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羽撃く者達の世界 ~演劇部異世界公演~  作者: かなみち のに
第一幕 「羽撃け、友よ。」
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「羽撃け、友よ。」 40

目を覚ますと見知らぬ女性に頭を撫でらていた。

「ノトさん?」

殆ど無意識にその名を呟くと、黒猫がぴょんと彼の胸の上に乗った。

オルンは

「ほら邪魔するな。」

と抱えあげようとするが

「このままで。」

片方の腕が動かなかった。

「しばらくは痺れが残るが直に回復するよ。」

「貴女がノトの中の人?」

「始めましてじゃないな。私はツグミ。」


レミーを狙ったのは執政官の一人。

この後、自分がどのような処分を受けるのかを知る彼は

その瞬間まで沈黙を続けようと決めた。

それを許さなかったのがオルンとツグミの二人の魔女。

「趣味で集めた」

オルンの拷問道具。

結局道具を使うまでもなく彼は全て白状した。


それでも、もう一人の執政官の所在は不明のまま。

共に逃亡したと思われた執政官は彼の自宅に監禁されていた。

「海外逃亡を図ったのだろう」と憶測しか言えない。

最後まで逃亡していた執政官は「脅されていた」と証言する。

魔女は国王の不調を「流行病」と告げたが

「しばらく伏せているように。」

と国王自身から固く口止めされていた。

国の今後について討議が行われる中、

執政官の一人が挙げた提案は

「この国の守護竜が邪魔だ。」

あまりに突拍子もなく恐れ多いし発言。

二人は竜の殺し方など知らない。と突っ撥ねる。

「娘を餌に差し出されたいか?」

執政官は自らピータンの元へ赴き

「国を守る守護竜様にせめてもの御礼として」

「これからは毎日食事を運ばせていたたぎます。」

「貴方様は有事の際にのみその御身をお使いください。」

等々御託を並べる。

執政官はその地位を利用し食事を運ばせる。

この執政官の最初の誤算は

ただ利用されているだけの別の執政官が

国王と守護竜に対してのみ仕える誇りを僅かに残していた事だった。

彼は用意するよう依頼された「毒」に対し、「お茶」を渡した。


目的は

「この国を売る。」

王はすぐに亡くなる。次に守護竜を無力化させる。

レミーさえ不在ならば残るは小娘ただ1人。

漁港を急襲し王都を制圧。メリアを人質に取り

レミーに対し「合法的に」王位を譲らせる。

この思惑が全て失敗する。

が、国王は未だ病に伏せている。

レミーを始末し混乱に乗じてメリアを脅し今度こそ。

「お前はそれを言った奴が逃げる時間をただ提供しただけだな。」

レミーの予想通り、この計画は王都の混乱にある。

こうして全てを企んだもう一人の執政官を自由にさせた。


全てレミーの予想した通りだった。

だがどの「国」に売ろうとしたのか。

「私は知らない。」

逃げたもう一人が全てを計画した

「自分はそそのかされただけだ」と叫び、

全て未遂に終わったのだからたいした罪には問われない筈だと喚いた。

レミーは怒りを顕にする

「お前は私の友を傷つけた。私がそれを許すと思うか。」


「ツグミさん。身体見付かったんですね。」

「ずっとこのお城にあったんだってよ。間抜けな話だ。」

オルンがキリを自宅に泊めていた理由。

ノトを城内でうろつかせない建前。

丸二日寝ていたから頭は重かったが

ツグミの適切な処置により、毒の中和に問題は無かった。

「それでその。ツグミさんはまたノトの中に。」

キリの心配にはオルンが答える。

「その必要は無いでしょう。」

オルンは最初からそのつもりだったのだろうとキリは思った。

彼女の罪は知らない。

罰が与えられ、その刑期を終えた。

オルンはそれを監視していた。

ただの想像だが、きっと間違いないと確信した。


ツグミがキリと同じベッドに入ろうとするが

オルンがそれを咎める。

「今までずっとそうしていたのだから構わないだろう。」

「構うでしょ。」

「お前こそとっとと王子様のとこ行けよ。」

ツグミの言葉にキリは珍しく何かを察した。

「そうなんだ。」

「そうって何っ。」

「よりによって王子様とか。面倒だぞ。」

キリはまだ知らなかった。

「魔女は王族の者と結ばれてはならない。」

理由は殆ど言い掛かりで、納得できるものではない。

「誑かした」と言われかねない。

それでも結ばれるには、魔女を捨てる。

「捨てるって、どうなるのでしょう。」

記憶の操作。

魔女であること「だけ」を忘れるのではない。

魔女でいた日々の全てを失ってしまう。

「それじや王子様の事だって。」

「そうだ。それにオルンはおそらく代々の魔女だ。」

彼女の母も、その母も。

「産まれた瞬間から魔女であるオルンは、その存在を失う。」


「私にノトをくれよ。」

「断るっ。やっと元に戻ったのにっ。」

ツグミとオルンが何やら揉めている。

ノトは二人の間で毛繕い。

キリがその場に現れると小走りで足元にすり寄る。

キリは床に寝転んで黒猫と同じ目線で遊ぶ。

見た目の割に幼く感じるのはツグミさんが中にいたからなのかな。

ノトに遊んでもらうキリ。

右肩に傷を負ってから三日。

懸念された腕の機能障害もない。痺れも治まった。

経過報告は逐次オルンがレミーに伝えていた。

そしてこの日、騎士団長が魔女宅を訪れる。


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