買い物ですよ?3
ストック切れました。
更新が遅くなります。
さてさて、左隣り、と、あったあった。
私達は、左隣りに1軒分歩いた。
看板にマリョの本屋と書かれているので、間違いないだろう。
人気ない雰囲気だが、オープンの札がかかっているので開いているはずだ。
そっと、ドアを開けるとドアベルがなる。
「ふぇっふぇっふぇ、誰からの紹介さね?」
入り口を入った真っ正面にカウンターがあり、そこの横の椅子に座って店番をしている老婆が話しかけてきた。
うむ、魔女の様なおばぁちゃんね。
とんがり帽子はかぶってないけど…。
「はい、コレと、紹介はタナルよ。コレも預かって来たわ」
最早、店に入る=アケルナー公爵家の金の札の図になってるわね。
「おやまあ、アケルナー公爵家の札なんて珍しい。どれどれ、むふ…確かにタナルの紹介状さな」
タナルから預かっていた紹介を読むと、老婆は笑いながら好きに店内の本を見て良いとお許しが出ました。
「母さん、オレは魔法関連の本をみてくる」
セイは老婆に魔法関連の本が置いてある場所を聞き探しに行った。
探しにいくセイの足取りは軽い。
「ユカ、ユウは俺が預かるから、ゆっくり本を見なよ」
「いいの?ありがとう」
ヒロは、それ程本に興味がない。
私とセイが、本の虫なのである。
ヒロは、それを分かっているからこそ、ユウを預かる宣言をしたのだ。
私に気を遣って、ゆっくり本を選べる様にしてくれた。
私って愛されてるー!
ユウをヒロに預けて本を見てまわる。
冒険系や勇者物をパラ読みし面白そうなのは老婆が座るカウンターに積み上げていく。
魔法関連の本も気になる物をセイが選んだものと一緒にカウンターに置いていく。
薬草図鑑やザックリした地図、魔物図鑑や植物図鑑など、役に立ちそうな物もカウンターにドンドン置いていきます。
いや〜。もう随分と居るけど、お客さんが1人も入って来ないのよね。
だからゆっくりじっくり本を選べるけど…経営は成り立っていけるのかしら?
余計な事だけど心配になるわ。
「ユカ、これユウに買って良い?必要になるから」
ヒロが持ってきたのは絵本だ。
字を覚えるのに良さそう。
「うん、良いよ。他にも絵本はある?」
「何冊か見つけたよ。買うの?」
「当たり前よ。本って言うのは、一期一会なのよ!次に買いに来て有るとは限らないのよ?買いたい本は見つけた時に買うのが吉です」
自信満々に言うよ。
今まで何度、悔しい目にあってきたか!
今はお金がないから、次に来た時に買おう…で、次に買えた時の方が少ないのよね。
今は有り余る金があるのだ!我慢なんて必要ない。
……で、セイと2人ではっちゃけちゃいました。
でも後悔してないよ。
堆く積み上げられた本…あまりの量にオロオロしながら会計した老婆、会計が終わり次第アイテムリングに収納する私とセイ。
元々、1冊の値段が高い本。
印刷技術や紙を作る技術が遅れているからだ。
その本の小高い丘が出来ました。
お会計は、黒金貨が数枚でした。
正確な枚数は内緒にします。
ヒロが呆れ返った金額だったからね。
店主の老婆も、驚きを隠さなかったほどです。
老婆にお礼を言い、本屋を出た。
ゆっくり歩きながら、私達が泊まっているモフモフ亭に向かう為の辻馬車を拾う。
丁度来た辻馬車に乗りこみ揺られる事5分。
「あらら、この辺から雰囲気が変わるわね」
ある一定の場所から一気に騒がしくなり、人の行き来も激しくなる。
この境目が紹介状か貴族の札が必要なエリアなのだろう。
「そうだな。あっちが市場みたいだ。行くか?」
「うん、食材や雑貨なんかを見たいし、気に入ったら買いたいわ」
モフモフ亭に行くのを変更して、直ぐに辻馬車から降りる事にした。
市場って憧れるのよね。
「オレも色々と見たいし買いたい!お小遣いちょうだい?」
「はいはい、セイ半金貨1枚ね?これ以上の金額がする物は私達に相談して」
嬉しそうに頷きながら、半金貨を受け取る我が子が可愛い。
本来なら、もっとお金をあげても良いくらいに魔物をダンジョンで倒しているけど、お金の持ち過ぎはトラブルの元になるからね、セイがある程度の歳になるまで私が管理します。
市場に到着すると、あちこちから声がかかる。
私は金物屋さんの前で立ち止まる。
金物屋さんの店主っぽいオジサンが声をかけてきた。
「いらっしゃい!じっくり見てってくんな」
ふむふむ、この鍋中華鍋っぽくて良いわ。
コレはプリンの型に良いわね、あっちはおろし金だわ、アソコに有るのはパンの型に良さそう。
買わないと損よね。
「すみません。コレとアレとソレとそっちの下さい」
「はいよ!全部で銀貨1枚だ」
あら、安くしてくれたみたい。
ありがたいわ。
ホクホクしながら、店主っぽいオジサンに銀貨1枚渡し、お礼を言って離れた。
アイテムリングに買った物を収納する。
さて、何を買いましょかね?




