第8話、修道女さんの弟子入り。
さて、巫女様のステータスが見られるようになったので職業を確認してみよう。
アプレンティスのメニューから巫女様の名前である白乃を選んでステータスを表示させ、職業を確認した。「巫女(トッショ神殿)」とあった。ということは他の神殿には別の巫女がいる可能性はあるのかもしれない。レベルは30となっていた。
「あ、あの、勇者様が見ているもの、私にも見れないでしょうか?」
一人でステータス画面を見ていると、巫女様がそんなことを言ってきた。隣で修道女さんも口には出さないものの興味深そうにしている。
巫女様のステータス確認は後にして何か方法はないかとメニューを操作していると設定の中に「ステータス画面の有効化」という項目があった。こんな項目はこれまで見たことがなかったけれど、早速有効にしてみた。
「これで巫女様もステータス画面が見えるかもしれないです。ちょっとやってみてください」
「何をすればいいんですか?」
「ん、何ていうかですね」
ステータス画面を出す方法なんてほとんど無意識にやっているから改めてどうするか説明するとなると難しい。
「視線はこの辺、えっと、この辺に固定して」
最初、自分の体を基準にして場所を説明し始めたけれど、巫女様がこっちを見てしまうので巫女様を基準にした位置を指さして説明するように改めた。視線の位置は大体正面少し下くらいだ。本を手に持って開いたくらい。
「それで意識だけ下の方に持っていって」
そう言いながら手を斜め下、巫女様の体の方に近づけた。あ、何かこの姿勢、ちょっとエロいかも。巫女様のおっぱいが大きすぎて手が完全におっぱいの陰に入っちゃったよ!
「ええっと、それでこの辺をさっきと同じように頭の中で掴むようにして、そのまま目の前まで引っ張り出すような感じで」
「何も起こらないです」
「1回じゃコツが掴めないかもしれないから、何回かやってみましょうか」
「はい」
何回かトライしているとすぐに巫女様はステータス画面を引き出すことができるようになった。
「すごい、これが勇者様が見ているものなのですね」
「私にはできないみたいです」
どうやら、巫女様がステータス画面を開く練習をしている間、修道女さんもこっそりやっていたみたいだった。
「修道女さんもアプレンティスになりますか?」
「え、いいんですか?」
ということで、巫女様に加えて修道女さんもアプレンティスに登録することになった。登録した時の表示で、修道女さんの名前が朱音だということも分かった。ちなみに、職業は修道女でレベルは78だ。
子供の頃からちゃんとした教育を受けると、成人する頃までに初級職レベルが40から50くらいまで到達するのが普通だ。修道女さんは雰囲気から成人して少ししか経っていないように見えるのでレベル78というのはかなり優秀な部類に入るんじゃないかと思う。
巫女様のレベル30は上級職のレベルなので修道女さんのレベルとは比較はできない。でも、巫女様も若いので上級職レベル30はかなりの高レベルだと思う。
ちなみに僕の今のレベルは5だ。かなりの急上昇だと思うけど、巫女様の試験という名のシゴキ(山走りとか遠泳+無人島サバイバル)に加えて、巫女様との特別な経験がレベルアップに寄与したに違いない。特別な経験はポイントだけじゃなくレベルアップにも関係するからだ。
「あ、見えました」
どうやら修道女さんも無事ステータス画面を表示させることができたらしい。
さて、ひとまず修道女さんの方は置いておいて、巫女様のスキルの方を確認しよう。多分、その中に巫女様が神殿を離れられない理由が隠されているに違いない。
「巫女様は神殿で具体的にどんな仕事をしているんですか?」
「いろいろあるのですが、代理が立てられない仕事は預言だけです」
「預言ですか?」
「はい。本殿と拝観殿の間にある意思の間というところに一人籠って神託を得るのです」
確かに、巫女様のスキルの中に預言というスキルがある。パッシブスキルとなっているのは自分で発動のコントロールができなくて、特定の場所(意思の間)に入った時だけ発動するという性質があるのだろう。
このスキルを持った人が他にもいれば、巫女様の代わりになることができるということなのだけど、これが巫女のユニークスキルだったら他に持っている人はいないことになる。話を聞く分にはこれがユニークスキルの可能性は高いと思うけど。
と、ここで巫女様は仕事があるということでひとまず中断ということになった。
一人になって考えたことは、この預言スキルを僕が取ることはできないかということだ。レベルは低いけど、ポイントだけは大量にあるので、取得可能スキルの中にありさえすればポイントを使って取得することは可能なはずだ。
「やっぱりないな」
勇者だけでなく、修道女さんの取得可能スキルも見てみたけれど、預言スキルは存在しなかった。やはり、預言は巫女でなければ取得できないのだろう。
となれば、巫女様の他に巫女になってもらうことを考えるしかない。修道女さんの転職可能職一覧を見てみたけれど巫女は乗っていなかったので、巫女に転職するには特別な条件が必要になるのだろう。
「ねえ。巫女様は巫女になる前には何をしていたんですか?」
その日、仕事を終えた巫女様とお風呂に入っている時に、その話を切り出してみた。
前回の反省から、巫女様と修道女さんには一緒に湯船に浸かってもらうことにした。そうすれば、僕がのぼせる前に巫女様と修道女さんもお風呂を上がってくれるに違いない。ただ、今度は巫女様と修道女さんが湯船の中で僕に左右から密着するように座ったのは予想外だったけど。
「巫女になる前ですか?」
しかも、湯船の中にはタオルを浸けてはいけないということで、2人とも体を覆っていたタオルを外しているので、柔肌がぴったり僕の体に密着しているのだ。何度か肌を合わせた巫女様だけじゃなく、修道女さんまでそんなことをするなんてどういう心境なのかと内心ドキドキが止まらない。
「ここで修道女をしていました。巫女は修道女の中から選ばれることになっているんですよ」
「へぇ。じゃあ、巫女様は優秀だったんですね」
「それが、恥ずかしながらそうでもないんです。修道女さんの方がずっと優秀だったのに」
確かに、ステータスを見れば修道女さんが優秀なことは分かる。レベルも高いしスキルもポイントも多い。でも、これは巫女への転職には関係がなかったということなのか。
「私はずっと修道女さんが巫女になるんだと思っていました。今でも……」
「巫女様は神様に選ばれたんです。もっと自信を持ってください」
巫女様と修道女さん、尊いんですけど、両側から挟んで殺す気ですか?
「あれ、勇者様、真面目な話をしているのに、何ですか、これは?」
「そ、それは、両側からぎゅっと押し付けられたら仕方なく」
「りょ、両側って、私までそんな目で!?」
修道女さんは僕の言葉に急に慌て始めると湯船でざばっと立ち上がった。隠す間もなかったので修道女さんの一糸纏わぬあられもない姿が目に焼き付いた。
「きゃぁっ」
「あ、ぴくってなった。ね、勇者様、ここでしちゃいます!?」
「みっ、巫女様、自重してください!!」
今日も又、お風呂でのぼせることになりそうだ。