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やはりプリンは最強です?

「こんな美味しい食べ物があったなんて、今まで知りませんでしたわ。感動致しましたの」


春雨スープを恐る恐る一口口に入れると、ビックリしたように目を見開き、次の瞬間、下品にならない程度の速さでスープを飲み干した。

プリンを口にいれた途端に、ふにゃっと顔を綻ばせる。これまた、下品にならない程度の速さでプリンを食べ終え、無くなった皿を名残惜しそうに眺めていたので追加のプリンを1つのせてあげると、嬉しそうにゆっくり、味わいながら食べていた。


あれ?お貴族様ではないのですかね?

貴族でなかったとしても、商人の娘とか身分がそれなりに高い方だと思うんだけど、たかが家庭料理で感動するほどじゃないでしょ?


「私が作った普通の家庭料理だから、感動されるほどじゃないわよ?」


「この料理の名前は家庭料理なのですね?ウチのシェフも作れないかしら?」


勘違い。もしかしなくても、異世界アルアルの1つ、料理が不味い!ではなかろうか。

薄味、濃すぎる味、酸味だらけの味など、ノベルズではよくある飯マズ異世界。

嫌だ!ご飯が美味しくないなんて!手抜きの屋台ご飯が出来ないじゃない。


「いや、料理の名前じゃなくて、家庭でよく作る料理って意味よ?コレは春雨スープというスープの一種よ。こっちはプリンという甘味、お菓子の一種なの。私の国では、一般的な家庭なら普通に作ると思うわ」


「そうなんですか?私は食べたことありません。ユカ様のお国は何処ですの?こんな美味しい食べ物が庶民向けなんて国は聞いたことがありませんわ」


「うーん、海の向こうの、そのまた向こう位にある日本という国よ。聞いたことないと思うけど」


「日本ですか?……聞いたことありませんね。あの、言いづらいのですが、レシピを売っていただけませんか?」


「レシピを?うーん、材料によるかしら?春雨ってこの国には売っていないと思う。プリンのレシピは大丈夫だと思うわ」


春雨ってマメやジャガイモ、サツマイモなんかのデンプンを練るかなんかして、心太みたいに押し出して熱湯に潜らせて、冷凍してから天日に干すんじゃなかったかしら?うろ覚えだけどこんな感じじゃなかったかな?


「では、プリンのレシピを売って下さいませ。お願いします」


キラキラした目で訴えてくるキャロルが子供らしくて微笑ましいわ。

でも、少し意地悪しましょう。

危機感が少し足りないわキャロルさま。


「ええ。良いわよって言いたいけど、お抱えシェフを抱え込んでいる貴族様が、保護者も無しに契約しては、いけないと思いますよ」


「私が貴族だといつから気づいていましたの?」


さっと、キャロルの顔色が悪くなる。


「最初から怪しいと思ってはいたの。豪華すぎる馬車、護衛の数、侍女の人数、キャロルのドレス、マナーや食べ方、なんかを見てると貴族様しかありえないのよ。あ、一応言っておくけど、鑑定や看破スキルは使っていないからね?」


「最初から?そうですわよね。寧ろ、それだけの条件が揃っていて、貴族だと分からない方が可笑しいですの。わたくしの落ち度ですの」


しょんぼりと落ち込んでるキャロルの頭をそっと撫でる。


「で?……落ち度ついでに事情と説明をしてくれると、ありがたいんだけど、どうかしら?」


キャロルは観念しましたと、ばかりに頷く。


「はいですの。もう皆さん私を助けた時点で巻き込まれていますわ。お話しいたしますの」


ベッドを降りて、ついてくるキャロルを促し寝室を出て、ヒロ達がいるリビング兼ダイニングなソファーに座らせた。


ヒロやセイは寝室から出てきたキャロルに目を見張るが、キャロルが事情を説明すると言えば、暫し待てと立ち上がり、何やらバタバタと用意をしはじめた。


レン、キリ、ハク、コウに外での見張りを続行するよう指示し、ヤカンでお湯を沸かし、私とヒロはコーヒー、ユウはミ○入り牛乳、セイとキャロルにはココア、モギじぃ、トモ、ロウは温かい緑茶を其々淹れ渡す。テーブルの上には私が作ったクッキーとパウンドケーキまである。


あのさ、私の昼ご飯は何処さ、いったのかね?

ヒロに聞いたら、冷めるからインベントリ中だと言われた。

早く出して?腹ペコよ私。

ヒロがマジックリングから出たように見せかけて、インベントリから私用のご飯を出す。

食べながらで申し訳ないと、断りを入れるのを忘れない。


私はもぐむぐと、やっとありつけた昼ご飯を噛み締めつつ、周りに張った結界スキルに穴がないかチェックした。

うん、綺麗に張れてるわ。流石モギじぃ。


さて、キャロルの口から何の事件が飛び出してくるのかしらね。






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