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首を痛める
上を見上げると首に負担がかかるらしい
空はいつだって私たちの頭上にいた
模造品の空たちはそれはそれで綺麗で
それらを見られるようになった私たちは
いい時代になったものだと
ただ下を見て思うばかりだが
青々と澄んだ空は
光を直接受けるのが相応しい
その美しさは水晶体の中にこそある
身近にある遠さ
憧れに近い思いで
私は空を見上げる
憧れはいつも頭上にいた
見上げるのはとても疲れる
見上げるのはとても負担がかかるのだ
だから私は視線を落とし
アカシアの木でできた机の上で
あの美しい空を文字にする
世界は言葉でできている
私は憧れの君を描く
だがふと身近にあるがゆえ
見上げた先に青々と
それに瞳が吸い込まれ
私はまた首を痛める