表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/41

大金ですよ?

目の前のテーブルに何が詰まった布袋が大小2つ、金で出来た名刺っぽい物が置かれた。

その内の小さい布袋をスッと目の前に出された。


「つかぬ事を聞くが、キャロルにレシピを売ってくれと頼まれなかったかい?プリンのレシピ代がこれなんだが…」


「はい!頼まれていました。レシピはコレです」


私は前もって紙に書いておいたらプリンのレシピをレオ様に渡し、布袋を受け取る。


「成る程、これでプリンとやらが出来るのだな。すまぬが、昨日食したモチモチした甘味のレシピも売ってほしいのだが可能か?無理にとは言わん」


「あー、わらび餅モドキですね。大丈夫ですよ。今書きます」


私はインベントリから、メモ帳を取り出してわらび餅モドキの作り方を書き出していく。

片栗粉が無いから、じゃが芋スリスリから始めなければならない。

工程が大変だが出来ないことはない筈だ。


「ユカ殿が使っている紙はどこで手に入れた物か聞いても良いかな?そのような綺麗な紙は見た事が無い」


ジッと私の手元を見ながらレオ様が聞いてきた。

やばい、どうしよう。

よくよく異世界の常識を引っ張り出すと、この世界は羊皮紙が主流だ。

こんな綺麗な紙を作る技術はない。

因みに私が書いているペンは普通の万年筆だ。

万年筆は、貴族や商人など裕福な家庭では普通に使われている。

流石に私が使っている万年筆よりは、質が悪いというか古い。

地球でまだ万年筆と言われていない頃の初期に使われていたようなペンだ。

寧ろ、普通に羽ペンやガラスペンの方が価格が安いし綺麗なので庶民や女性などに人気だ。


「あー、覚えていないです。すみません。良かったらこちらを差し上げますよ」


アイテムリングから取り出したと見せかけてインベントリからA 5サイズのノートを2冊取り出しテーブルに置く。


「いや、覚えて居ないなら仕方ない。しかし、こんな貴重な物を良いのかい?」


「はい。この紙束ならまだ少しありますから問題ありません」


「ふむ、貴重な物だし1束白金貨5枚で売ってもらおうと考えているが、どうだ?」


グフゥ!コピーで増やした100円均一で買った大学ノートが白金貨5枚⁈

罪悪感に襲われるよ。

でも、いらないとか言えないし…値下げするか。


「えっと、2束?で白金貨2枚で十分ですよ。そんなに大金で買った覚えはないので」


100円均一だしね。

寧ろ貰いすぎなんだけど。

でも、白金貨は貰わないとレオ様も逆に気を使うと思うし。

落とし所はノート1冊、白金貨1枚かなって。


「そんなに安くて良いのかい?」


「はい、大丈夫です」


笑顔で頷いた私はレシピ書きに集中し始めた。




「あの、キャロルは大丈夫ですか?」


心配そうにレオに聞いたのはセイくんです。

振られても気になるものは気になるもんね?


「うむ。今は客室で伏せっている。恐らく乗り越えてくれると思いたいがな。何せこれからフーザン・ガルシアの罪を暴いて刑を処さなければならない。キャロルは裁判で証人として証言する事になる」


伏せってるか……ぷりんじゃなくてアイスクリームを持っていってあげようかしら?

キャロルは甘味好きだし、元気出るかな?

まぁ、泣く事も人間は大事な事だし、暫くしたら持って行ってもらおう。


フーザン・ガルシアって、あの変態じじぃ(キャロルの叔父)の事よね?

へー、そんな名前なんだー。

興味ないけど、へー。


「私達に出来ることがあれば行ってくださいね?乗りかかった船っていうのもありますが、短い間でしたが一緒の釜の飯を食べたので情があります」


「うむ。基本的に証拠集めや証人集めは私がやるが、キャロルを元気づけてもらえると助かる」


そりゃそうよね。

貴族の事だもんレオ様が中心になるよ。

貴族って領地の事もあるし、役職についてるなら役職の事もやらなきゃいけないからレオ様、キャロルの事も自分でするならかなり大変だよ!

後でキャロルの他にレオ様にもアイスクリームを差し入れしよう。

やっぱり、疲れた時には甘いものだよね。


「はい、わかりました。ちょくちょくお邪魔させてもらいます」


「ああ、来てくれ……そうだった、忘れていた。この金の板は、貴族が認めた者に渡す札だ。この札にはアケルナー家の紋章のレリーフが刻まれている。これを見せれば貴族専用の店や宿に入れるし、アケルナー家にも入れるようになっているし、貴族関係で何かあった時にこの札を見せれば手を引いて理解するだろう。まぁ、早くいうならオーブ家の後ろ盾はアケルナー家がなると言う事だな」


金でできた名刺っぽい物を渡される。

しかも人数分…。

こんな大切な重要物を渡さないでくれ。

落としたらと思うと緊張するじゃない!


この金の札が報酬その1だね。


「ありがとうございます。有事の際に使わせてもらいます」


「「「「ありがとうございます」」」」


ヒロのお礼に習い、私達もレオ様にお礼を言う。


「次はこれだ。何を渡すか迷ったが、物より現金の方が良いと思って現金にしたよ。キャロルをを助けてくれた事と、無事に私の所まで護衛をしてくれた謝礼だ。受け取ってくれ」


大きめの袋いっぱいに入っていたのは金貨。

庶民でも使いやすいように、金貨にや半金貨に両替え済みなんてセバスさん気がきくわ。

それとも、レオ様の指示かな?


倒れそう。

んな、大金いらんよ!

って、流石に言えないよね。

謝礼だし、突っ返したらレオ様の顔に泥を塗る。


でも、ダンジョンで手に入れた素材だけでも結構な金額になるだろうし。

その他にレオ様に支持されて新たに小さい布袋をセバスさんが持ってきたのでさらにプラスになる。

その小さい布袋は、わらび餅もどきのレシピ代として渡された。


グフゥ!胃が……。

ま…まぁ、あっても困らない物だし、貰えるものは貰っておこう。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ