乗りかかった船です?
「……と、言う事ですの。申し訳ありませんが、皆様は、貴族である私を助けた時点で巻き込まれていますの。すみません」
キャロルは想像していた通り貴族で、ガルシア伯爵家の娘さんでした。
今いるアケルナー領地のアケルナー公爵の娘さんが、ガルシア伯爵に嫁いで行ったのだが、その娘さんがキャロルのお母さんだった。
約13年前くらいの話で、無事キャロルのお母さんとお父さんは、愛を育み生まれたのが第一子のキャロル。
しかし、その後何故か子供に恵まれずキャロルに兄弟はいない。
ガルシア親子は1週間後に開催される、アケルナー公爵家のご当主様の誕生日パーティーに出席する為に、アケルナー公爵が住むルーナシティに向かっていた。
異変が起きたのは昨日の夕方。
突然、怒号が飛び交い急停車する馬車、魔物か山賊、破落戸の襲撃だと思ったキャロルの両親は、一向に終わらない戦闘と怒号に危機感が芽生え、キャロルを椅子下の隠し箱にキャロルと身分を証明するガルシア伯爵家の紋章付きの懐中時計と、ガルシア伯爵家当主しか持てない紋章の印章を押し込み、決して声を出さない、動かない、何があっても出てこないを約束させて、隠し箱の蓋を閉めた。
そこからは、キャロルの少し記憶が朧げだが数人の知らない男の声が聞こえて、笑いながらキャロルの両親を何度も痛めつけ印章とキャロルが何処にあるのか、居るのかを聞き出そうとした。
キャロルの両親の声が、悲鳴が聞こえなくなった時に、知ってる男の声が聞こえた。
『印章の場所とキャロルの居場所は分からずじまいだったが、後でゆっくり城を調べれば出てくるだろう。……ククックハハハハッ…これで俺がガルシア伯爵家の当主だ!最初から兄さんが当主なんて間違っていたのだ。キャスリーナ(キャロルの母親)は娶れなかったが、キャスリーナの代わりに、キャロルを可愛がってやろう』
その人こそが、今回の首謀者。キャロルのお父さんの弟さんの声だった。
キャロルは、ゾッとした。
確かに前々からキャロルのお母さんと、お母さんによく似たキャロルを嫌らしい目つきで見ていたが、何かをしてくることはなかった。
しかしまさか、本当にキャロルのお母さんに横恋慕していたなんて、そして、その悪手が自分にのびてくるかもしれないなんて思いもよらなかった。
まだ12歳の子供が想像出来るわけない。
叔父が自分父親の地位、伯爵家当主に成り代わりたい、なんて思っているなんて思ってもみないだろう。
叔父が自分の母親と自分を、手にかけようとしているなんて、誰が想像出来るのか。
考えただけで、ゾッとするわ。
気持ち悪い!
その叔父さんは、ストーカー体質のクソ野郎だな。
言葉が悪くてごめんあそばせ?
このまま、アケルナー公爵家に行ってご当主様に、味方についてもらった方が良さそうね。
貴族の事だもの、私達には手は出せそうにないわ。
出来る事は、ルーナシティまでの護衛くらいね。
巻き込まれてしまったのならば仕方がない。
諦めて、解決に向け行動あるのみ。
乗りかかった船のなんとやらって言うでしょ?
ルーナシティに着くまでにある町の数は1つ。
報告義務があるが、寄るのはやめた方が良さそう。
もし、変態ジジィ(キャロルの叔父)の繋がりがある人物にでも会ってしまったら目も当てられない。
時期や場所的に寄るのを諦めた。
時計を見ると15時を少し過ぎたくらいだ。
今の時間的に、今日着くのは無理だけど車を飛ばせば明日には着くと思う。
って、ヒロが言ってました。
ふむ。では、車をぶっ飛ばしてもらいましょう。
馬車道をバスコンが直走る。
馬車を今まで数台抜かしてきたが、皆、目が点になっていた。
車が動き出した直後からキャロルも驚いて固まってました。
馬などに引かれなくても、動く巨大な鉄の塊にビックリしているみたい。
車なんて、この世界には無いからね。
あぁ、でもこれからは数台は出てくるかな?
飛ばされた時に、数台の車やバイクに乗っている人がいたから。
資金が無ければ売るしかない。
車やバイクを売る人も出てくると思う。
ウチは、余程の事がない限り売ることはないし、売ったとしてもコピーで増やせるから大丈夫。
あれ?バスコン売る商売が出来るんじゃない?
しないけど。
周囲も段々暗くなってきたし、そろそろ野宿の準備にはいらないと、って思っていたら誰もいない空き地?的な場所に車を止めたヒロ。
外をよく見ると、空き地のあちこちに焚き火の跡がある。
馬車移動や徒歩移動をしている人達が使っているのだろう。
まずは、結界を張りましょう。
ヒロとシロ、トモ、キャロルに頼んで焚き火用の枯れ枝や枯葉を集めてきてもらう。
ヒロがその間に、焚き火用に石組を組んでいる。
モギじぃはタープを出して、その下に椅子やテーブルを出して並べていた。
レン、キリ、ハク、コウの4匹は思い思いな場所で、ごろ寝しつつも周りを警戒している。
私はキッチンで天津飯を制作中。
今日の夕ご飯は青椒肉絲と回鍋肉とカニ玉にしようと思ったんだけど、お箸に免疫がなさそうなキャロルの為に、スプーンで食べやすいカニ玉から天津飯に変更した。
青椒肉絲と回鍋肉はインベントリから出し、テーブルへ並べる。
天津飯はインベントリに入れてコピーして増やしてから出す。
スープはどうしようかしら?
少し悩んで、蕪の味噌汁に決定した。
中華と和食がコラボしてるけど誰も気にしないだろう。




