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夜景と水・逃げる・僕以外

『夜景と水』


水の音がしていた


寒い風が頬を撫でる


遠くには人の波とビルの山


僕はただ座り人生を書く


コンクリートの階段を座ったまま撫でる


冷たくて


硬くて


未来の僕のようだ


死が美しく見えるのはなぜだろう


救済ではない


芸術的に写っている


この夜景のように


僕が今ここで死んで


水に流れて


夜景に溶けたらどうだろう


僕は、醜い僕は


今より少しでも美しくなれるだろうか


誰かの心を、石を投げた水面のように


揺らすことはできるのだろうか



『逃げる』


逃げてきた


あの街から逃げてきた


孤独が怖くて逃げてきたのに


気がつけば孤独だった


暗い暗い水底を藻掻くように


僕は自己満足に逃げた


君の顔を見ないように


水の音がする


ただ大きな川が僕を見つめている


ここに逃げられたら


肺の中にたくさんの暗いなにかが流れ込んで


僕の穴が満たされて


やがて何もなくなって


静かに眠るのだろうか


誰かの涙になれるのだろうか


君の涙は


僕を写して流れてくれるのだろうか



『僕以外』


僕以外みんな天才だ


僕なんかに比べたら


無価値に息を吸って


世界を汚して


六畳一間の安いアパートで


文字だけを量産している


誰かを真似るように


誰かになるように


才能がないと嘆くあの男も


自分を価値がないと称するあの女も


よく僕の前でそんなこと言えたな


よく僕のことを評価できたな


何も知らないくせに


どれだけ藻掻いたって


自分のことすら愛せない僕を


よくも出来た人だと言えたな


愛を自覚できるお前たちに


どれだけ愛されても


愛されてないと錯覚してしまう僕の


何がわかるっていうんだ

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