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車窓と足跡
生きれば生きるほど
嫌いなものが増えていく
欲にまみれた手のひらに
染み付いた匂いが離れない
できることなら遠くへ行きたい
毎朝見る車窓より
ずっとずっと知らない景色
世界のどこかにあって
私の世界にない景色
私はそれが見たい
死にたいなんて思いたくない
私の生きる足跡が
まるでダンスのあとのように
楽しげで、美しいものでありたい
どこか遠くへ、何もかも投げ出して
月の下へ、足跡を残しながら
私の全部を作品にして
美しい物語にして
見慣れた車窓など割ってしまって
どこか遠くへ
君のいない場所へ




