しさを噛み締めるように秋を見る
彼らの死を慈しむように冬を見る
それは当てても抜ける川のように
全てを無に帰す風のように
指では数えられないが
正で数える季節を見る
あと何度私は花を見られるだろう
あと何度四季を過ぎられるだろう